第8話:いざ、黄泉の国へ。

「つまり今の言葉で言えば、真凛は自分を愛してくれた男とエッチすりゃ、

元の体に戻るんじゃ・・・そういう都合のいい理屈になっとるんじゃ」


「は?・・・え?・・・まじで?」

「それ本当ですか?」


「だから、それを前もって知ったらお互い意識するじゃろうが・・・」

「下手すると、せっかくひっつくものも、ひっつかなくなってしまう

恐れがあったからの・・・それでお前らの気持ちに任せることにしたんじゃ」


「じゃがもう遅いわ・・・真凛は黄泉国よもつくににいってしまったからのう」


「なんでそこまで、詳しいんですか?」


「蛇の道は蛇と言うじゃろ・・・こういう胡散臭いことはわしは得意じゃからな」

「まあ、清明せいめいよりは、詳しいかの」


「胡散臭いって・・・そんな場所なんですか?・・・そのよも・・・」


黄泉國よもつくにじゃ?」


「そこは死者の魂が行くところじゃ・・・」

「もっとも真凛は死んではおらんがな・・・じゃが幽体離脱した魂は

早く元の体に戻らんと黄泉国に引っ張られていってしまうんじゃ」


「それで、その黄泉国ってところから真凛を、真凛の魂を取り戻すことは

できないんでしょうか?」


「おまえ・・・真凛を取り戻したいか?」


「俺・・・真凛を愛してるんです・・・最初はありえないって思ってたんですけど

今は、真凛なしじゃ考えられません」


「それをもう少し真凛に伝えてやっていたら真凛は黄泉国に行かなくて

済んでいたんじゃぞ」


「でも・・・相手は女子高生ですよ」


「人を好きになるのに、歳なんぞ関係なかろうが・・・」

「わしが現役の頃は、今でいう未成年だの成人だのとそんな隔たりなどなかったぞ」


「昔と今じゃ違いますよ」


「でも、今は真凛が小学生でも中学生でも女子高生で関係ないです。

「真凛を早く救い出したいんです」


「いくらなんでも小学生はマズかろうが・・・」


「小学生でも10年もしたら、恋愛対象になりますよ」


「まあ、そんなことはどうでもよいわ・・・」

「そうよな・・・黄泉国に行けんこともないが・・・」

「そのためには、お前も自分の体から魂を抜かねばならんが・・・」


「かまいません、真凛をた助けるためなら俺の命なんか惜しくないです」


「分かった・・・お前の魂をわしが黄泉国に送ってやろう」


「そんなことできるんですか?」


「そうさな、昔に比べたら力は衰えたが、お前を黄泉国に送ることくらいは

できるじゃろう・・・」

「じゃが一度向こうへ行ったら、救い出すことはわしでもできん」

「わしはこの塚からはでられんからの・・・」


「じゃが、向こうに着いたら、助けてくれる人物に出会うからその人物に

アドバイスを買うがよい」


「助けてくれるって?・・・誰ですか?」

「お前のご先祖様じゃ」


安倍晴明あべのせいめい?」


「わしがやつにことの詳細を伝えておく・・・じゃやから、わしの代わりに

やつが、導いてくれるじゃろう」

「最終的には真凛と力を合わせて自力たちで戻ってくるしかない」

「失敗する可能性もある・・・ふたりとも戻ってこれないかもしれん」

「それでも行くか?」


「真凛がいないと、俺・・・」

「だから、かならず真凛をつれ戻してきます」


「分かった、覚悟の上じゃの・・・では、始めるぞ青年・・・目を閉じよ」


俺はその場で、なにも感じることなく道満の呪術によって魂を抜かれた。


つづく。

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