第15話:真凛、帰ろう。
後ろを振り向くと、ヨモツシコメはいつの間にか右手にデカい薙刀のような武器を持っていて前鬼に立ち向かっていた。
(ヨモツシコメが持っている武器は
ヨモツシコメの
ヨモツシコメは青龍偃月刀でカバーしたが、前鬼の釜は青龍偃月刀を真っ二つに叩き切ってヨモツシコメの首を、すっぱり切り飛ばした。
まさに一瞬の出来事だった。
「すげえ・・・」
「真凛は見るな・・・」
そう言って俺は真凛の目を手で覆った。
断末魔の叫び声をあげて、ヨモツシコメの頭は体から離れて天井近くまで
跳ね上がって切り飛ばされたの顔は苦渋に歪んでボトッと床に落ちて転げた。
残った体は、すごい水しぶきをあげて、そのまま風呂の中に倒れこんだ。
しばらくすると倒れたヨモツシコメの腹が大きく膨らんで、なんと腹を破って
「え?じいさん・・・」
真凛は自分の目を覆っていた俺の手をどけて、腹から出てきた鴻鈞道人を見た。
「あ、おじいちゃんだ・・・生きてたんだ、よかった〜」
「春樹・・・おじいちゃん溶けてないよ」
「あはは・・・生きてたんだ、しぶとい爺さんだな・・・」
宙に飛び上がった鴻鈞道人は、そのまま頭から床に落ちた。
「あいたたた・・・バカ女めが・・・」
「あ〜汚ねえ・・・身体中コモツシコメの胃液だらけじゃ・・・」
「おじいちゃん・・・よく生きてたね・・・」
鴻鈞道人は文句を言いながら、俺たちのところまでやって来た。
「娘御・・・わしはこのくらいでは死なんて・・・」
「しかしながら、式神には助けられたな・・」
「お前のご先祖様は、やりおるのう・・・」
コモツシコメが倒れた場所を見ると、すでに前鬼と後鬼は人型に戻っていた。
「あの夫婦の鬼にお礼がいいたかったな・・・」
俺は落ちてる人型を拾ってズボンのポケットにしまった。
「さて、これで誰にも邪魔されずに向こうに帰れるぞ」
俺たちが揃ってアザを鏡に映すと鏡の表面が暗くなって徐々に渦巻き始めた。
鏡の表面を触ると通常の鏡みたいな硬さはなく、試しに腕を突っ込むと
普通に腕が中に入っていった。
「いけそうだな・・・」
「真凛、帰ろう」
「でも、春樹・・・私たちどこに出るんだろ?」
「俺にも分かんないけど・・・でも行かなきゃ」
「ここにいたって俺たちに未来はないからな・・・」
そう言うと俺と真凛は、恐る恐る鏡の中に入っていった。
「こら、おまえら、待て待て・・・年寄りを置いていくな」
そう言って鴻鈞道人は俺たちの後をついてきた。
鏡の途中まで行ったところで、俺も真凛も気付かないうちに気を失っていた。
つづく。
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