第32話 ポータル異常レスキュー (8)

【荒野のジャングル】

【中立地帯】

【310年】

【12:00】


 魔法の狙撃手を倒した後、ランニングウォッチから通知が届いた。


【100 EXP GAINED】

【魔法のランナー RANK C】



「弓兵は排除した」


 ミアとエリーが通信してきた。


「みんなお疲れ様」


 レイラニが応えた。


「ありがとう!」


 私はミアとエリーのもとへ走って戻った。そして再び一緒に走り始めた。


「チームアジュール。地球の男は現在地から5kmの地点にいる」


「了解」


 私たちは応えた。


 私は自分のランニング状況を確認した。



【ペース:6:56】

【距離:11km】

【移動時間:45:00】

【心拍数:150BPM】



 自分の状況を確認した後、エリーに質問してみることにした。


「エリー。 壁を通り抜けることができる?」


「いいえ。 どうして?」


「ゴースト・シーフだったから、壁を通り抜けられると聞いたんだけど」


「暗闇で私が見えないから、みんな私が壁を通り抜けられると思ったんじゃないかしら」


「ああ、ただの噂だったんだ」


「そう」


 レイラニがそうコメントした。


「私も噂だと思ったわ」


「もし壁や物体を通り抜けられるなら、もっと大変なことになるわよ」


 エリーはフードを取ってにやりと笑った。


「そうね」


 私はため息をついた。


 しばらくして、エリーと私は一緒に笑った。


 それから私たちはゆっくりとしたペースで走り続けた。



【荒野のジャングル】

【中立地帯】

【310年】

【12:30】



「男の居場所に到着した。男はそこにいるはずだ」


 レイラニが伝えた。


「了解」


 私は答えた。


「ちょっと待って。男はどこに隠れているの?」


 ミアが質問した。


「呪文を使うわ」


【呪文:イーグルアイズ】


 私は突然、近くの茂みから男の目が見えるのを感じた。


「こんにちは!私たちはあなたを助けに来ました。藪から出てきてください」


 男は藪から出てきた。


「あなたは魔法のランナー旅団の一員ですか?」


「はい」


 男はほっとため息をついた。


「あなたの名前は何ですか?」


「私の名前は菅田健二です」


 私はフードを取った。


「はじめまして。ミキチと申します。女の子のお二人はミアとエリーです」


 ミアとエリーはフードを取った。そして、健二に手を振った。


 健二も手を振り返した。


「はじめまして」


 自己紹介を終えると、健二は女の子二人をじっと見つめた。


「どうかした?」


 健二は私のそばにやってくると、耳元でささやいた。


「ハーレムがあるのか?」


「いや、ハーレムなんてないよ」


 私は一気に恥ずかしくなった。


「ごめん、冗談だよ」


「そう」


 私は健二をじっと見た。


「おい、聞こえてるぞ」


 レイラニが伝えた。


「別の女の子の声が聞こえる? ハーレムがあるじゃない!」


 私はため息をついた。


 ミアとエリーは私たちの会話を聞いて、私をじっと見るようになった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る