第3話 第1異世界人?との出会いだよね。
「んんっ〜、ここはどこだ?、頭が痛い〜」
ああ、そうだ。俺は異世界転生でアナザークラウドに来たんだ。だが、まさか酸素濃度が下がるくらい、魔力を込めていたとは思いもしなかった。これは魔力操作も覚えないと大変なことになりそうだ。
顔を上げるとボーイッシュなショートヘアーの美少女と言うべき、緑肌の女の子がいた。鑑定をしてみると名前がでてくる。
名前:リリアナ・G・オーラン
性別:女性
年齢:**
ステータス
体力 B
魔力 D
筋力 A
器用さ G
防御力 B
速さ C
運 D
スキル
他種族言語スキル レベル7 淫魔スキル レベル5
剛力 レベル8 槍使い レベル10(マックス) 魔力探知 レベル6
ユニークスキル 魔言スキル レベル7 プリンセスの意地 レベル10(マックス)
称号 魔神アランの加護
なるほど、この美少女はリリアナというのか。名前の GはゴブリンのGかな?筋力Aはすごいな。ただ年齢がきにn、おっと殺気の様なものをこの美少女が放ち始めた。これ以上は危険なようだ。プリンセスの意地と魔神アランの加護とか気になるスキルも加護もあるが、鑑定スキルで見たことを言わない方が良さそうだ。そして淫魔って…… なんかエッチな気持ちになってきた!!
そして何か柔らかい物が首の下にある。これは!!膝枕!膝枕で寝かされている!目の前には緑の肌の豊満ないっぱいおっぱいが!!!寝ぼけているふりをして、少し優しく、鷲掴みにしてみる。
「ヒャンッッッ!!な、な、な、何ですか!!僕ちゃんのおっぱいを揉む、悪い奴はどこですか!?」
どうやら、まだバレていないみたいだ。次は先をピンっと摘んでみる。
「ヒャアアアアッッッ、ってきみー せっかく助けてあげたのに恩人にこの仕打ちをするとは僕ちゃんのお仕置きが必要みたいですね〜」
「す、すー、すぴー、ぐがー、すぴー」
下手くそな寝息といびきをするトオル。それを上から青筋を立てて見下ろすリリアナ。
「しっかり、謝れば許してあげようと思ったのに、そんなにお仕置きされたいんですねえ。オ・シ・オ・キは…… くすぐりだーーーー!!こちょこちょこちょ!」
ひゃああああああ〜〜 だ、だめ、世の中に伝わる108のオシオキ術の一つ。くすぐり。ハハハハハハハハハハ、きついきついきつい、息が苦しい。てかなんか体がおかしい。火照って苦しい。ナニカがオカシイ。快感が体に溜まって……鎮まれ、我が分身よ!!
「ふふふふふ、ゴブリンプリンセスである僕ちゃんのオシオキ術。メラメラがとまらないでしょ??この後、美味しくいただいちゃいますからね〜」
ガウガウガウガウ!!!突如、森にオオカミの吠え声が響き渡る!!
「君、苦しいからってオオカミちゃんの声真似するなんて、はしたないよ〜。大人しく僕ちゃんに食べr」
「いやいや、違うから!!モノホンのオオカミに囲まれてるから!!!やばいから!!」
「あ、本当だ。」
今までの間延びした声とは違い、ものすごく冷静な声だ。しかもかなり冷たい声だし、背筋にピリッとした感触がした。いきなり無表情だしなんかゾクゾクする!って違うから!ギャップ萌えってやつだから!ドMじゃないから!
ちょっとどいて。と言われ,オオカミにビクビクしながら僕ちゃんこと、リリアナの邪魔にならないようにする。なんかリリアナから、よくわからないオーラが出てる気がする。うっすらと青白い気のような物が出てる感じだ。
「ガア、ガア、ガウ。これでいいか。はあ、僕ちゃん、オオカミ語は得意じゃないんだけどねー。まあ仕方ないか、じゃあいくよー。僕ちゃんの君くんのおしおきを邪魔した罪は重いよ。魔言『失せろ』」
その言葉はオオカミたちにとって『死の宣告』のように聞こえた。そして長老のオオカミの絶対の命令にも思えた。その命令に従わなければ、殺される前に。
オオカミたちは全員尻尾を巻いて逃げていった。以降このオオカミの群れはゴブリンとトオルを絶対襲わなくなったという。それどころか、全面的に従うようになるのは、少し後のこと。
トオルもパニックに陥っていた。トオルに影響を与えないようにと、狼語によって、放たれた言葉は自分に向けられたわけではないと分かっていてもあの言葉は恐ろしかった。そして今はゴブリンプリンセスのリリアナが恐ろしい。こわい、コワイ、逃げなければ!!!
尻餅をついて、這って逃げようとする、トオルを訝しげにみつめる僕ちゃん。
「なんで僕ちゃんを見て、逃げるのかなあ、ちゃんとオオカミ語で言えたはずだけど。ていうか最初からおかしいんだよね。ゴブリン語を喋ってたよね、君くん。」
なぜか、魔言スキルが効いているみたいだし,いやまさか?あらゆる言語が喋れる言語スキルを持ってるとか?それは異世界からの勇者しかありえないはず。こんな子が勇者?僕ちゃんは考えを巡らせながら、君くんを落ち着かせることにした。
『落ち着いて、僕は君の敵じゃない。』
その魔言を聞いて、少し動揺がなくなるトオル。トオルは何故かリリアナを無意識に昔の彼女のように見ていた。
「お、お姉ちゃん……」
涙目で無意識にトオルが放った言葉に僕ちゃんことゴブリンプリンセスは陥落した。それまでの疑惑は置いておいて私はこの子のお姉ちゃんになろう、そう決意した。
「お姉ちゃん!?いつも、姫って呼ばれる僕ちゃんをお姉ちゃんって呼んでくれるの?か、可愛い、僕ちゃん、君くんのお姉ちゃんになるね!!君くんの名前は?」
「と、トオル」
「トオルくんね!僕ちゃんは、リリアナ・G・オーラン。リリィってよんでね?あ、僕はゴブリン族のお姫様だよ?」
これがトオルの第一異世界人のリリィとの出会いだった。のちのお嫁さん候補である。
閑話休題
「なんでトオルくんはここで倒れたのかな?僕ちゃんは、大量に魔力を使った残滓があったからここに来たんだけど。あと何故か、ここだけ空気が薄い気がして。なんでだろ〜な〜。」
「そ、それは森で採取をしようとして道に迷っちゃって。魔法を使おうとしたら失敗しちゃったんだ。空気が薄い理由はわからないな〜ヒューヒュー」
「へー、お姉ちゃんはあやしいな〜って思ってるよ??」
下手くそな口笛を吹きながら、誤魔化すトオル。彼の精神年齢は見た目と同じになっているため、思考が幼くなっているのだ。
ジト目を向ける、リリィ。目を背けるトオル。トオルが誤魔化しているのは深い意味はない。なんとなく、まだ出会って間もないリリィには異世界から来たと言うのは信じられないと思ったからである。裏で異世界の勇者かもと疑われているのは知る由もないトオルだった。
2人で話しながら、手を取り合い歩いていると木の柵に囲われた村が見えてくる。ここがオーラン村と呼ばれるゴブリン族の村だった。
「姫!!急に屋敷を飛び出すとは!!爺は心配しましたぞ!!」
村の中で息を切らしたゴブリン族の老執事が焦った様子で、話しかけてきた。
リリィは少々辟易とした態度で老執事をあしらった後、トオルに老執事をしょうかいしてくれた。どうやら、狼執事の名前はセスと言うらしい。
「私の名前はセスと言います。それにしても、人族ですか……」
どうやら、リリィがいきなり飛び出して、得体の知れない人族を連れて来たのが気に食わないようだ。神様ノートにも人族と魔物には問題があると書いてあったが、この偏見の事かもしれない。
「セス!私が連れてきた客人に対して、その態度は何??」
「これは失礼しました。ではお客人、村の奥の屋敷にどうぞ。」
トオルは不躾な態度を取るセスに対して、腹が立っていたが、リリィの顔を立てて見逃すことにした。もう少しどういう事情があるのか知りたかったというのもある。
3人は村の中に入っていく。その途中、目にしたゴブリン族の家は掘立て小屋に等しい物だった。これは……と言葉を失うトオルに対し、リリィは表情が暗い。どう言うことなのかと聞いてみると、魔物には元々建築をする文化があまりない。大工を雇って、立派な家を建てようにも、人族からは法外な金額を要求され,家を一軒建てるごとにそんなお金を払っていたら、村の財政が傾いてしまう。
そもそも、何に金を使っているのかというと食糧と日用品と曙光品だ。魔物は食事を必要としないが、魔力だけではお腹が空くのだ。食事を摂る様になってからは、それが当たり前だと思う様になってしまったため、食糧は必要になってしまった。
後は日用品と曙光品だが、魔物は煙草を好んで吸う。この世界の煙草は地球でいうニコチンやタールのような依存性のある物質は含まれていないが、魔力を回復させる成分が含まれているため、魔力をエネルギーとして動く、魔物全般に人気なのだ。
そして意外にいい匂いがする。人族は魔物のこの習性を利用して儲けているらしい。トオルは地球の世界史の授業を聞いているようで悲しくなった。これでは大帝国と植民地の関係である。
そして着いた屋敷も到底屋敷とは呼べない、ボロい一軒家に到着した。日本の一般的なアパートと同じくらいの大きさだ。トオルは更にゲンナリした。
この世界の1日の時間は地球と変わらず24時間だ。現在、夜の19時くらいだな。
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