第22話 妖精たちの庭園で新素材の発見だよね。



 朝になったよ。今日もセレスとリリィに挟まれて寝ていた。「あら、トオル起きましたか? 昨日は素晴らしい宴でしたね」「僕ちゃん、珍しくトオル君より早く起きれたよ。トオル君の無防備な寝顔は眼福がんぷくだね」


「2人ともおはよう、昨日は楽しかったね。リリィお姉ちゃんは恥ずかしいからジロジロ見ないで!」照れ隠しに僕は叫ぶが、2人はニヤニヤして生暖かい感じだ。むう、何かびっくりさせないとな。


「もう、早く起きるよ!」僕はそう言ってセレスのベッドから出る。そして2人が起き上がったところで2人まとめてハグした! 2人はビックリしてるがお構いなしにちょっと背伸びして2人の唇にキスした。


『トオル!? いつからこんな大胆なことをする子になったのですか!? でも強引にキスされるのも良いーー!!』『僕ちゃんにも唇にキスしてくれた!! これってファーストキス? セレスと一緒にするのがちょっと気に食わないけど……まあ良いか!』


 2人とも急にキスされて顔を真っ赤にしてるよ。僕は思ったよりも大胆なことをしてしまったなと思って自分でも頬を染めていそいそと離れて、クルッと後ろを向いた。「トオル、自分でキスしておいて顔を赤くするのは反則ですよ……テレテレ」「本当にそうだね。やばい、母性が限界突破しそう……」


 3人で顔を赤くしているとゴン太とアニーが様子を見に来た。「トオル、この甘酸っぱい空気は何だ?」「どうせ3人でイチャイチャしていたのです。私もイチャイチャ……ゴニョゴニョ」ゴン太は呆れ、アニーは最後の方は小声でゴニョゴニョしていた。僕は何もしてないから! と誤魔化し、セレスの城を出る。


「トオル君、今日は何をする予定なの?」リリィが首を傾げて聞いてくる。うん、あざと可愛いな、リリィはちょっとニヤニヤしてるから狙ってやってる。「トオル、だらしない顔はダメですよ、食べちゃいたくなります……」セレスは僕を戒めたあと小声でニヤニヤして何かを言ってる。


「はいはい、2人ともニヤニヤしないの。今日は妖精たちの庭園で特殊な効果がある作物を探すよ。あとだらしない顔はしてないよ!」僕は顔を引き締めて言い切った。


「特殊な効果を持つ作物ですか? うーん、昨日の宴には出しませんでしたが、あれなら良いかも?」セレスは少しの間考えていたが、やがて考えをまとめると、こちらです、と言って歩き始めたよ。


 妖精たちは自生している作物を畑のように何ヶ所かに種類ごとに分けているようだ。そして目の前に見えてきたのは青々とした大きい葉を実らせた作物の畑だった。「これはどうでしょう。魔力回復を助長する特殊な芋です。私たちは『魔光根マジック・ポテト』と呼んでいます」


 みんなで「魔光根」を葉っぱを引っ張って抜いてみる。僕は未だに筋力Gだから抜くのが大変だった。「トオル君、もうちょっとで抜けるわよ!」「トオル、腰に力を入れるだ!」リリィとゴン太に応援してもらってようやく抜けたよ。


「この「魔光根」は妖精たちの庭園では食べられていないのか?」「私はたまに食べるのですが、あまり人気は……」「だって焼いても蒸しても同じ味なんだもん!」僕の発言にセレスといつの間にか着いてきていた幼い妖精が嘆いていたよ。


「そんなことない! 魔光根は美味しいはずだ!」僕が叫ぶと着いてきていた皆がびっくりして黙った。「後で、僕が魔光根の美味しさを証明するよ! 他には特殊な効果を持った作物はあるの?」


「他にはこんな作物がありますよ!」アニーが私の番ですとばかりに張り切って教えてくれたよ。


 フロストリーフ: この葉は冷却効果を持ち、料理に使うと食べ物を長期間新鮮に保つことができる。また、魔法の冷却剤としても利用可能。


 ドライマッシュルーム:特殊な魔力により近くの空気を乾燥させることができる。魔法の乾燥剤に加工することも可能。


 サンライトコーン: 日光のエネルギーを集める特殊なトウモロコシ。これを使ったポップコーンは、食べると元気がみなぎり、疲れを瞬時に取り除く効果がある。


 他にも色々と特殊な作物を教えてくれたが紹介しきれないので、割愛するよ。フロストリーフとドライマッシュルームは僕が待ち望んでいた待望の作物だ。保存状態が大切なものも二つの作物があればクリアできる!


 サンライトコーンは妖精たちは茹でて粒を落として食べていたみたいだね。コーンポタージュとかにできたら美味しそうだな。ミリアに神様ノートで作り方を教えてもらおう!あ、ポップコーンもいいかも!でもあれは粒の小さいコーンじゃないとダメだった気がするな。


 とりあえず今日は魔光根の美味しい食べ方を妖精たちに教えよう。作るものはじゃがいもから作れるスナック! ポテトチップスだよーー!でも植物性の油がないかな? セレスとアニーに相談すると……


「油ですか? うーん、私たちが作ってる植物から取れる良い香りの油ならありますよ。名前は魔菜の種マジック・ナノタネですね」倉庫にあるとのことなので見にいくと陶器の壺に植物性の良い香りのする油があったよ。食用に使うことも可能とのことなので使う分だけ壺を持っていくよ。


 油を土鍋に入れて温めるよ。うーん、鉄製の鍋も欲しいよね? そういうのを作ってる魔物の村はないのかな? 後でセスに聞いてみよう。「トオル、魔光根をどうするだ?」


「僕ちゃんはわかるよ! 油で揚げて美味しくするんだよね?」「そうだね、天ぷらを作った時と一緒かな?」油が温まったら皮剥きして薄くスライスした魔光根を油で揚げる。いい感じに狐色になったら上げて油を食用にもできる葉っぱに載せて油をきる。


 岩塩をパラパラとかけて完成だ! セレスとアニーとゴンタと妖精たちはおっかなびっくりで揚げた魔光根を見つめている。「トオル、この料理は何というのですか?」うーん、どうしよう……


 魔光根は「マジック・ポテト」だから「マジック・ポテトチップス」? 長いから「マジポテ」にしよ!


「この料理は「マジポテ」だよ。じゃあ僕から……」「トオル君が作ったんだから美味しいに決まってる! お先にいただき!」僕が食べるより先にリリィが手に取ってパクッと口に入れた。「サクッ!」という音にみんなびっくりしてる!リリィは食べた後、体をフルフルとして、うーん!と唸った後、一気に喋り出した。


「この「マジポテ」超うまい! 最初の一口はサクッとして食べやすいんだけど、噛み出したらマジポテの持ってる甘みと旨みが口中に広がって幸せなの! しかも……」グルメな美食家みたいなことを言ってる途中でリリィの体が光りだしたよ。

 

「魔力が回復するぅうう! こんな美味しいものを食べて魔力も回復するなんてしあわせすぎるぅううう!!」リリィはめちゃくちゃ興奮して叫んでるよ。なんかリリィのキャラ崩壊してない? ハマりすぎたら困るからちゃんと見てないとダメだね……


 そんなに美味しいならと……恐る恐る、セレスとアニー、ゴン太と妖精族のみんなも一口食べてみてから……バリバリと無言で両手にマジポテをつまみ出した!? 


「うーん、これはいけません。美味しすぎていけません! マジポテは私だけの食事にします!」セレスがとんでもないことを言い始めたよ。


「いくら、女王様の命令でもそれは聞けません! マジポテは妖精族だけの料理にしましょう! 女王様だけ抜きでね? ね? みんな?」「うん! こんな美味しいものを商品にするなんてもったいない!独り占めしようとする女王様はおうぼーだ!!」アニーと妖精たちはセレスに対してストライキを始めたよ……


「このマジポテはたまらんだ!! オーラン村でもこの芋を栽培するだ!!」ゴン太が一番まともなこと言ってるよ! 流石は師匠だ! 「オラはこれから3食マジポテを食べるだ!!」うん、やっぱりだめだ。マジポテは魔物と妖精たちを狂わせる食べ物なのか? ここはちょっとだけ脅してやろう。


「みんな、マジポテはとっても美味しいよ? でも一つ弱点があってね? 「太るんだよ」マジポテを食べすぎるとね……」その言葉にリリィとセレスとアニーと妖精たちはギギギと首を軋むようにこちらに向けて身を震わせる……


「あーこれから、みんなの顎が弛んで二重顎になるのが目に見えるなぁ。お腹も2段腹になるんだろうなあ……」僕はニヤニヤした顔を隠して、悲しそうな表情を作って言う。


「いや、いやよ!! 太るのはいや!!」リリィが叫んでる。「私が太る……? 魔力の塊だからそんなはずは……いや……魔力が回復するのであれば総量が増えるから……」セレスは顔面蒼白になって、ブツブツ呟いてる。


「そんな……太ったらトオルに愛して貰えなくなる……」「私たちデブになっちゃうの……?」アニーと妖精たちは真剣に考えながらも、マジポテ食べちゃってるよ。しかも当人たちが気づいてないのが怖いよ……


「オラは関係ないだ。暇な時は稽古してるからなぁ」ゴン太はスクワットしながらマジポテをつまんでる。そしてその一言に女性陣が振り向く! 「「「「運動すればいいのよ!!」」」」


 その熱量に僕は震え上がったよ。この後、商品開発ではなく、体に効くゴン太の筋トレ稽古に移った。なぜか僕まで付き合わされたよ。体が痛い……明日は筋肉痛だ。














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