第14話 魔力菌の話だよね。
今日は試験的に17時に投稿しました。あとタイトルも小説の内容にあったものに変えました。よろしくお願いします。
僕はリリィお姉ちゃんと一緒に帰って、ガラルとリリィお姉ちゃんとセスと一緒にご飯を食べることにした。今日の夕ご飯には山菜があるよ。僕を心配してアク抜きした山菜をオババが持たせてくれたのだ。
山菜はアイテムボックスの中に入れていたよ。リリィお姉ちゃんはびっくりしていたけどオババはそういえばスキルに合ったわね、と言って普通の対応だった。
リリィお姉ちゃんは、家建てるときにトオル君も運べたじゃん、とツッコミを入れ、確かにとなったのは内緒だ。なんか持ってるスキルのことを忘れちゃうんだよね。ちゃんと気にしよう。
そしてもう一つ忘れていたことがある。鑑定スキルだ。これで山菜の鑑定もすれば良かったじゃん!! 僕はかなり忘れっぽいってことを自覚したのであった。
帰ってセスといつもの丸黒パンを作りながら山菜も鑑定する。今回の丸黒パンは塩も練り込んで発酵させているよ。焼き上げている間に山菜のタラノメを鑑定すると……
タラノメ:アナザークラウド産の山菜。山のバターといわれるほど良質なタンパク質と脂質を含みビタミン豊富。異世界産であるため魔力を含み、食べると魔力が回復するため、美肌効果までもたらすそうよ。
なるほど魔力が含まれているから、美肌効果がついてるのか!! 一つ疑問だけど魔力が含まれていたら美肌効果もつくんじゃないのか?? そもそも魔力ってなんなんだ?
うーん、と考え込み色々あって錬菌術のレベル2を使っていなかったことに気づく。まあまだ植物や動物は作れないって言ってたし、顕微眼で山菜見るくらい許されるよね?
『そうよ。トオル君、錬菌術をどんどん使って抵抗感を失くすのよ、フフフ』
ミリアお姉ちゃんの悪い顔が想像できるよ。でもなんか企んでそうな感じがするんだよな、嫌な予感がしてるんだ。ねえ、何も悪いことはしないよね?
『ええ、もちろん。トオル君とトオル君の大事な女の子達に悪いことしないわよ。』
うーん、それならまあいいか、でも何か引っかかるが…… とりあえず顕微眼で山菜の細胞をみてみる。
植物の細胞って理科の実験で見たことあるけどなんかすごい。当たり前だけど一つ一つの細胞が合わさってできてるんだ。植物にある葉脈や葉緑体なんかも見えるな。神様ノートに植物の細胞の機能と働きなんてのってないかな?
植物の細胞は、いくつかの特有の構造を持っているわ。主な構成要素は以下の通りよ。
1:細胞壁:セルロースでできており、細胞に強度と構造を提供するわ。
2:細胞質:細胞の活動が行われる液体よ。
3:核:遺伝情報を含み、細胞の活動を制御するそうよ。
4:葉緑体:光合成を行う場所で、エネルギーを生産するわ。
5:液胞:主に水を貯蔵し、細胞の形状を維持する役割があるそうよ。
でもこの構造をみると魔力を蓄える場所はないよね。魔力って本当に不思議だ。そう考えながら、顕微眼で何気なく空気を見ていると、この眼でもまだ小さく見えるほどの微小な星型の菌が見えてきた。
セスや僕の体内にも取り込まれているのが見える。どうやら小さすぎて物質を透過しているようだ。だが大きい粒もありそれらは血の流れに取り込まれているようだ。これはもしや!? 魔力の粒?? いや魔力の元になる魔素というべきものだ。
顕微眼なら魔素が見えるんだ。急いで山菜の構造を見ると魔素を示す星型の微小な粒が細胞に取り込まれている。そしてそれを食べる菌らしきものも見えるではないか!! これは魔力を細胞内に蓄える働きをしている菌なのかもしれない。
セスの細胞を見るとやはりあった。僕はずっと不思議だったんだ。魔力というのはどこに蓄えられているのか分からなかったからね。さっき帰るときに顕微眼でリリィお姉ちゃんの体内をさりげなく見たんだけどファンタジー小説にありがちな魔力核ってのが見つからなかったんだよね。
あ、やらしいな。って考えた人いるかもしれないけどリリィお姉ちゃんの健康チェックだから!! 最初に服だけ透過してみるなんてやってないからな!!
『語るに落ちてるじゃない…… やっぱり今生のトオル君、エロ過ぎる気が…… ブツブツ』
聞こえない、聞こえないったら聞こえないぞ。何か変なことを言われた気もするが…… 後半から何言ってるか聞こえなかったよ。
とりあえず菌の話に戻るよ。この菌を魔力菌、名付けて魔菌と呼ぼう。この魔菌、僕たちの意志で制御できるんじゃないか?? だって纏い術をするとき、どうやって魔気を発動させるんだ?? 魔法を発動させるときは??
セスに頼んで灯りをつける『ライト』の魔法を使ってもらう。そしてその瞬間を顕微眼で観察するわけだ。
まず魔法の準備期間が一瞬でもあるわけだ。セスが一瞬で魔力を血の流れから循環して練り上げる。魔素は煌びやかに瞬く星のように煌めきながらセスの体内に吸収されている。もちろんセスが蓄えている魔力菌の魔力分もあるよ。
というかその分が大きい。おそらく魔力菌はセスの意思に応じて溜め込んでいた魔力を放出し、魔素を呼び込んで使った分の魔力をまた貯蓄しているんだ。魔力の流れは指先に向かい、セスの『ライト』という詠唱によって、白い光となって顕現した。
顕微眼でみるとその光は純粋な魔力の塊になって見えた。そういえば魔法はこの世界にきて、見るのは初めてだ。まだ使っていないが原理がわかれば大丈夫だろう。顕微眼は魔力が見えるチートな魔眼かもしれないな。
ただこの原理だと魔法は無限に使えることになる。でもMPは存在しているのでそんなことはないはずだ。どういうことだろう。セスに魔素と魔力菌、そして魔力がどういう仕組みになっているのか話し、疑問を伝えると……
「トオル様の話は大変興味深い。そして疑問を持たれるのはもっともです。おそらくですが、MPは体内の魔力菌が魔素を魔力に変えられる限度があるのではないでしょうか??」
なるほど、それなら筋は通るな。ここでまた疑問だが、体内の魔力菌は強化できるのか?? MP、つまり魔力菌が魔素から魔力に変換できる限度は増えるかもしれないがそれは肉体にどんな影響を与えるのか?? 疑問は尽きないな。
これは研究課題として自分の肉体で人体実験するべきだ。魔力菌も菌ではなく特殊な細胞かもしれないな。魔力菌改め『魔細胞』と名付けよう。細胞なら当人の意思で動くことに説明が付くからな。
大分話が逸れたが、山菜は天ぷらにしよう。なんと僕が卵を欲しがっていることを知り、野生の鳥のまだ産みたての卵をセスが見つけてくれたのだ。飛び上がって感謝したら、そんなに喜ばれることでもないです、と、つんとした顔をしていたが後ろに組んだ手がもじもじしているのを僕は見逃さなかったよ。
そんなイケ爺のツンデレを見た後、天ぷらを作っていく。油は猪の脂肪を溶かしたものを使うよ。ラードみたいなもんだな。本当は植物性の油が見つかれば良かったがそんな時間はなかった。
料理用の木の器に新鮮な卵を二つ割り入れ、水を加えて混ぜる。水はセスが魔法で出してくれた。泡が立ったら他の皿にスプーンですくい、取り除く。黒い小麦粉を加え、小麦粉のダマが残った程度で完成だよ。小麦粉は混ぜすぎないことに注意だね。
猪の脂肪を温めて溶かす。うん、匂いがきついな。植物性の油を探そう。油を入れた鍋を温めて、いい感じになったら山菜に衣をつけて揚げる、揚げる、揚げる。3回繰り返したことに意味はないよ。いっぱい揚げたってことかな!
いい感じになったら食べられる野草の上に置いて、油を切る。後は焼き上がった丸黒パン、猪肉のステーキと乾しキノコのスープとびっくりフルーツもあるよ!!天ぷらを山盛り盛りつけた皿に岩塩も添える。魔物達の楽園では岩塩も取れるらしい。
これで夕食の完成だね!! みんなで食べよう!!
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