第52話 魔法少女の異常性 (5)

【司令室】

【魔法のランナー旅団本部】

【フェブルタウン、ルナ王国」

【310年】

【11:00】


 ミキチが魔法少女と戦っている間、レイラニは本部に状況を報告した。


「緊急事態発生! 魔法のランナーミキチが魔法少女と交戦中!」


 サラ司令官は小説を読む手を止め、執務室から出てきた。


「調整官! 状況報告を!」


「レイラニ調整官から魔法少女の報告を受けました。 魔法少女は調査の邪魔をし、異次元からの異常事態です」


「なるほど。 魔法のランナー・ミキチはどうなっている?」


「魔法のランナーは現在、戦闘中です。 また、魔法少女に戦いをやめるよう説得できていません」


「戦闘の様子を大画面に映してくれ」


「了解」


 大型スクリーンには、イーストポートで戦うミキチと魔法少女が映し出される。


「魔法少女の近くに味方はいるか?」


「イーストポートに味方発見」


「ズームイン!」


 衛星映像には、ホログラム画面を見つめる黒猫が映し出される。しかし、黒猫は衛星を見上げるようになった。


 ハッキングの検知により、司令室のコンピューターが警報を発し、赤いランプが点灯した。


「コード・レッド! システムがハッキングされている!」


「黒猫の仕業に違いない。黒猫に調査を許可する」


「了解」


 警報と赤いランプの点滅が止まった。突然、黒猫が大画面に現れ、話し始めた。


「はじめまして。魔法のランナー旅団のサラ司令官ですね?」


「はい。はじめまして」


「魔法少女庁のブラックです。私たちの世界から逃げた悪人を追っていたところでした」


「そうですか。魔法のランナーに対する魔法少女の敵対行為を止めていただけますか?」


「攻撃してしまい申し訳ありません。彼女に止めるよう指示します」


「ありがとう。一緒にやらないか? こちらも追っている悪人がいるんだ」


「そうだね。話そう」


 魔法のランナー旅団と魔法少女エージェンシーの同盟が始まる。


***


【イーストポート】

【シンガポール】

【2024年5月6日】

【20:40】



 魔法少女と剣を交え続けていると、魔法少女が奇襲を仕掛けてきた。突然、魔法少女が地面にピンクのスパイクを投げた。それは私に向かって飛んでくる。


 私はすぐに呪文を唱えて、ピンクのスパイクをかわした。


【呪文:エアージャンプ】


 足元に竜巻が現れ、私は後ろに飛び上がった。


 地面に着地すると、複数の光るピンクのポートコンテナが四方八方から飛んでくる。


「まずい。かわしきれない。死ぬ」


 レイラニがすぐに伝えてきた。


「ミキチ!死ぬな!」


 ランニングウォッチがメッセージを伝えてきた。


【条件を満たした。新しい呪文がアンロックされた】


 迷わず、腕時計の呪文メニューを閲覧し、新しい呪文を探した。


【呪文:ライトニングカタナ】


 私のスピリットカタナが、一瞬にしてライトニングカタナに変身した。ライトニングカタナは白く光り、稲妻を放っている。


 腰にスピリットカタナを携え、攻撃態勢に入った。複数のポート容器が自分に近づいてきたとき、私は斬撃を放った。


 私は走りながら斬りつけた。斬撃は目の前のすべてを切り裂き、私は一瞬で魔法少女の首に斬撃を当てる寸前まで行った。


 しかし、私は魔法少女の首に斬撃が当たらないようにした。ライトニング・カタナは再びスピリット・カタナに変化した。


「杖を捨てて、降参しなさい!」


 魔法少女は素早く杖を捨てて両手を上げた。そして、少女は恐怖に怯えた表情を見せた。


 私はその後ろを見た。白い稲妻の跡が動いているのが見えた。数秒後、稲妻は消えた。


 振り返って魔法少女を見ると、どこかで見たことのある顔だった。


「ちょっと、あなた、魔法少女あやさん?」


「なんで知っているの?」


「私たちのアニメ番組で見たことあるわ」


「あ」


 魔法少女Ayaは両手を上げたまま、私を睨みつけた。


 すると、突然ブラックキャットが現れた。


「魔法少女あや!戦いをやめなさい!魔法のランナーは敵じゃないわ」


「了解」


 私はスピリットカタナを置いた。


 ブラックキャットの命令の後、彼女は私のところに来た。


「敵対してごめんなさい。それに、私はサラ司令官と通信していたの」


「なるほど。心配しないで」


 本物の魔法少女との戦いは終わった。

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