第007話-1 散歩
今日は学校が休みだ。
いつもならE.G.G.を朝からやっているところだけど、今日はアリーシャにリアルの近所を案内することになっている。
今の御時世、買い物なんかはメタバース内で選んで配達してもらうのが普通で、実店舗に行って買い物なんかはあまりしない。それでもリアルがいい人向けに小さいスペースながらも実店舗で買い物出来るスーパーもある。
散歩がてらその辺を案内してほしいということで、後でアリーシャと出かけることになってる。
その前にいつもの日課であるセイラの面倒を見る。
朝食の準備をして食べさせる。
今日はフレンチトーストとヨーグルトサラダ。
野菜嫌いなセイラに始めてまともに野菜を食べさせたメニューだ。最初は単純にドレッシングをかけただけでは食べてくれなかったんだよな。
朝食を食べてるとシズヨおばさんも仕事上がりでダイニングに出てきたんで、同じものを出す。シズヨおばさんは甘い系が好きだから今日のメニューだとたくさん食べる。
「ヤマト、今日はアリーシャと出かける?」
「ああ、近所を案内する事になってる」
「ヤマトくん、うちのセイラからその子に乗り換えて捨てるつもりなのね?」
「そう、私、捨てられるの」
「人聞きの悪いことを言うな!」
セイラの脳天にチョップする。
そんなに強くはしれないけど、セイラは痛いふりをしてる。
「隣に越してきた子がこの辺の実店舗のお店とか見てみたいって話になったんですよ。セイラも来るか?結構歩く予定だぞ」
「セイラも連れてってもらいなさい」
「疲れるからやだよ」
「ヤマトくん、取られるわよ。いいの?」
「ぷーー」
結局セイラも来ることになった。
まぁ、2人っきりだとデートと思われてアリーシャに迷惑をかけることになるからいいか。
朝食を済ませてからセイラの準備をする。
いつも学校に行くのと同じように、歯磨き、洗顔、保湿してから、出かける服選び。
学校に行くわけじゃないから私服を選んでいく。学校だって本当は制服着てる必要はないんだけどな?
春先でちょっと肌寒いから露出を抑え、クールネックのサマーニットにカーディガンを羽織らせればいいだろう。暑くなればカーディガンは脱いで腰に巻いておけばいいし。
ボトムスはレギンスにキュロットで動きやすく寒くないように。
後は髪型と化粧。
髪型はツインテールでいいか。その方がアリーシャが喜ぶかもしれない。オタク趣味なら。
化粧は薄くナチュラルに。あまりやりすぎると凄い事になるから。
後はバッグや靴、アクセを決めて完成。
シズヨおばさんが見惚れていた。
「ヤマトくんのメイクアップはいつもながら凄いね。セイラが当社比150%綺麗になってるよ」
「なら良かった。いつまでも出来るわけではなくないですけどね」
「やだぁ、ヤマトは私の専属なんだから」
「無茶言うなよ。お前が稼いで俺を養ってくれるでもないと無理だって」
「あらあら、セイラは頑張ってヤマトくんを養ってあげばいとね」
そんなことは難しいと思うけどね。
俺がセイラの事を好きになれば、惚れたということで条件は変わるけど、今の所そんなところだ。専属にするなら養ってくれるようにならないと無理。
その後は自分の準備をする。
といってもそれほど大した事はしていない。
髪型はいつも通りだし、服装はそれほど気合を入れて選んでいない。
ボトムスは黒のタイトなスラックス。インナーは薄手の白のトレーナー、アウターはグレーのパーカーにしてみた。
普段とそれほど変わらない格好だ。
準備も出来たので、セイラを連れてアリーシャの部屋に行った。
玄関のチャイムを鳴らして待つことしばし。
ドアがガチャッと開いてアリーシャが姿を現す。
こちらも学校の制服と始めて会った時の私服以外知らない。
アリーシャはミニスカ、ニーハイで、トップスは昔の女子の制服のようなシャツにカーディガン+ネクタイといった感じだった。
シャツやカーディガンは少し小さめなのか、だいぶ身体の線が出るような状態だった。
古いアニメの影響なのか?
「おはよう、ヤマト。セイラもやっぱり行くの?」
「おはよ、アリーシャ。ああ、セイラも行くことになった」
「ちょっと待っててね。バッグ取ってくるから」
「そんなに急がないから、落ち着いてな」
セイラSide
アリーシャの服装、ヤマトを狙ってるのかな?
ミニスカートにニーハイソックス。上も胸の部分が大きいのが分かるような小さめなのを選んでる。
あざとい。
でも、すごく似合ってる。
私もあんなの着たいけど、ヤマトが着させてくれない。
アリーシャSide
ヤマトと出かけるからちょっとタイトなのにしてちょっと恥ずかしい。
でも、ヤマトの反応が普通だった。
この程度じゃダメなのかな?
セイラの服装、キュロットが可愛いなぁ。
でも露出が少ないなぁ。足もレギンスで隠してるし。トップスも体型が出ないようにしてあるし。
ヤマトはセイラを過保護なくらい守ってるよね。
それともああいったのが好みのファッションなのかな?
ヤマトSide
さて、出かけよう。どこから行こうか?
近所のパン屋を経由して公園に行く。
「ここは時々使ってるパン屋さん。菓子パンや惣菜パンも美味しいよ」
「菓子パン?惣菜パン?」
「菓子パンは大体甘いパンかな。餡子とかクリームなんかが入ってたりメロンパンみたいにクッキー生地を被せてたりで、お菓子的なパンか?
惣菜パンはポテトサラダや焼きそば、メンチカツを挟んでたり、コーンマヨやベーコンが乗ってたりとちょっとした料理とパンを合わせたようなパンかな?大枠としてホットドッグやハンバーガーもこっちのカテゴリーに入るかも」
「へぇ。料理をパンと食べるんじゃないんだね?」
「ああ、この辺はパンだけで食事を済ませる感じだな。後、お菓子代わりにも」
「菓子パンはいろんなのがあって美味しいよ、アリーシャ」
「うん、食べてみたい」
パン屋に入ってセイラがいろいろ菓子パンを物色している。
アリーシャも惣菜パンが珍しく、どういった物なのか俺に聞いてきたので答えた。パンと一緒になっている料理は作れるから食べたいなら言ってくれともいっておいた。
2人に菓子パンを買って、食べながら公園に向かうことにした。
「メロンクリームパン、美味しいね。」
「あんパンが美味しいです。また買いに来ますよ。ヤマト、いいお店を教えてくれてありがとうございます」
「セイラ、クリームが口の回りに付いてるぞ」
「んん」
セイラの口の回りを拭いてやる。
それを見たアリーシャがうらやましそうな顔をしている。同じ事をしようとしているのかもじもじしつつ、真似出来ないというような感じで我慢しているようだ。
その仕草がちょっと可愛くて面白い。
### 続く ###
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