アナベルさんはお強いのですか? sideリーリエ
「じゃあ行ってきます。
「あ!団長!一人で行かな」
アナベルさんが善は急げと言わんばかりに、悪魔討伐へ出発した。果たして善なのかは疑問ですが。
「はぁー。なんで一人で行くんでしょうか…まぁ、団長が負けるわけないけど」
カイトさんは、ため息を吐きながらも苦笑する。そう言えば…
「前から気になっていたのですが、アナベルさんってどのぐらいお強いのですか?四天王になるぐらいですから、魔族の中ではトップレベルであることはわかるのですが…」
私は、アナベルさんが魔術を使っているところを
見たことがない。よく訓練場で魔術師団の皆さんが訓練しているのは見るけれど、彼女は団長として指示を出したりアドバイスをするだけで、魔術を使って見せることはない。
だから気になって聞いてみたのだけれど…
「「「「強い」」」」
皆さん口を揃えて即答した。
「魔術に関しては魔術師史上最強だと思うぞ」
「アナは強くて綺麗で最強ですから」
「だから怒らせたら勝てないんだよな」
「魔力量が、おかしい。いくら年齢を重ねるごとに増えるとは言え、あんなに転移魔術をポンポン使えるのは、異端…」
魔王様はゲンナリした様子で、リアンさんは満面の笑みに誇らしげに、レオナルドさんは何かを思い出したようで少し怯えた様子、ソフィアさんは相変わらずの無表情ではあるものの、瞳は輝いている。
四人とも反応はさまざまだけれど、アナベルさんはただでさえ人間よりも強い、魔族の中でも最強と言われるほど強いということがわかった。
(でもやっぱり実感が湧かないんですよね)
普段優しいアナベルさんが魔術で戦っている所なんて想像できない。
「まぁ、見た方が早いですかね」
そんな私の心境を知って知らずか、リアンさんが席を立って、棚から綺麗な翠色の水晶玉を取り出した。
「でた、ストーカー」
「相変わらず過保護だなー」
ソフィアさんとレオナルドさんが、水晶玉を取り出すリアンさんを見て言った。リアンさんがストーカーとはどういう事だろう。
「ストーカーとは失礼な、しっかり本人には許可をとっているし、アナに何かあったらどうするんだ」
ますますよくわからない。一見なんの変哲もない水晶玉で一体何をするというのでしょう?
「じゃあはじめますね、
リアンさんが水晶玉に向かって魔術を発動する。すると、魔術を受けてしばらく光を放っていた水晶玉に何かが映しだした。何かと思い、覗き込んで見ると…
「あ、アナベルさんです!」
そこには、風が吹き荒れる岩場で悪魔と対峙するアナベルさんが映っていた。
(なるほど、ストーカー、過保護ってこういう事なんですね)
先ほどにお二人の言動に納得すると同時に、これを許可するアナベルさんは少し警戒心がないのではと心配になってしまった。
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