小動物系生徒会長はTS転生した魔王です〜転校生がなんか異世界から直接来た勇者(♀︎)なんですけどどうしたら良いですか?〜

アイズカノン

第1話 TS転生魔王と異世界からの転校生

桜が程々に散ってしまい、緑色の木々が校舎の窓から見える廊下を歩く黒髪のセミロングに銀色の瞳、白いブラウスに黒いマイクロミニスカート、黒いブレザーに赤いリボンタイの制服を着て黒いタイツを履いた少女。

それが『今』の私。

名前は【碇凪紗いかりなぎさ】。

こう見えて前世は男性だった転生者である。

「おはようございます。凪紗会長。」

「おはよう、なぎちゃん会長。」

「今日も可愛いね。碇会長。」

 と、まあこんな感じの扱いなわけですよ。

身長は低く、140前後ぐらいというちんまい。

おまけに胸も制服を着込むとほぼ壁。

そのせいか、基本的に小動物系マスコットな扱いされてるわけですよ。

えぇ……はい。


 毎朝の業務が終わって自分の教室に戻った私は席に座る……。

「そこで何してるの……綾乃……。」

「え?、何ってなぎちゃんを待ってただけど。」

「そこ私の席……。」

「大丈夫。私を椅子だと思って座って!。」

「全然大丈夫じゃないだが……。」

 彼女は【黒咲綾乃くろさきあやの】。

黒いストレートなロングヘアに茶色と黒のグラデーションの瞳を持つ少女。

この世界での幼馴染で腐れ縁。

そしてこの街の総本山の【黒咲神社】の変態巫女である。

「ねえ、なぎちゃん。」

「なんだい変態綾乃よ。」

「今日転校生が来るって知ってる?。」

「そりゃあ初耳だ。」

「へぇ〜、生徒会長なのに知らないんだ。」

「うちの生徒会長はそこまで権限あるわけじゃないしな〜……。」

「世知辛いねぇ〜。」

「そうだね〜……。」

 まあ知ってはいるのだがね。

普段と違う魔力反応が一つ。

この世界と異なる根源を持つ魔力。

そして時は来る。


 それまでワイワイ騒いでた教室は一人の教員の到着とともに静まり返った。

「よーみんな元気か。元気だな。出席は……全員いるな。」

 ただこの人はとても頭のおかしい……と、私は思ってる。

一本お下げの茶色のポニーテールにちょっとつり目のスケバン?って言ったらよいのだろうか……、まあそんな容姿の先生である。

口にタバコに似た見た目のあのお菓子くわえてるし……。

「よーし、大人しくも良い子ちゃんのお前たち……、特に男子どもに朗報だ。今日は転校生が来る。それも可愛い可愛い女の子だ。」

 その先生の一声とともに幼い精神の男子同級生は「よっしゃー」だの「キター」だのと盛り上がってる……。

私を含めて女の子の同級生は引いて……いやちょっと男子に乗じて盛り上がってる人もいるなこれ。

まあ私は女の子達に含めて良いかは悩むけども……。

「はいはい。盛りがってるところ悪いが、そろそろ話題の子に登場してもらおうじゃないか……。」

 パンパンという手拍子とともにそれまで盛り上がってた教室は何事もなく静まり返った。

勝手に盛り上げといてこれである。

でも、この統率力は流石だなぁって……。

「それでは登場して頂きましょう。本日の主役。」

 ガラッと教室のドアを開けて入るのは、蒼く輝く白銀のショートヘアに蒼い瞳の少女。

基本的に黒いうちの学校の冬制服が対照的で目を惹かれるほど良く似合う。

よく恋愛系創作物で見られる導入。

ただ一点、強力な光の魔力という部分に目を瞑れば……。


 黒いブレザーと赤いリボンの制服によく似合う白銀のショートヘアと蒼い瞳の転校生の少女……。

スラッとしたその佇まいや程々に高く、かと言って男子たちよりもそれほど高くない身長……。

そして何よりも、ブレザーにギチギチに圧迫されてる胸……。

正直羨ましい。

「はじめまして、ユニシア王国から転校してまいりました。【優姫ゆうきリリシア】といいます。よろしくお願いします。」

 んーーーーーーーーーーん……。

待って、今なんて言った。

ユニシア……ユニシア王国!?。

「ねえ、ユニシア王国ってどこか知ってる?。」

「知らない。」

「えっ!?。つまり帰国子女ってこと。」

 導入の盛り上がりは何処吹く風。

困惑と動揺と疑問か教室を曇り空にしてしてしまう。

そりゃあ、いきなりどこの国かも分からないところ出身って言われたら分からないよね……。

それもそのはず、この世界に記憶も記録も伝承も遺跡も一切ない国……異世界の王国のことなのだから。

何言ってんだあの子は……。

「えー……、それじゃあ愛しの転校生ちゃんは……あぁ……あの窓際、ちょうど碇の後ろの席ね。」

「はい、ありがとうございます。」

 そんな私の心配をよそに優姫は黒板の前から先生に言われた席に移動する。

「よろしくお願いしますね。【魔王ルシファー】さん。」

「う、うん……。」

 私はこの時確信した……。

さよなら平穏な学園生活。

そしてようこそ、中二病の過去を持つ私。

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