第15話 侍、姫に迫られる
女王となった第三王女オルフェリアの王配となり、大陸統一という彼女の覇業を支える。それもまた一つの道だ。
立身出世は武士の本懐。この世界での先祖である『島左近』殿から受け継いだ『さむらいの国』を興すという大望も王配という立場を得れば、実現に大きく近づく。大陸統一の後でも半ばでも、どこか攻め落とした国をもらい受けて、そこを俺が治めれば国の礎はできてしまう。
……そう考えれば、ここで姫様の、オルフェリアの誘いに乗るのは、我が野望を果たすための最短経路と言ってもいい。
道理と利だけで考えれば断る理由はない。正気ならば、この話に乗っておくべきだろう。
だからこそ――、
「――その申し出、謹んで辞退させていただく」
毅然とした態度で、かつ、礼儀を損なわずに俺はそう答える。
一瞬、姫君の美しい顔に怒りの表情が浮かび、
当然といえば当然の反応。
断られるはずのない、これ以上ないほどの好条件での勧誘。それを一言で袖にされたのだ。
仮に俺が姫君の立場でも怒りを感じている。これほど不興を買えば、この場で手討ちにされる可能性も十二分にある。
だが、後悔はない。俺は侍だ。侍たるものどれだけ不条理でも己の意地を突き通さねばならない時もある。
「……理由を聞こうか」
わずかな沈黙の後、姫君が言った。幼いながらも冷静に怒りを呑み込むその姿には、確かに王者の気風が感ぜられた。
ならば、俺も嘘偽りなく応じねば礼を失することになる。
「理由は二つございます」
「無礼だな。我が申し出を断る理由が二つもあるというのか」
「はい。ですが、その話をするにはこの場はいささか開かれすぎています。どこか立ち聞きなどされないところはありませんか?」
「……いいだろう。ついてこい」
オルフェリアに先導されて、晩餐会の会場から俺達はこっそりと抜け出す。
そのままいくつかの階段を昇り、廊下を進んで王城の深部にある一室へとたどり着く。
……この位置と装飾の華美さ、まさか――、
「わらわの寝室だ。くつろげ」
やっぱりそうだった。
紅い扉の向こうにあったのは、イメージ通りの姫君の寝室だ。
ピンク色の内壁に、ヴェール付きのベッド。ベッドの傍にはおそらく贈り物である巨大なぬいぐるみが置かれており、書棚には軍記から恋物語に至るまで装丁の立派な書物がぎっしりと詰まっていた。
壁際に掛けられた武具の数々は姫の部屋として不相応だが、オルフェリアの性格を考えればいっそらしくはあった。
そんな部屋を横切って、オルフェリアはベッドに腰掛ける。慣れた調子で鎧を脱ぎ去ると、あっという間に薄いYシャツと桃色の下着だけになった。
不覚にも止めるより先に、視線を奪われてしまう。
艶めかしい太ももに、垣間見える白い肌。シャツの下の胸部は十二歳とは思えぬほどに自己主張している。
それだけではなく、胸から腰、腰から足先まで何もかもが完璧な均整を成している。服の上からはいわゆるモデル体型ということくらいしかわからなかったが、それどころじゃない。
黄金比とでも言えばいいのだろうか。体つきの好みは人それぞれだろうが、人体構造として完璧さを追求した場合、このオルフェリアの肉体にたどり着く。そんな感慨さえ抱くほどの美しい体だった。
頭の中で理性がごりごりと削れていく。まだ子供とはいえ俺の肉体は男、さらに情けない話だが精神の方も完全に翻弄されている。
「‥…姫様。服を着てください」
「気にするな。これはわらわにはなんの下心もないと身をもって示しているだけだ。いっそのこと、そなたも脱ぐか? 下心があってもよいぞ」
そんなことを言って、くつくつと笑うオルフェリア。からかうような態度の彼女に俺の中の武士道が毅然として異を唱える。『あまり舐めたことをすると痛い目を見るぞ』と。
「すまんすまん、やりすぎた。そうにらむな。男をこの部屋に入れるのはそなたが初めてでな。どうにも緊張している。それに、わらわはくつろぐときは普段からこの格好なのだ。はしたないと思ってくれるなよ」
「……失礼しました」
意外にも頬を染めて、十二歳の少女らしい顔でオルフェリアが言った。
名誉にかけて、俺も女の部屋に入ったのは初めてだとは言えない。前世では心身を鍛えるのに忙しく、今世ではまだ子供だ。
これも一種の戦か……覚悟を決めて経験を積むとしよう。
「ここならば、誰ぞに聞かれる心配はない。そなたの理由とやら、聞かせてみよ」
オルフェリアの声に、意識を切り替える。状況はいささか特異だが、本来の目的を果たそう。
「一つは、この申し出は今の俺には分不相応のものであるからです」
俺の答えに、姫君は何をいまさらという顔をする。実際、わざわざ言及するまでもなくこの提案は分不相応なものだ。
俺は確かにこの国の貴族において序列二位たる侯爵家の嫡子だが、逆に言えばそれだけだ。未だ成人前で何の武功も挙げていない以上、俺はただの貴族のボンボンでしかない。
余人にどう噂されるかは火を見るよりも明らか。たまたま女王に気に入られたが故に地位を得た、と思われるのは我慢ならない。
いや、問題はそこじゃない。そんな立場から名を成した侍もいる。
例えば姉が豊臣秀吉の側室となったことで出世した『京極高次』は姉の七光りで出世した蛍大名と周囲から揶揄された。しかし、彼はそんな世の中を見返してみせた。
京極高次は関ケ原の戦いの前哨戦で東軍につき、周囲を敵に囲まれた状態で居城『大津城』に籠城。一万五千の大軍に包囲されながらも奮戦し、関ヶ原の戦い当日まで持ちこたえた。
これにより西軍の一万五千の兵は戦いに間に合わず、戦後高次は大名としての復帰を許された。
だから、俺も高次のように才能と武功をもって威を示せばそれで足りる話ではある。
しかし、これは矜持の話だ。姉が秀吉に嫁ぐ前から侍として生きていた京極高次と違い、俺はまだ侍として存分に生きられてはいない。
「姫君。俺は武士道を奉じて生きると決めています。であれば、地位も名誉も勝ち取るもの。受け継いだわけでもなく、他人から与えられるだけではこのクロウの面目が立ちません。ましてや、この身はまだ子供。何一つとして成し遂げてはいないのです」
跪き、
オルフェリア・ソーディアンはその価値がある相手だ。生まれた世界も、性別も違うが、彼女の中にはかの織田信長にも近しい気風が宿っている。
「ブシドウ? 騎士道ではなく、か?」
「はい。我がロンダイン家の先祖が示された道です。武士道では名誉と矜持を己の内に求めます。その矜持がただ与えられるだけの道を許してくれないのです」
俺はこの世界にかの島左近の子孫として生を受けて、幸運にも武士として生きる機会を得た。
これは俺が前世においてどれだけ望んでも手に入らなかったものだ。
であればこそ、俺はこの生を全身全霊で、思うがままに武士道を邁進したい。
一国の姫に夫に相応しいと評価されるのは冥利に尽きるが、それでは武士としてではなく、王配としてスタートを切ることになる。
始まりはやはり侍として自らの手で名を挙げる。そう始まってこそ俺は己の武士道を真の意味で歩むことができる。正気の沙汰ではないとしても、俺にとっての本懐はそこにあるのだ。
「……己が手で勝ち取らねば価値がない、か。であれば、そなた、我が王配になるとしても己の力で勝ち取りたい、とそう言うわけだな?」
「はい」
「不遜だな。己の才への過信でもある。だが――」
ふっと笑う姫君。彼女は俺の顎に右手をくいっと持ち上げた。
赤色の瞳がまっすぐに俺を射抜く。美しい少女だ、心の底からそう思う。武具や技ではなく人にこれほどまでの美を感じたのは前世でも、今世でもこれが初めてだ。
「ますますお前が欲しくなったぞ、クロウ。そういう気高く、美しいものこそわらわの前に
それこそ傲岸な物言いだが、彼女の才気を知った今なら腹も立たない。
「第二の理由、申してみよ。それがわらわの得心のいくものなら今回は引き下がろう」
「はい。二つ目は、道義の問題です」
俺の答えにオルフェリアはかすかに怒気をあらわにする。短気なところは徳川家康似だな。
狸や気長、あるいは座して待つイメージの強い徳川家康だが若いころは相当な短気だ。
三方ヶ原の戦いで敵の策にはまる分かっていても出陣したエピソードを筆頭に、ことあるごとに癇癪を起して腹を切ると騒いで家臣に諫められていたそうだ。イライラすると爪を噛む癖もあったらしい。
そう考えると、やはり、姫君は将来有望なのだろう。意地を優先した俺でさえそう思うのだからまず間違いない。
「わらわが些細な道義を気にするような小物に見えるか?」
「そうは申していません。ですが、状況を考えるべきです。国王陛下のご容体をいかにお考えですか?」
俺はオルフェリアの耳元に顔を寄せて、小声でそう告げる。それだけで俺の言いたいことを察したようで、姫君は悔しそうな顔で低く唸った。
そのまま彼女は声を潜めてこう続けた。
「
なるほど。俺の見立てよりはまだマシな状態らしい。
今すぐには命に支障はないが、政務を行えるほどの体力もなく、実権はすでに別のものに渡っている。そんなところか。
聡いオルフェリアが動くのも頷ける。早急に自分の政治的地盤を固めようとしているのだろう。
だが、早すぎる上に、直接的すぎる。今の彼女に必要なのは老年の徳川家康のような狡猾さだ。
「……であればこそ、今は慎重に動くべきなのです。今、姫君が侯爵家の嫡男と婚約したなどと知られれば、ほかの王位継承者の付け入る隙となりましょう」
俺の言葉にオルフェリアは頷く。悔しそうに唇を噛んでいるのは自身が実利を第一とするからこそ見落としていた観点に気付いたからだ。
理解が早くて助かる。さすがに聡明だ。
古今東西、どれだけ盤石に見える体制でも代替わりにおいては必ず争いが起きる。表立った戦は起きずとも暗闘、謀略、陰謀は必ず飛び交う。
このソーディア王国もまた例外ではない。
現国王には息子がいない。そのため、三人の娘たちのいずれかが国を継ぐとされているが、姉である長女と次女に関してはすでに他国に嫁いでおり、オルフェリアは事実上、王位継承権第一位の王太子として扱わている。
しかし、その立場は決して盤石ではない。聞くところによれば、現国王の妹、すなわちオルフェリアの叔母であるオーラント大公のもとにこのほど男子が生まれたという。
つまり、王家の血の流れる王位継承権を持つ男子が生まれてしまったわけだ。
しかも、オーラント大公は我が侯爵家以上の領地を持つ国内においては第一の実力者。現国王が崩御した際、彼女が邪心を抱かないなどと考えるのは甘きにすぎる。
口にはしなかったが、オルフェリアが俺を王配にと選んだのはそのオーラント大公をけん制するためでもある。名実ともに国内で第二位の実力者であるロンダイン侯爵家を味方に付ければ、大公も簡単には簒奪に動けない。
……焦る気持ちは大いにわかるが、だからこそ、慎重に動かねばならない。
「……王は病床とはいえ、まだ健在です。今の段階であわただしく動けば、
「腹立たしいことだ。もともとはわらわのものになるべき王座だぞ。それを継ぐのに伯母上などに遠慮せねばならんとはな」
「お気持ちはごもっとも。ですが、大公閣下は容易い相手ではありません。我が家を味方につけるにもまずは悟られぬように動くべきかと」
俺が今口にしているのは本心からの忠告だ。
王配になる、ならないをわきに置いても、オルフェリアは大器だ。侍としてもそれがどのように育つかを見てみたい。
だが、意地と矜持のために生きる俺の言えたことではないが、聡明さゆえの大胆さと果断さは時に危険を呼び込む。
今回の場合は、そのいい例だ。人心を無視して動けばその人心に足元をすくわれる。
「……お前に婚姻を申し込むにしても、まずは侯爵家と
「ご明察の通りです」
オルフェリアは俺が言外に含ませたことも含めて、今必要なことを完全に理解している。
自身の見えていなかったもの、過ちを認め、それを改める。これは簡単なことのように思えて、非常に難しい。己の優秀さを自負するものであればなおのことそうだ。
その点で言えば、やはり、オルフェリアは王者の器だ。必要なものをすべて持っている。
惜しい。王配になれという誘いがなおの事、魅力的に思える。
ゆえにこそ、今の俺では不足だ。
「あいわかった。此度はお前を諦めよう。だが、わらわはこの耳で確かに聞いたぞ」
そんな俺の心中を察したかのように、オルフェリアはにたりと笑う。そのまま俺の顎から指を滑らせ、首筋に触れる。お前の命は己のもの、そう告げるように。
「っ!?」
そのままシャツの襟を掴まれ、柔道の巴投げのような形で、ベッドに引き込まれる。咄嗟に左腕を突いて体を支えるが、目の前にはオルフェリアの美しい
ベッドの上に広がる赤い髪は流血のようでもあり、俺をからめとる蜘蛛の糸のようにも見える。彼女から漂う香り、薔薇の香水と彼女自身の溌溂とした匂いが混ざったものが俺の理性を削っていくのが分かった。
互いの心臓の音さえも聞こえそうな距離。呼吸が熱くなって、幼い肉体に獣のような衝動が燃える。目の前の少女のすべてが俺を惑わせていた。
俺の修行不足もあるが、末恐ろしい女だ。十二歳でこの妖艶さ、大人になればその色香だけで国を傾かせるかもしれない。
「そなたは今の己では分不相応だと言った。つまり、そなたが己が相応しいものとなった思えば、我が夫となるに異存はないということだ」
「それは……まあ、はい……」
俺の動揺を察したのか、オルフェリアはますます愉快そうに口角を上げる。玩具を弄ぶ子供のように、俺の頬を撫でた。
完全に、掌で転がされている。ちくせう、武士道にこういう時の対処法は載ってなかった。逃げようにも片手で首を固定されていて、簡単には動けない。
無理やり引きはがすことも出来なくないが、今の俺にはオルフェリアを傷つけるようという気が一切起きなかった。
「叔母上のこともある。そなたを我が王配とするのは先のことになろう。だが、そなたは美しい。わらわは心配性でな。準備をしている間に、他の女にそなたが奪わるかもしれぬなど考えるだけで、はらわたが煮える。だから、な?」
そこで言葉を切るとオルフェリアは俺の右手を取って、そのまま自分の乳房に押し当てる。咄嗟に振り払おうとするが、それより先に、オルフェリアがこう命じた。
「『動くな』」
瞬間、金縛りあったように動けなくなる。いや、正確には動こうという意思が完全に萎えてしまった。身体ではなく心が彼女の命令に逆らうことを拒否している。
おそらく天恵の効果だ。その証拠にオルフェリアの紅い瞳の中に金色の光が散っていた。
動けないせいで全神経が右の掌に集中する。
……オルフェリアは下着をつけていない。シャツ越しに柔らかな肉の感触が伝わる。そして、柔らかさの中には小さな固い
「案ずるな。わらわの天恵の効果は短い。特にそなたのように意志の強い者には数秒しか効かぬ。だが――」
乳房にあった俺の右手を今度は自らの腰、いや、尻に沿えるオルフェリア。
しなやかで、それでいてたおやかな触り心地。掌から伝わるすべてが男の本能を強烈に揺さぶる。
「それだけあれば、そなたを篭絡できるやもしれぬ。実を言うとな。わらわはもう子をなせるのだ。どうだ? 次の次の王の父親になるというのは。そなたにとっても悪い話ではなかろう」
「――っぐ!?」
オルフェリアはそのまま俺を引き寄せる。互いの距離がより近づき、瑞々しい唇が眼前に迫って、呼吸だけが先に交わった。
脳裏によぎるのは『据え膳食わぬは男の恥』ということわざ。しかも今目の前にはオルフェリアという極上の据え膳。男としても侍としてもこれ以上の名誉はないのではないか。
むしろここで引き下がるほうが――、
「ふふ――」
揺らいでいる俺の理性にとどめを刺すように、オルフェリアが耳元に唇を寄せる。そのまま触れるか触れないかの距離で、蕩けるような声でこう言った。
「――心配するな。わらわも初めてだ。恥をかくにしても一緒というわけさ」
瞬間、最後の砦の最後の門が破れようとする。だが、その直前、俺の中で「待った」と叫ぶ声がある。
その声の正体は『武士道』。俺の信じる道はこんな形で栄誉を得ることを望んでいない。
女を抱くにしても、自らの意志で勝ち取らねば意味がない。こんな誘惑に負けたのではご先祖にも、先達にも申し訳が立たない。
「せっかくのお誘いですが、断らせていただく」
鋼の意志で、欲望を振り払い、俺は姿勢を起こす。
すごく惜しい。惜しいことをしているが、ここでオルフェリアの誘いに応じては、俺は色香で惑わせば言うことを聞く程度の侍である、ということになってしまう。
それだけは勘弁ならない。不名誉は死よりも重い。今ここでオルフェリアに手を出したら、士道不覚悟で切腹せねばならなかった。
「……わらわに恥をかかせる気か?」
「第三王女殿下ともあろうお方が、こんな策で男を手に入れたほうが恥となりましょう。それとも、姫君は俺の能力ではなく体がお望みですか?」
「……言うではないか」
最初は憮然としていた姫君も俺の反撃が効いたのか、心底悔しそうな顔をして、それからため息をついた。
「……よかろう。此度は諦めてやる。だが――」
次の瞬間、唇に何か潤んだものが押し当てられる。接吻されたと気づいたのはことが済んでしまった後のことだった。
……不覚だ。侍たるもの常在戦場、それがこんな形で二度も不意を突かれてしまうとは……、
「――そなたの唇はわらわのものだ。そして、光栄に思うがいい。王族の初めての接吻など早々得られるものではないぞ」
「……光栄の至り」
一本とられた以上、反論の余地はない。俺の
その笑顔に毒気も屈辱感も薄れてしまう。まったく美しいというのはこういう時に免罪符になるから厄介だ。
しかし、転んでただで起きる
「わらわは恋物語の姫ではない。いつまでも愛しい殿方を大人しく待つことなどせぬ。欲しいものは自ら取りに行く。そうだな、次会う時はもっと大事なものをわらわのものとしよう。よいな、わらわのクロウよ」
「……心しておきます」
ひとしきり笑った後、オルフェリアが言った。見ているのは俺の下半身。おい、セクハラだぞ! と指摘する気力は今の俺にはなかった。
オルフェリアの言葉は、今日のところは諦めるが、これから容赦なく外堀を埋めていくぞ、という宣言だ。
……強力な味方を得たのか、あるいはとんでもない厄介ごとを引き込んだのか。
まあ、どちらでもいいか。俺は侍だ。俺の知る限り、武士道に国の姫に執着されてはならない、という項目はない。だから、大丈夫だ、多分。
…………しかし、女子から直接求婚されるのはこれで二度目だぞ。いくらこの世界は男女比が偏っているとはいえ、そうあることなのか、これは。
それに、あの時は、子供の言うことだと思っていたが、シャルロッテがそれを覚えていた場合は、重婚になるのか……?
つまり、修羅場……? これが俺に与えられた試練だとしても苦難の内容が女難に偏り過ぎじゃないか……?
――
あとがき
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