第20話 ゴースト泥棒 (9)

【森林面積】

【ローズシティ、ルナ王国 】

【310年】

【12:30】


 ミキチの戦いの最中、ゴーストシーフが現場に近づいてきた。一方、レイラニはタブレットを見ながら、ゴーストシーフを迎え撃つ準備をしていた。


 ゴーストシーフが到着すると、レイラニは木の上から奇襲攻撃を仕掛けた。


【呪文:アイススパイク】


 ゴーストシーフは氷の棘を素早くかわした。


「え? もう一人魔法のランナーがいるの?」


 レイラニはゴーストシーフに向かって駆け出した。しかし、ゴーストシーフは手裏剣を投げた。


【呪文:スピリットレイピア】


 レイラニはスピリットレイピアで手裏剣をかわし、その刃をゴーストシーフの首筋に向けた。


 ゴーストシーフは降参しようと両手を挙げた。


【呪文:ディスペル】


 ゴーストシーフの首にかかっていた首輪が壊れた。


「エリー・フランシス。お前は自由だ」


「待って。どうして私の名前を知っているの?」


「君のことを調べたんだ」


「なるほど。でも、捕らわれている私の家族はどうなるんだ?」


「まずは、あなたと取引をしたい」


 レイラニはフードを脱ぎ、微笑んだ。



 ***


【森林地帯】

【ローズシティ、ルナ王国 】

【310年】

【13:00】


 木々の間から逃げている間も、風の魔神は私に空中斬りを浴びせ続けた。


 レイラニが再び私に話しかけてきた。


「ミキチ。新しい味方ができたわ」


「ゴーストシーフが新たな味方なのか?」


「そうだ。彼女を仲間にしようと思っていたんだ」


「なるほど」


「ゴーストシーフが今、君に近づいている。彼女の本名はエリーフランシス。君を攻撃するふりをするだろう」


「了解」


 突然、エリーが現れ、プラズマボールで私を攻撃し始めた。


「ゴーストシーフ! 何をぐずぐずしているんだ?」


 風魔神が地面に降り立ち、エリーに近寄った。


「ごめん!モンスターと戦っていたんだ」


「後で罰してやる。魔法のランナーを殺すのを手伝ってくれ」


「ちょっと待って。私の家族はまだ生きているのか?証拠を見せろ」


「証拠を見せよう」


 風の魔王はポータルを召喚した。母と娘が鎖につながれて現れた。


 レイラニはすぐに私に伝えた。


「ミキチ!家族を捕まえろ!」


「了解!」


 風魔神がエリーに話しかけている隙に、私は全速力で走り、2人の捕虜を掴んだ。


「えっ?」


 エリーはプラズマボールで風魔神に攻撃を開始した。プラズマボールが風魔神に命中した。


「エリー・フランシス! 私に逆らうことはできん!」


 風魔神は手を振り上げた。しかし、エリーには何事も起こらなかった。


「そんなバカな!首輪が壊れているのか?」


「え!この首輪?」


 エリーはキツネの仮面を外し、微笑んだ。そして、首輪がなくなっていることを明らかにした。


「どうしてだ?


「他にもサプライズがあるの」


 エリーはランニングウォッチを取り出した。


「魔法のランナー!変身!」


 エリーはたちまち魔法のランナーのユニフォームに変身した。そしてフードをかぶった。

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