第4話 オレたちだけの秘密

 「......というわけなんだ」


 ひとしきり、何が起きたのか、レオは話してくれたが、アルには、何一つ理解ができなかった。ただ、アキラがやってきた世界が、ここではないことだけが、かろうじて理解できた


 「うーん、なんだか頭痛くなってきた...... その、今のレオは、もう、レオじゃなくて、身体はレオで、中身はアキラってこと?」


 「そうだね。簡単に言ってしまえばそうなんだけど、レオナルドくんの持ってる記憶や、この国の言葉を話す能力は、そのままみたいだ。現にこの二日間で、レオナルドの記憶をだいぶ思い出すことができた」


 レオは、ポールに連れられた少年が“アルフレッド”だということも、もちろん思い出していた。びっくりさせようとして、わざと、あんな喋り方をしていたのだと言って笑顔を見せた。それを聞いたアルは、レオが、完全に別人になったわけではないことを、ようやく理解することができた



 「そうだ、アル。ちょっとポールをからかって、びっくりさせようぜ」


 ホッとしたアルに、レオが、いつも見慣れた、『ニヤニヤ企み顔』で相談を持ちかける。嬉しくなって、“アルフレッド大将軍”はいつものように、“領主様”の話に乗っかった


 「もうベッドの上は飽き飽きだ。いいか、アル......ポールには、こう言うんだ......」



 「坊ちゃん、アルフレッド坊や。お茶が入りましたよ」


 お茶とお菓子の乗ったお盆を持った、侍女と共に執事、ポールが部屋に入って来た。アルはレオと一緒に、既に窓際のティーテーブルの椅子に腰掛けて、待機していた


 「ありがとな、ポール!もう全て思い出したよ」


 するとポールは、ワナワナと震え出した


 「なんと!全て思い出されたと言うのですか!?私のことも、お父様、お母様、お兄様のヤン様のことも全て?」


 「うん、もちろんさ」


 「オレがこう、レオの頭を斜めから、ぶっ叩いたら治ったんだ!」


 会話に被さるように、アルはレオに言われた通りに斜めにチョップする仕草とともに、ポールに言う


 「ぶっ叩いたら治ったぁ!?そんなバカな......!オ、オホン!ゆ......友情の力、というものかもしれませんな」


 イマイチ腑に落ちないポールが、目を白黒させて驚くが、なんとか取り繕おうとする仕草がなんだか可笑しくて、2人は大声で笑った


 そして次の日、アルは学校が終わり、広場へ向かうと,もうすでにレオとエルがいた。そして、3人集まったところで、エルにもレオの事情を話す


 「ニホン......そんな名前の国、聞いたことないし、世界地図にも、そんな国はない......魔法がない代わりに、機械技術メカニック・テックが発展した、高度な文明があるだなんて、とても興味深いね」


 エルは別の視点で、驚き、感激したようだ


 「じゃあ、このことは、オレたちだけの秘密な!誰にも言うなよ!」


 アルがそう言うと、レオもエルもにっこり笑った

 

 




 

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