082 クラス武器の真の力
『クラススキル実装のお知らせ』
それがタイトルだった。
その下に書かれている説明文を読んでいく。
『クラススキルとは、クラス武器にセットできるスキルのことです』
要するに必殺技のことだろう。
クラス武器の真の力らしく、今後の戦いには欠かせないそうだ。
『スキルのセットは、コクーンの〈クラス〉から行えます」
徘徊者戦の最中には変更できないとのこと。
事前にセットしておく必要があるみたいだ。
『スキルにはメインとサブがあり、それぞれ一つずつセットできます』
メインスキルは主に敵を攻撃するもの。
サブスキルは身体能力の強化など戦いを支援するものが多いらしい。
『スキルは念じることで使用できます』
念じ方は大雑把で問題ないそうだ。
スキルを発動したいと思えばそれで発動できるという。
前にニュースで見た脳波でゲームを操作する話を思い出した。
『スキルは何度でも使用できます』
当然のように続きがある。
『ただし、
CTの長さはスキル毎に違っており、総じてメインのほうが長いそうだ。
『メインスキルの威力はクラスレベルに依存しています』
クラスレベルは一番高いスキルレベルが適用されるらしい。
ここで言うスキルとは、【狩人】や【細工師】のこと。
俺の場合、一番高いのは【漁師】の25。
したがってクラスレベルは25ということになる。
「説明はこれで終わりか」
最下部の閉じるボタンをタップした。
「クラススキル、めっちゃ面白そうじゃん!」
「ゲームぽいっすよねー!」
麻衣と燈花は読み終えるなり声を弾ませた。
「試用期間に実装しろって感じだけどな」
クラス武器の真骨頂がクラススキルなのは明らかだ。
ギルドクエストの報酬もそうだったが、Xは小さなところでセコい。
「スキルいっぱいあるじゃん! どれから試そうかなぁ!」
「何度でもセットし直せるのでしょうか?」
「大丈夫だよー! もう試した!」
「麻衣さんは適応能力が高いですね」
「でしょー! ふっふっふ」
女性陣の反応は大きく分かれていた。
麻衣と燈花はウキウキしている一方、美咲と由香里は困惑気味。
俺もどちらかと言えば困惑側で、把握するのに手間取っていた。
「クラス武器の変更はできないが、クラススキルの変更は何度でも可能ということだな。よし、忘れる前にスキルのセットを済ませておこう」
メイン・サブともにスキルの数は多い。
スキル名を長押しすると、そのスキルの説明を見ることができた。
「説明にあった通りメインスキルは敵を攻撃するものが多いな」
ただ、中には攻撃以外のスキルもあった。
(このスキルは……面白そうだな)
説明文を読みながら適当なスキルをセットする。
サブスキルもサクッと済ませた。
「どのスキルがいいか悩みますね」
「分かります」
美咲と由香里は難しそうな顔でスキルの説明文を熟読している。
そこへ麻衣が「馬鹿だなぁ!」と笑いながら言った。
「どうせ全部のスキルを試すんだから何でもいいじゃん!」
「「たしかに」」
麻衣の一言によって、美咲と由香里もスキルをセットし終えた。
「クラススキルの件も落ち着いたし――」
「午後の作業だね!」と麻衣。
「その前に全員のステータスを確認しよう」
「ステータス? なんで?」
「メインスキルがスキルレベルに依存しているからな。今後は今までよりも一つのスキルに特化していくのがいいと思う」
「そーいうことね、オッケー!」
各々で〈ステータス〉を開き、スマホをテーブルに置いた。
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【名 前】漆田 風斗
【クラス】
・レベル:25
・武 器:刀
【スキル】
・狩人:14
・漁師:25
・細工師:13
・戦士:18
・料理人:1
・調教師:20
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【名 前】夏目 麻衣
【クラス】
・レベル:23
・武 器:アサルトライフル
【スキル】
・狩人:10
・漁師:13
・細工師:11
・戦士:16
・料理人:23
・栽培者:1
・調教師:9
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=======================================
【名 前】高原 美咲
【クラス】
・レベル:35
・武 器:ロッド
【スキル】
・狩人:10
・漁師:12
・細工師:6
・戦士:17
・料理人:35
・調教師:10
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【名 前】弓場 由香里
【クラス】
・レベル:27
・武 器:自動戦闘ロボット
【スキル】
・狩人:27
・漁師:15
・細工師:8
・戦士:19
・料理人:7
・調教師:17
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【名 前】牛塚 燈花
【クラス】
・レベル:32
・武 器:指揮棒
【スキル】
・狩人:8
・漁師:18
・細工師:8
・戦士:11
・料理人:14
・調教師:32
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クラススキルの実装に伴いステータスの表記が変わっていた。
クラス関連の項目が追加され、スキルの順番が統一されている。
「相変わらず私だけ低すぎない!?」
いの一番に嘆く麻衣。
俺は「サボり魔だからな」と笑った。
「風斗のスキルレベル、いつの間にか尖ってきたっすねー! 出会ったばかりの時はどれも同じくらいだったのに!」
「漁で稼ぎまくっているからなぁ」
といっても、俺のクラスレベルは下から二番目。
麻衣と2しか違わない。
「で、今日の作業はどうする?」
麻衣が尋ねてきた。
「そうだなぁ……」
顎を摘まみながら考える。
「俺と燈花は漁、由香里は狩り、麻衣と美咲は料理でいくか」
「私と麻衣さんは此処で料理すればいいのですね」
「そうだ。此処で昼を食ってから漁に行くから」
「分かりました」
「麻衣、サボるなよ?」
「あ、当たり前じゃん! サボらないよ!」
「ほんとっすかねー」
ニヤニヤしながら麻衣を見る燈花。
「ほんとだってば!」
「風斗は二人で大丈夫?」
由香里が心配そうな顔で俺を見る。
「大丈夫だよ、美咲の料理を食べるし」
「無理しないでね」
「おう」
「由香里ー、私の心配はないっすか!?」
「あ、ごめん、燈花も大丈夫?」
「大丈夫っすよ! なはは!」
燈花につられて由香里も小さく笑った。
「ペットはいつも通りってことで……異論はあるかな?」
皆から「異論なし」の声が出る。
「では、作業開始!」
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