第70話 ゴブリンの大群 異常 (2)

【サンディエゴ】

【カリフォルニア】

【2024年5月11日】

【09:00】


 来年のレースに向けて、街を探索したいので早朝から走り始めた。


 ランニングの状況を確認してみた。


 ペース:5:40

 距離:5km

 運動時間:27:00

 心拍数:100BPM


 ランナーレベルも確認してみた。


 ランナーレベル:83

 VO2MAXレベル:60

 トレーニングステータス:維持

 持久力:80

 閾値:81

 スピード:79

 スプリント:81


 最近の任務のせいか、走力の向上はあまり感じられない。


 突然、レイラニがヘッドセットを通じて私に通信してきた。


「ミキチ。新しいミッションがあるわ。ホテルの部屋に戻って」


「了解」


 私はホテルへ走り出した。



【ホテル】

【サンディエゴ】

【カリフォルニア】

【2024年5月11日】

【09:50】


 ホテルの部屋に入ると、シャワーを浴びて、いつも通りのランニングウェアに着替えた。


 身だしなみを整えると、レイラニに近づき、彼女のベッドの隣に腰を下ろした。


「次の任務は、フィリピンにいる自衛隊のレンジャー部隊を救出することだ」


「ちょっと待って。日本政府は魔法のランナー旅団の存在を知っているの?」


「ええ。サラ司令官は元自衛隊の司令官よ。サラ司令官の本名は誰も知らないわ」


「そうなんだ」


「また、魔法のランナー旅団は複数の国々と秘密裏に同盟関係にある。しかし、我々の組織は地球の政治問題には関与していない」


「なるほど」


「任務の話に戻ろう。任務地域はフィリピンに属する離島だ。しかし、悪魔帝国の妨害により、離島にポータルを展開することができない」


「どうやって島に行くんだ?」


「旅団は新しいステルスヘリコプター部隊を投入する」


「ステルスヘリコプター部隊?」


「そうだ。サラ司令官はすでに秘密裏に、悪魔帝国によるポータルネットワークへの妨害に対抗するためのステルスヘリコプタープロジェクトに取り組んでいた」


「なるほど」


「本部に戻るのが我々の計画だ。戻ったら、ステルスヘリでポータルを通る」


「ポータルは一番近い場所に展開するんだよね?


「その通りだ。今から出発する必要がある。後で続きを説明する」


「了解」


 レイラニと私は荷物をまとめ、ホテルを出た。そして路地に入り、ポータルを通った。



【ヘリポート】

【魔法のランナー旅団本部】

【フェブルタウン、ルナ王国】

【310年】

【18:00】



 ポータルから出ると、格納庫と複数のヘリコプター、そして着陸パッドがあることに気づいた。


「レイラニ。どうやってここにヘリコプターが?


「ヘリコプターと格納庫、着陸パッドは、隔離バリアの中に作られていたの」


「なるほど」


 突然、サポートチームが近づいてきた。彼らは私に新しいランニングウェアの入った袋を渡した。


 その間、隣にいたステルスヘリが起動した。


「ミキチ、ステルスヘリに乗れ」


「了解」


 私はレイラニと一緒に素早くステルスヘリに乗り込んだ。


「パイロット、離陸せよ」


 レイラニが命じた。


「了解」


 パイロットを見ると、黒いランナーのユニフォームに黒いヘルメット、黒いマスクを身に着け、青く光る目を持っていた。


「ヘリコプターのパイロットも魔法のランナーなのか?


「はい。私たちは別の部門です」


 とパイロットが答えた。


 レイラニはタブレットを使って地面に大きなポータルを開いた。


 ステルスヘリコプターは空中に飛び立ち、ポータルの中へと飛び込んでいった。

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