第58話 シンガポール日付

【西港】

【シンガポール】

【2024年5月7日】

【11:30】


「ミキチ。よくやった。サポートチームが戦闘現場を片付ける」


「了解」


 サポートチームが現れ、片付けを始めた。私は彼らに挨拶に行った。


「おはようございます」


「おはようございます」


「退去を開始していい。片付けは我々がやる」


「お疲れ様でした」


 サポートチームのメンバーが敬礼をしてくれた。私も敬礼でお返しをした。


 歩きながら、私はふと、自分はいつも死と隣り合わせの状況にいることに気づいた。後悔したくないからこそ、私はついに動き出すことにした。


また、普段着に戻った。


【魔法のランナーは解除された】


「レイラニ。シンガポールを観光する時間はある?」


「ええ」


「デートに誘ってもいい?」


「デート?」


「うん。君とデートがしたいんだ」


 レイラニは突然、何も答えなかった。その間、私はタクシーに乗り込み、運転手にホテルの部屋まで送ってくれるよう頼んだ。


 そして、ヘッドセットを通して話した。


「レイラニ?」


「ええと ・・・はい」


「わかった。まずシャワーを浴びたい。試合と湿気で汗びっしょりなんだ」


【ホテル】

【シンガポール】

【2024年5月7日】

【11:45】


 ホテルの部屋に入った。レイラニがベッドに座っているのが見えた。


「レイラニ、大丈夫?」


「ええ。あなたがデートに誘ってくれるなんて、驚いたわ」


 私はベッドに近づいた。レイラニは微笑んでおり、顔が赤くなっている。


「なるほど」


 私は微笑んだ。


 レイラニは隣に立っている私を見て、さらに恥ずかしそうになった。


「こっちを見ないで」


「はい、はい」


 私はレイラニから目をそらした。


「ありがとう。とても嬉しい」


「好きだよ。死ぬ前に後悔したくないからデートに誘ったんだ」


「そっか。私も好きだよ」


「あの ・・・シャワー浴びてくる」


 私はバッグから着替えを取り出し、急いでバスルームに向かった。振り返ると、レイラニは微笑み、顔も赤くなくなっていた。


 シャワーを浴びてカジュアルな服に着替えると、レイラニもバスルームに入って着替え始めた。


 身支度を終えると、一緒に外に出た。


「ミキチ。どこに行こうか?」


「ごめん。あまり先のことは考えてなかった」


「お金は持ってきた?」


「いや、お金は忘れた」


 急に恥ずかしくなった。


 レイラニはクスクス笑った。


「幸い、私は下調べをしていてお金を持ってきていたの」


「ちょっと待って。最初に私をデートに誘うつもりだったの?」


「うん。君が先に誘ってくれたのでとても驚いたよ」


「なるほど」


「まずはショッピングモールに行ってランチを食べよう」


「いいよ。君がボスだ」


「うん」


 レイラニは微笑んだ。


 そしてタクシーを呼んだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る