第14話 給食フェア開催



 フードファイターとのコラボレーションから、およそ二週間後。大食い・早食い対決の次の企画として、店は給食フェアというフェアをはじめた。友高の「止水は給食を食べられていいな」というひと言から生まれた企画だ。



 それにともなって、揚げパン、わかめごはん、チリコンカーンを新しく発売した。それらは給食で好きなメニューとして名前がよく出る。給食弁当という、給食の人気メニューばかりがおかずの特別な弁当も作った。友高のような「給食が食べたくても食べられない大人」をターゲットとしている。その企画は目当ての客でなかった女子高生にもウケるほどヒットした。



 給食弁当は東温と沖豊も気に入る。



「人間の学校は、いつもこのような食事が出るのか!」



 ふたり、特に東温は初めて見るメニューに感動した。東温の昼ごはんは炊事担当の使用人がいつも作っているらしい。人間で例えるなら、毎日が夏休みの昼食のような感じだろう。



「給食のメニューはもっと豊富にあるわよ。栄養バランスがすぐれているだけじゃなくて味もおいしいから、学校でのいちばんの楽しみは給食、って考えの児童も多いくらいなの」



「人間の世界はすごいですなあ」



 沖豊はしみじみとしている。



「あやかしの学校の子どもたちって、昼ごはんはどうしているの?」



 止水は聞いた。



「弁当持参のようです」



 沖豊が答える。あやかしの世界では、学校や塾は平民の通うもの、という認識らしい。よって、高貴な身分の東温には別世界の話だ。



「大勢で食事するなんて、人間界の学校はにぎやかでよさそうだな」



 東温は少しうらやましがっている。



「そう? 私は家庭教師がつきっきりの東温がうらやましい」



 止水は集団行動がきらいや苦手というわけではないけれど、ひとりの方が好きだった。でも、なにをするにもずっとひとりだと、ないものねだりで東温のように学校生活にあこがれるか、と止水は考える。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る