第13話 誰かの手のひらで踊る人生って嫌だよね。

※もしかしたら私の上にいる唯一神の仕業かもしれない。あのエロジジイに今度あったら問い詰めるつもりよ。→もしかしたらあいつの仕業かもしれない。でも名前が思い出せないわ.……


この部分を修正しました。





 僕はミリアの手のひらで踊っていただけのことに気づいた。そのことに絶望したが、地球の神と名乗る不思議な声が僕を励ましてくれた。まだこの声の主も信用できるかは未知数だが……


 今は仕方ないか。信用も信頼もしていた、ミリアがこれなのだから、リリィやガラルとセス、ゴン太やオババだと出会ったことだって何回も繰り返している事柄なのかもしれない。


 それにしてもたらたらし君か…… 呼ばれても何となく嫌じゃないような。不思議と懐かしい感情もある。何度もしている転生の際の記憶を取り戻せないかな?? そこにヒントがある気がするんだ。


 あと、僕が助けた地球のある神の神子だって言う子は今は生きているのだろうか?? ちょっと気になるな、ミリアお姉ちゃんに…… ああ嫌だ。何で心からお姉ちゃん呼びができるのか自分でも解らないよ。


『あら、トオル君、絶望のしすぎで黙っちゃったわね。でも私、ドSではあるけど優しいからそっとしてあげようかしら。お姉ちゃんってドンッとショタを見守るものよね♪』


 うーん、やっぱり狂気に支配されてる気がするなぁ。あの♪を語尾につけるようになった時は本当に怖いよ。というか心を完全に読まれていたはずなのに、今は読まれていない。何でだろう。地球の神様のおかげかな?


『『今は私の力で心を隠せているけど、私の介入があったってバレたら、それもできなくなる。だからこの事は記憶から消すわ。でも安心して。私が言ったことは本当だから。』』


『『これで話すのは当分先になる。あなたの推測は間違ってない。記憶を取り戻しながらミリアの狂気を解くのよ。それでは、頑張ってね、たらたらし君。』』


 待って!! たらたらしって称号は何なんだ?? って聞いたけど、すぐにパチンって音が聞こえた瞬間、僕は地球の神様の言葉を聞いた記憶を失った。






 ん? 僕はミリアに恐ろしいことを聞かされた後、何をしていたんだ?? 何か大事なことを聞いた気がする。何故か気持ちは前向きだ。


『何かおかしいわね? でもトオル君と私の念話に割り込める存在はいないはず…… ブツブツブツ』


 ミリアお姉ちゃん、僕がアナザークラウドに最後に転生してきた意味が分かった気がするよ。それは…… 君を救うためにここに呼ばれたんだね。


『え、今私のことを君って…… それは貴方が最初に……ブツブツブツ』


 あれ、何で今、ミリアお姉ちゃんの事を君って呼んだのだろう。よく解らないけど慈愛の感情に今溢れてるよ。


『そんなぁ、今までの転生では君って呼び方しなかったのに…… ブツブツブツ』


 それ以降、ミリアお姉ちゃんの声は聞こえて来なかった。急に周囲の声が聞こえてくるようになったよ。


 不思議なことにリリィお姉ちゃんとオババに抱きしめられてる時から時間が止まったままのように感じてたんだよね。今また時間が動き始めたよ。


「トオル君!! しっかりして!!」


「トオルくぅん! オババもいるわ!」


 流石にこの事は2人には話せないな。でも僕の勘だとこの2人とも今生で初めましてじゃない気がする。だからいつか話しても良いかな。


「ううん、ちょっと調子悪くなっちゃっただけ。もう大丈夫。」


 心配する、2人をなだめて、僕は夕暮れ時になったから、ガラルの屋敷に帰ろうと言って、オババの家を出た。


 リリィお姉ちゃんは尚も心配そうにしながら一緒に帰る。


「トオル君、男の子に秘密があるのも悪くないけど、秘密は女の子の特権よ? 僕ちゃんにも言えないことなの??」


 うん、いまはまだ話せない。と短く返す。リリィお姉ちゃんはそう、僕ちゃんまだ信用されてないのね、と短く呟いて俯きながら、黙ったままトボトボと歩く。 


 うーん、流石にこの空気で帰るわけには行かないな。ガラルにリリィお姉ちゃんに何かしたのか!? と、どやされる。


「ねえ、リリィお姉ちゃん。自分の人生が誰かの手のひらの、いや、誰かの思惑通りに進むだけの人生だと知ったらどうする?」


「それは…… 僕ちゃんにはわからないよ。」


「うん、僕にもわからない。それでも僕は幸せだったら良いと思うんだよ。でも今考えを変えたよ。そのをも巻き込んで、も幸せにしなくちゃいけないなって思ったんだ。だから僕は操り人形なんかにならない。」


 その言葉にスッと息を呑むリリィお姉ちゃんと。まあこの場には1人しかいないけどね。


 リリィお姉ちゃんは、くすくす笑って、そうね、誰かさんは本当の意味で幸せになるかもね、と柔らかい笑顔になっていた。


 僕とリリィお姉ちゃんは自然に手をつないで、2人で屋敷へと帰る。その日の夕焼けは地球で見たものよりずっと綺麗だったよ。








〜ミリア視点〜


 うーん、何かおかしい。それが今回の件の結論だった。そもそも今回のトオル君の転生する理由はイレギュラーだったわ。アカシックレコードを見てもあの場に女の子なんて出てこないはずだし。


 そもそもの予定では、トオル君は結婚せずに理由のわからない孤独にさいなまれながら、天寿を全うし、私の所にくる所にだったんだから。それが何よ、いきなりアカシックレコードに何者かがトオル君の事故死を書き込んでいた。


 そして地球の神の神子を救ったから転生させてあげてほしいって?? しかも調べても地球のどの神なのかわからないのよ。


 もしかしたらあいつの仕業かもしれない。でも名前が思い出せないわ.……


 それにトオル君の様子もおかしかった。いつものパターンだったら、絶望の底に沈んでいくか、狂って私に依存してしか生きられないようになるはずだった。最初のパターンでもわたしのいうことを聞いてくれるから可愛いわよ? どちらでも良かったはずだった。


 それが何よ、私のトオル君が私の手のひらで踊らずに、その上で幸せにするって?? 生意気よ!!生意気。いつも甘やかして、甘やかされ続けて、だらしないことだけに夢中になってくれるそんなトオル君の人生だったはずなのに。


 今思えばゴン太とかいうゴブリン族も、今までのオーラン村にいない存在だったはず。何かが介入してきている予感がある。甘々トオル君に戻ってもらうためにはまずゴン太から◯す必要があるわね。


 リリィお姉ちゃんとオババは良いのかって?? 良いわよ。トオル君は私のものだけどみんなのものでもあるの。甘々トオル君にするには必要な人材だしね。


 兎にも角にも今生のアカシックレコードに書き込まなければ。子飼いの天使を私の後釜に据えて、アナザークラウドに降りるときに邪魔をさせないようにする必要もある。忙しくなるわね。


 ミリアは不吉な笑顔をしながら、白い机の引き出しから赤い古びた表紙の本を取り出し、何かを書き込む準備を始めるのであった。

















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