第13話 ゴースト泥棒 (4)

【廃墟となった地区】

【ローズシティ、ルナ王国 】

【310年】

【21:20】



 ゴーストシーフは魔法のランナーから逃げ出した後、廃墟地区に向かった。廃墟地区はローズシティの無法地帯である。また、この地区は貧しい人々や犯罪者の隠れ家にもなっていた。


 ゴーストシーフは赤いフード付きマントをまとった男に近づいた。


「エリー・フランシス。ダイヤモンドは持ってるのか?」


「はい」


「それを渡せ」


 エリーはダイヤの入ったポーチを男に投げつけた。男はポーチを受け取った。


「いつになったら家族を解放してくれるんだ?」


「あなたのサービスが必要でなくなるまでだ」


「チッ」


「魔法のランナー旅団に遭遇したのか? 正直に答えろ」


 エリーが首に付けている手錠が赤く光り始めた。


「はい。魔法のランナーに追われていました」


「ついに彼らが来た」


 赤いフードの男が笑った。



 ***


【商店街】

【ローズシティ、ルナ王国 】

【310年】

【20:20】


「本部に戻ってもいいですか?」


「ダメだ。我々のポータルネットワークには空きが少ない。近くの宿で休んでくれ」


「了解」


「それと、ゴーストシーフの首に鎖が巻かれているのに気づいたかい?」


「いいや。泥棒を追うのに気を取られていた。なぜ?」


「ゴーストシーフは、私たちへのヒントとして、わざと首輪を見せつけていたんだ」


「ああ、確かに怪しいな」


「そうだ。首輪は奴隷や囚人を操るための魔法のアイテムだ」


「なるほど」


「罠に引っかかっているかもしれない。もっと情報を集めてみる」


「了解」


 それから近くの宿屋まで歩いた。



【宿】

【ショッピング街 】

【ローズシティ、ルナ王国 】

【310年】

【20:20】


 宿に入ると、若い女将が出迎えてくれた。


「いらっしゃいませ!」


「部屋を予約したいのですが」


「空いている部屋はベッドが2つある部屋だけです」


「それにするよ」


「一泊につき12ゴールドコインになります」


 私はその女性に12枚の金貨を渡した。


「ありがとう。これが鍵です」


 私はその女性から鍵を受け取った。


「あなたの部屋は2階です。廊下を右に2つ目のドアです」


「ありがとう」


 私は階段を上り、自分の部屋に向かった。ドアの鍵を開け、中に入ると、ベッドが2つあった。


 ベッドは清潔で整然としている。また、部屋にはバラの花が飾ってあった。


 私は左側のベッドに横たわった。


「レイラニ。私は眠るよ。おやすみ」


「おやすみなさい」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る