第012話 砦攻略ミッション

 今日は午後からE.G.G.に参戦中。


 今回は大きめのミッションに参加しようと思う。

 たまにはこういうミッションに参加して、他のプレーヤーとの顔つなぎもしておかないといけない。

 それに、ある程度レベルが上がると所属している国からも参加を求められるので、適当に大きめのミッションに参加しておいてやりたくないミッションに呼ばれないようにしている。

 今回もそんな所。

 ソロが信条の俺としては、あまり規模の大きいミッションには参加したくない。

 それでも、年数回くらいはある国同士の衝突ミッションは、ゲーム内にいる限り強制参加させられたりする。しかも、突発ミッションの時もあるので、いつ発生するか分からないのは困る。


 今日はそんな理由もあって、前回墜とした砦より数倍大きい砦の攻略を行う。

 常駐しているアーマードギアは20機程度と予測されているので、それ以上のプレーヤーを募集していた。

 参加プレーヤー数は多いほどいいから攻略当日でもまだ募集している。俺は締め切り直前まで申し込まず、個人個人に割り当てられたアーマードギア用のドックで待機中。

 静御前とやらと関わりたくはないからギリギリまで申し込まない。必要プレーヤー数を下回れば、その時点でミッション不成立になるので諦める。


  <<ミッションへの申し込みありがとうございます>>


 申し込みは出来たようだ。


 <<Mission Start>>


 プレーヤー数も十分だったようだ。

 さて、フィールドを降り立つ。


 周囲にいくつかのチームでまとまっているアーマードギア達がいる。メインチーム5機と、その他の3から6機のチームが4隊。

 他、ソロで来ている機体も俺を含めて10機ほどいる。合計33機での戦闘となる。

 そのまま作戦の通達が始まる。


 まずは砦周辺の確認できているアーマードギアへのスナイピング。

 前回俺がやったのと同じだ。これで数を削る。少なくとも攻撃手段を削る事が必要だ。

 その後、ミサイルの一斉掃射。

 ミサイル攻撃の結果を確認せずに突入開始する。

 後はチームもしくは各個、敵機を撃破して砦を墜とす予定。


 これでうまくいけばいいが、大元の駐在しているアーマードギアの数が20機程度という情報が、どのくらい違っているかで戦況が変わるだろう。

 後は敵機の力量次第。

 さあ始めるか……


「おーい、タケル。スナイピングの方にも参加してくれって」

「他に上手いやついるだろう?お前のチームの奴とか」

「あいつも呼ばれてるよ。スナイピングがある程度上手い奴全員招集だって」

「じゃあ、仕方ないな」


 スナイピングには俺も参加する事となった。

 俺は砦の上にいるアーマードギア1機を狙う。他の機体もどれを狙うか事前に共有してターゲットを決定した。


  バシュッバシュッ


  ガシュッバギィ


 俺のターゲットは今回も右肩からごっそり腕部を失った。

 他の敵機は頭部を失ったり、腕部だけを失ったり。外したやつもいるのがまぁまぁの命中率といえる。

 そのまま一気に砦へ攻め込む。

 俺はまだスナイパーライフルを持ったまま、ホバーリングで砦に突っ込んで行く。


  バシュッバシュッ


 また、手前の方にいるアーマードギアの右肩を狙う。しかし、ホバーリングでの移動中ために1発しか当たらなかった。

 それでも体勢を崩し、持っていたアサルトライフルを取り落とした。

 さらに次を狙う。武器を手放させれば、こちらへの攻撃が減る。その間に叩けばいい。


「ナイスだ!タケル。他のもよろしく」

「手が空いてたらな」


 その後も2機ほど銃火器を落とさせて突っ込む。

 移動を始めた直後に、後方にいた部隊がミサイルを全弾砦に向かって発射した。


  ドーーン ドーーン ドドーーン


 アサルトライフルに持ち替え連射しつつ、敵機同士の間に入り込む。そうすればフレンドリーファイアも怖かろう。そう簡単に撃てないはずだ。

 まぁ、お隣さんが嫌いだったら別だけど。

 撃てなくなった2機の敵機に向けて、アサルトライフルとパイルバンカーを叩き込んだ。


  ドガッ ガガガ ガガガ


 両方のコクピットに銃弾とパイルバンカーが突き刺さった。

 プレーヤーの死亡判定と共にアーマードギア2機共大破となった。


 その場に擱座した2機を残して次の敵機に向かう。

 既に確認できる敵機は交戦中。

 砦の内部や向こう側に何機いるか、今の所不明だ。まずは向こう側にいる敵機の数を確認したい。

 アクティブにスキャンすると、砦の向こう側に10機、砦内部に5機といったところだ。

 手近にいる数機に声をかけスキャンの結果を伝え、一斉にバーニアを吹かしてジャンプし砦の上に上がった。


 砦の上には内部に入る出入り口があった。そこに向けグレネードを2発撃ち込んで出入り口を潰す。ついでに内部が崩れれば、中にいたアーマードギアがやられてくれてるかもしれない。

 砦の向こう側を目視した味方機が敵機の正確な数を通達してきた。やはり10機で間違いなかった。

 とりあえず味方機のフォローと敵機の牽制を手分けして行う。


 味方側は2対1以上で戦っていたから大丈夫かと思ったが、下手な組み合わせもいて劣勢に陥っていた。そこにアリスティアだったか静御前の機体だった。

 あのレベルで何故参加する?

 仕方がなく砦の上から対戦している敵機に、アサルトライフルを撃ち込んでおく。注意していなかった背後からの攻撃に体勢を崩して倒れた。

 後はいいだろう。他の味方機のフォローもしておく。




静御前Side

 助かった。またやられそうになった。

 誰が助けてくれたんだろう?

 見上げたらクサナギがいた。

 また、助けてくれた。

 お礼を言ったら「偶然だ」とか言うんだろうな。




タケルSide

 いい加減自分のレベルと見合わないミッションに参加するのは止めて欲しい。

 本当にたまたま助けただけで、狙って助けてるわけじゃないんだが。

 同じ所属なら余力があれば助けるくらい普通だが、ずっと面倒を見ていられるわけじゃない。

 まあ、いい。次にいこうか。


 砦の向こう側の敵機を墜とさないと。

 もう何機か向こう側に降りて戦ってる。

 俺も降りようと思うが、その前に砦内部に入る他の出入り口にもグレネードを放り込んで潰しておく。


 グレネードを放り込んですぐ、砦の向こう側の空いたスペースに降りる。

 こちら側は俺達の国の方が劣勢だ。早く他の味方機が来てくれればいいのだが。


 まずはとにかく敵機の集団の中に入り動き回る。敵機の数が多い以上向こうは銃撃を控え、ヒートサーベルなどの格闘戦を仕掛けてくる確率が高い。

 逆にこちらは撃ち放題だ。味方機に当たったらごめん。

 更に手近な所の敵機にはパイルバンカーを撃ち込んでいく。

 もう、やりたい放題だった。

 次々と敵機を損傷させていき、味方機と共にとどめを刺していった。


 その頃になると、砦の反対側は制圧され、門扉を破壊してこちら側と砦内部に味方機が侵入し始めた。

 これでゆとりが出来る。

 一旦戦列から離れ、休息を取りつつ味方機の援護射撃を行う。


 全体を見渡せば、最初にこちらへ突撃した味方機も大きなダメージは受けていなさそうだ。

 それに巫女みたいなアリスティアもなんとか行動しているようだ。

 もう一度砦の上にジャンプし、周囲を警戒する。今のところ敵国側からの援軍はなさそうだ。

 スナイパーライフルに持ち替えて援護射撃をしながら、そのまま周辺の警戒態勢に入る


 しかし、なぜか目の前を緋袴風のアーマードギアがうろちょろしていて目障りだ。

 しかも度々攻撃を食らいそうになっている。

 手が空いていることもあり味方の援護として、砦の上からスナイプしている。

 援護射撃する度にこちらに手を振っているのが更に目障りだった。




 残敵も掃討してメインチームからミッション終了の合図が上がった。

 今回の敵機も味方同士の連携不足で、中に入られたら誤射を気にして攻撃が出来なくなるような奴等で助かった。

 逆にチームワークもへったくれもない喧嘩ばっかりしている敵機のチームの方が面白いのかもしれない。


 << Mission End >>


 これでこちらの領地も広くなり、定期報酬が増える。

 他の味方機も気が緩んだその時、敵国側から1機砂煙を上げて接近するアーマードギアを発見した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る