第66話 ランニングストリーマー (8)

【司令室】

【魔法のランナー旅団本部】

【ルナ王国、フェブルタウン】

【310年】

【17:00】



 ランニングストリーマーの救出作戦が大規模に行われている中、本部では、なぜ魔帝国がランニングストリーマーを攻撃しているのかについて徹底的な調査が行われている。


 サラ司令官はパソコンの画面を見つめている。魔帝国が魔法のランナー旅団の地球での秘密の存在を利用していることに気づき始めたのだ。


 コーディネーターがサラ司令官に近づいた。


「司令官。 ランニングストリーマーの救出作戦が多すぎます。 人手が足りません」


 サラ司令官はふと、クロちゃんとの会話を思い出した。 魔法少女局は自分たちの地球では、自分たちの存在を秘密にしていない。


「なるほど。 対策を講じよう。 地球にいる魔法のランナーは全員、自分たちの存在を公にしてもよい。 記憶消去呪文の使用は、各ミッションの状況に応じて判断する」


「司令官。本当にいいんですか?」


「ああ。魔法のランナー旅団が魔帝国の注意をランニングストリーマーからそらす。しかし、我々の正体は秘密にしておく」


「了解!」


 サラ司令官の命令により、コーディネーターたちは地球の魔法のランナーたちに連絡を始めた。



 ***



【ホテル】

【サンディエゴ】

【カリフォルニア】

【2024年5月9日】

【8:10】


 レイラニが突然、タブレットで読み始めた。


「ミキチ。私たちの任務は中止になったわ」


「えっ?」


「魔法のランナー旅団が私たちの存在を公表することにしたの。ニュースを見て」


 レイラニはリモコンを手に取り、テレビをつけた。


 テレビではニュースキャスターがアナウンスしている。


「速報!謎のスーパーヒーローが世界中で出現している!彼らは何者なのか? サンディエゴで銀行強盗を阻止したスーパーヒーローの映像がこちらだ」


 私はその映像を食い入るように見つめた。


「ちょっと待って。その映像に映っているのは私?」


「はい。また、魔界帝国はターゲットにしていたランニングストリーマーへの攻撃を停止した。」


「次はどうするんだ?」


「次の指令を待つ」


 初めてのキャンセルミッションを経験した。

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