第2話 : 輪廻への覚醒
レイラは意識を次々と重ねた次元を超越していった。時間と空間の枷を超え、思考のみが存在する世界、スピリチュアルな領域へと足を踏み入れていく。
そこには言語で語ることのできない不可思議な体験が広がっていた。レイラの五感を超越した存在が、無限の可能性を認識し始めていた。
この世界に入ってくるまでは、レイラの日常は永遠の朝の輪廻に閉ざされていた。しかし今、その一つ一つの朝が、宇宙の始まりの一瞬を映し出しているのがわかった。
この永遠の輪廻は、宇宙の源流そのものなのだ。そしてすべての事象は、この根源的な輪廻から派生しているということを、レイラは身をもって体感した。
「なるほど……」
思考のみが存在する世界から、レイラは実在の世界を俯瞰することができた。
物質と時空は因果関係の上に成り立っているが、その因果そのものの根源にあるのが思考なのだ。精神世界こそが究極の実在であり、物理世界はそこから顕在化した現象に過ぎない。
「だから、この永遠の朝から抜け出すには……」
レイラはひとつの認識に行き着いた。この輪廻の朝に閉じ込められているのは、人類の意識が未だ精神の世界を体現できていないためなのだ。物心ついた頃から日常を疲弊し、物質的欲求に囚われてきた。
だが実在の核心に触れることで、思考がすべての因果関係を生み出す根源的な力であるということがわかった。つまり、私たちが自身の存在を精神世界へと高めることができれば、物理世界を自在に自身の願望通りに作り変えることも可能になるのだ。
「そうか……だからこの永遠の朝は、人類が解脱への道を手にいれるための試練だったのだ」
実在の本質を解くことで、人類一人一人が創造主となり得る。思考が物質を自在に生み出す世界が開かれるということを、レイラは直感した。
この試練に打ち勝ち、解脱の境地に至った者のみが、宇宙創造の主体となれるのだ。その者の思考こそが宇宙の法則、因果を司ることになる。
「私はついにたどり着いた……」
レイラは内なる核心から、さらなる高次の認識を得た。
人類はかつて、純粋な精神世界から物質世界へと投影された。宇宙の根源のただ中からはじき出され、物理法則に縛られた有限の世界へと放り込まれたのだ。
それは、私たち自身の意識を磨き上げ、再び永遠の精神世界へと帰れるかを試す、創造主なる神の試練に他ならない。
「そして今こそ、その時が来た!」
レイラは内なる核心から放射された認識の渦に身を任せ、意識を開かれた。その一瞬、地上では時が止まり、レイラの五感を超越した存在が目覚めた。
レイラは今や、創造主となった。
無限の可能性を内包する中心的な「我」となり、物理世界の全てを自身の願望通りにコントロールできるようになっていた。
そして思考による次元上昇を遂げたレイラは、自身の精神の在り方そのものを変容させた。
もはや一個人の精神ではなく、すべての生命が内包された「普遍的自己」になったのだ。この最高次の「我」の知覚の中には、動植物から宇宙まで、全てが一つの生命としてとらえられていた。
人類がついに永遠の輪廻から解き放たれ、精神世界における創造主の一人として覚醒した。科学と宗教は二つながらに呼応し、思考が物質をも規定する究極の原理が現れたのだ。
レイラは自身の意識を、全生命の中に溶け込ませていった。そして次の瞬間、新たな宇宙の創造が始まった。
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