第7話:真凛の行方。

真凛のことだけど・・・

俺の中にも抵抗があったし、未成年なんか相手にしちゃいけないって

心のどこかで思ってた。


だから俺は,真凛を妹だと思うようにして普通に生活していた。

真凛は学校へ行ってなかったから、主に主婦を担当してくれて俺の助手

みたいなことをしていた。


学校に行っていた時パソコンも使っていたらしく少し教えるとすぐ覚えた。

若いから吸収力と順応性があるんだ。


やはり真凛を元にもどす手立てがないまま月日が過ぎていった。


本当は真凛の魂を元にもどせずにいることはあまりいい状況じゃなかったらしい。

最近の真凛は、夜になるとひとりでいるのが寂しいからと俺の寝室にいる

ことが多くなった。


眠るわけじゃないが俺の腕にしがみついて俺に添い寝していた。


いいのか、これで・・・相手は女子高生だぞ。

独身男の家に、それも寝室に年端もいかない女子高生がいる・・・。


そしてある夜のことだった。


いつものように真凛は寂しいからと俺の手を握って添い寝しようとしていた。

ふと真凛を見て、えっ?て思った・・・真凛の体が透けて見える。


(透けてる?)


「真凛・・・どこか体とかおかしくないか?」

「お前の体透けてるぞ・・・」


「え?うそ」


真凛は俺にそう言われて自分の手のひらを見た。


「本当だ・・・透けてる・・・」


そしたら、真凛の体が持ち上がって浮いて上に向かってあがって行こうとした。

俺は慌てて真凛の手を引っ張ったが抵抗なくすり抜けた。

そして真凛は天井につきそうになった瞬間、スッと俺の前から消えた。


「え?・・・なんだよ、これ・・・どうなってるんだ?」

「真凛?・・・」


俺は訳がわからないまま真凛の名前を呼んでいた。


「うそだろ・・・真凛が消えた」

「真凛はどこへ行ったんだ」


理解できないまま、俺はしばらく狐につままれたみたいに呆然としていた。


俺は真凛のことを気にかけながらどうすることもできず眠ることすらできず

朝一目散に始発に乗って岡山まで走った。

その足で蘆屋道満あしやどうまんの塚まで行った。


俺は道満の塚に向かって、真凛が消えたことを伝えると、前回同様、

あたりが暗くなって蘆屋道満が現れた。


「真凛が俺の目の前から消えたんです」


「真凛の魂は黄泉國よもつくににに引き込まれたのじゃ」

「だから、真凛の魂を早く戻したほうがいいと言ったのだ」


「最初にここに来た時、そのことの意味を教えてくれなかったじゃないですか」


「教えてほしかったわけか?」


「それをお前たちに教えたら、お互い意識してぎくしゃくするだろうと

思ったからヒントだけ与えたのじゃ」


「ヒントで分かるじゃろうが・・・鈍いヤツじゃのう」


「え〜と、つまり・・・その・・・」


「え〜い、じれったいやつじゃのう」

「お前らが好き同士になって、ふたりがめでたく結ばれたらそれでいいんじゃ」

「つまり今の言葉で言えば、真凛は自分を愛してくれた男とエッチすりゃ、

元の体に戻るんじゃ・・・そういう都合のいい理屈になっとるんじゃ」


「は?・・・え?・・・まじで?」

「それ本当ですか?」


つづく。


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