第9話:真凛に会えた晴樹。

俺が気がついた時は、状況をすぐには把握できず、しばらく呆然としていた。

周りの見渡したら見たことない、けっこうだだっ広い景色が広がっていた。

道らしきものに小さな小屋が数軒建っていた。


とりあえず俺は一番手前の小屋を訪ねてみた。


「こんにちは・・・誰かいますか?」


「あ、晴樹はるき・・・?」


声がしたほうを見るとそのこに誰かがいた。。


「え?・・・真凛・・・真凛大丈夫か?」


「うん、大丈夫みたい、今のところは・・・」

「この部屋で一人泣いてたら、いきなり晴樹が現れたの・・・」


「君がいるってことは俺は黄泉の国にいるのか?・・・」

「ああ、そうか、思い出した・・・俺は真凛を救い出しに来たんだ」


真凛がいる部屋は、それほど広くはないがこざっぱりした和室だった。


「でもまた春樹に会えた・・・私嬉しい・・・」


「なにこの部屋?」


「分かんない・・・外でボーッとしてたら、この部屋に連れてこられたの」

「そのうち黄泉比良坂(よもつひらさか)てところに連れて行かれるんだって」

そこで天国に行くか地獄に行くか裁かれるって・・・」

「ここにいた、正塚婆しょうづかのばばさんって人が 教えてくれたの」


「そうなのか・・・裁くなんてやらせないから・・・だから早くしなきゃ」


真凛をよく見たら制服だったはずが着てる衣装が真っ赤な着物だった。

頭にも真っ赤な三角巾なんかつけていた。


「そんなもの取れよ、縁起でもない」

「勝手に取ったら怒られちゃうもん」


「なんで赤い着物なんだ?・・・普通、こういうの白って決まってないか?」


「白は汚れるからじゃないの?」


「あのな〜・・・まあいいわ」


「その頭の布、勝手に取ったら怒られるたって・・・誰に?・・・

誰もいないじゃん」


「今はね・・・」


「それより晴樹、ここへどうやって来たの?」


そこで俺は道満とのやりとりを真凛に話して聞かせた。


「なんで、そんな無茶なことしたの?」


「真凛・・・よく聞いてくれ」

「俺は。真凛のことを愛してるんだ・・・だから君なしじゃ、今の俺は

人間の世界にいたって意味ないんだ・・・」


「だから、どうしても君の魂を取り戻して元の体にもどしてやりたいって

思ってる・・・」

「そしてもう一度、最初っからやり直したいんだ」

「こんどは恋人同士として・・・」


「晴樹・・・嬉しい」

「晴樹は歳の差のことを気にしてたし、女子高生なんか相手にしてくれないの?

ってずっと思ってた」

「私はずっと前から、晴樹のこと好きだったよ」

「でも言っても相手にしてくれなかったでしょ」


「ごねんな・・・もう俺は俺の心に嘘はつかないよ」

「愛しちゃったら歳なんて、関係ないし未成年だって関係ないんだ」

「かならず生きてここから帰るぞ真凛」


つづく。

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