第7話 アンフィニ卿の正体

 「そういえば、エルも、このアンフィニ卿の邸宅に用事があってきたの?」


 金的のダメージから、だいぶ回復してきたアルは、何故、エルがここにいたのかを聞いてみた。するとエルも同様に、アンフィニ卿から名指しで、謁見するようと書面がきたと言うのだ


 「殿下から、直々に名指しで書面がくるなんて、私たち、何かしたかしら?」


 「さあ? 身に覚えがないね」


 どうやらエルも、全く身に覚えのない呼び出しに応じて今、ここにいるようだ。アルは、胸元にしまった兵証を2人いる門兵のうち1人に見せた


 「ご苦労様です。ユノース第三護衛隊所属の、アルフレッド・エンデです。本日、私と、そこにいる商人、エルサ・ロベール、共に、“アンフィニ卿に謁見えっけんせよ”と伝令を受けて、参りました」


 門兵は、少し待てといい、門兵を1人残して通用口に消えた。そしてしばらくすると、屋敷の門が開いた。その先には、見覚えのある、年老いた執事が待っていた


 「お二方、お待ちしておりました」


 「ポール!ポールじゃないか!」

 

 「ハハハ、お二方も随分と大きく、立派になられましたな。ささ、こちらへ。アンフィニ卿もお待ちかねですぞ」


 長い廊下を抜け、アルとエルは、広い応接室に案内された。ここで、しばし待てとのことだ


 「殿下の、御成おなぁーり」


 従者の掛け声で、俺とエルは片膝をつき頭を下げる。足音は丁度、目の前に置かれた椅子の前で止まる


 「おもてを上げよ」


 声は想像よりも若い、男の声だった。顔をあげるとそこには、蒼い瞳に、ウエーブがかかったブロンズ色の髪の青年。きちんとした服装に身を包んでいるが、見慣れた顔だった


 「やあ、“アル”に“エル”。久しぶり。元気そうだね!」


 「「レオ!?......いえ、失礼しました。殿下」」


 驚いた2人は、同じ台詞を同じタイミングで放ち、目の前にいる幼馴染の姿に驚いた


 そう、アンフィニ卿の正体は、幼馴染の“レオ”。レオナルド・ヴァンケルだったのだ

 

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