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「で、アプリで知り合った25人の男たちと、霊能力者2人と、旦那さんを殺したと?」と担当刑事の田村が言った。
「はい。事実です」
私は取り調べを受けている。もう、10日以上同じ事を聞かれては、これまで起こった事を順に説明した。相手は信じる気配はなかった。
「その肉を子供に食わせた。なぜ、そんな野蛮な事を思いついたのですか?」
「ですから、あの子がそれを望んだからです。体が変身して普通の食べ物では満足いかなくなった」
「ですが、息子さんは今、一時的に施設にいますが普通の食事を食べていますよ。どう説明するおつもりですか?」
「ですから、何度も言った通り健は変身して・・・」
「埒があかない。あなたは、ことの重大性に気づいていない。28人を殺して、その死体を子供に食べ与えた。こんな悍ましい事件は世界中探しても類を見ない、とんでもない事件だ。それなのにあなたは、冷静に話している。正直怖くてたまらない」
「そうですか。健は元気にやっているんですか?」
「息子さんは、施設で元気にしている」
*
長い取り調べが終わると、留置所の布団に横になった。
私は、健が元気にしているのか不安で仕方なかった。ちゃんと、食べられているのか。
昨日、弁護士と話した。弁護士の話よると、世間では大変な騒ぎで連日特集を組まれてニュースで放映しているらしい。
私にとっては、関係のない話だ。それより、なぜ健が異蛮でなくなったのかが不思議だ。確かに健は異蛮だった。なのに、警察官が踏み込んだ時には普通の健に戻っていた。もしかすると、全て妄想だったのかもしれない。健が異蛮に見えていただけなのか?それとも、これは異蛮の能力なのか?
今となってはどうでもいいことだ。幸にして健は元気らしい。それだけが救いだ。
弁護士の話によると、健は雅人の叔父である浩司の家に引き取られる事になっている。あの家なら問題ないだろう。
私は、25人を殺しに関わった事に関してなんとも思っていなかった。例え、健が、異蛮でなかったとしても。
おそらく死刑は免れないと弁護士に言われた。失敬執行まで何年かかるだろうか。裁判は長引きそうだし、死刑を求刑されてから死刑に至る時間はかなり長い。
私は疲れていた。早く死刑になって楽になりたかった。
異蛮 駄伝 平 @ian_curtis_mayfield
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