第17話 ノアはかわいすぎるが·········

 ベットの下の奥にある物のことは忘れ、お昼を作り終えるのを待っていたら、やがて部屋のドアが開いた。


「優希、お昼ごはんできた。」


 ノアがエプロン姿のまま、料理を手に持ちながら現れた···かわいい。


「カルボナーラ、冷凍食品じゃなくて私が作った···味わって食べて。」


「ありがとう···今まで見たカルボナーラの中で1番美味しそうだよ。」


「ふふ、優希···冗談でもありがとう。」


 そう言って、2つのカルボナーラがテーブルの上に置かれた。

 冗談抜きに今まで食べた中で1番美味しそう。

 中2なのにノアはすごいな、高3で自炊してた僕よりも料理が上手いと思われる···親の英才教育が光ってるのかな。


「優希···手を合わせて、いただきます。」


「······いただきます。」


 美味しそうなカルボナーラを食べ始めようとした瞬間、ノアがフォークに巻き付け、顔を少しだけ赤くしながらこう言ってきた。

 

「優希······あ~~~ん!」


 ノアがカルボナーラを巻いたフォークをこちらに差し出してきた。

 ノアの信じられない行動に焦っている······そういえば家でもこんなことあったな。


「え、あ、な、何、あ~~~んって!?2つあるんだからさ、別々に食べればよくない?」 

 

「優希焦りすぎ、それとも······私にあ~んってされるの、嫌···なの?」


 ノアがぷくっと頬を膨らませながら、若干涙目の上目遣いでこちらを見つめてきている······かわいすぎるだろ!

 もちろん恥ずかしいだけで嫌な訳ではない、むしろノアにあ~んされてみたい気持ちの方が強い。

 食べさせ合うのは恋人同士がやるからよいのであって、ただの友達がするのはちょっと···って思ってしまう。

 いやでも、恋人には絶対なれない妹にあ~んされたしさ、もうよくね?甘々なラブコメの波動を感じるし、あ~んされてみたら執筆するラブコメに役立てられるかもしれない。


「ほら、優希······あ~~~ん!」


「えっ、えっと······いただきます!」


 カルボナーラを巻いたフォークと共に、ノアのかわいい顔が近づいてくる。

 覚悟を決めて遂に口を開いた。


「どう?私の手作りカルボナーラとあ~~~んの感想は?」


「うん、今まで食べたご飯の中で1番美味しいよ。」


「優希ったら······♡これからも作ってあげる。」


 そう言って、ノアは僕の頬をつついてきた···何だこのかわいい生物は。

 それからは特に食べさせ合うこともなく、2人で話しながらカルボナーラを食べ終えた。


「ねぇ優希、聞きたいことあるんだけど。」


「どうしたの?」 


「家族に話しても誰も共感してくれなかったんだけど、食べ終えたカルボナーラ見ると······」


「う、うん、カルボナーラ見ると······」




「食べ終えたカルボナーラの残り汁が、たくさんびゅっびゅってぶちまけちゃった時の精○みたいに見える。優希の精○もこんな感じ?」




 ノアが悪気もなさそうにそう聞いてきた。


 ··················?????······は?どういうこと?ノアってこんな感じだったっけ?

 今テーブルの上には食べ終えたカルボナーラがある。

 その残り汁がたくさんぶちまけちゃった時の精○に見え······るわけない、何てこと家族に話してんだよ。

 すごい感性をお持ちのようで······


 あとちゃっかり僕の精○がどんな感じなのかを聞こうとするな。

 転生してからまだ1度もシたことないから分からない······って何こんな質問真面目に考えてるんだ。

 

「え、え!?ちょっとまって!?の、ノアってそんなキャラだっけ?もっとおしとやかで、かわいくて、上品で、箱入りお嬢様みたいな感じじゃなかった?」


「今の私とはかわいいとこだけ合ってる。表だったら大体そんな感じで合ってる。でも私たち友達でしょ?2人きりで誰にも見られてない。だからもういい子ちゃんのふりしなくていい。」


 誰も寄せ付けないようなノアの硬い顔が急にだらけた笑顔に変わった。

 どうやらあの完璧なノアの姿は作り物だったようです·········

 でもこっちのノアの方が好きかも、話しかけやすいし、こんなに綺麗でかわいい子が精○とか言ってんの、どこかで見た光景すぎて逆に安心する······一体どこで見たんだろうなぁ(棒)

 

「それより優希!王様ゲームしない?」


 そう言って、ノアが近づいてきた。

 さらに僕の肩に手を乗せ、前後に揺らしてきた···酔うから止めてくれ。

 今のノアは、学校の誰も寄せ付けないオーラが嘘のように、明るく楽しそうな表情をしている。

 そんなに王様ゲームが楽しみだったのかな······


「別にいいけどさ······王様ゲーム2人でするの?」


 素朴な疑問なのだが、王様を2人でして楽しいのか?

 王様ゲームは数人の男女が集まってするから面白くなるのではないのか?

 普段では見れないペアができたり、王様の命令によってはキスまでしないといけない雰囲気が面白いのであって、こんな中2男女2人でする王様ゲームが面白くなるのか?

 しかも、どっちかがどっちかに命令するのが決まっている。


「2人でやるからいいの!普通はゲームの勝ち負けとかで命令権を得るけど、その無駄な過程がなくなって命令しまくれるのがいいの!」


 ············だそうです。

 ノアの表情があまりにも王様ゲームを楽しみにしてた顔してるから、試しにやってみるか。


「······そこまで言うなら分かったよ。試しにやってみよう。」


 こうして男女2人きりの王様ゲームが始まった。




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 今話で流れ変わったな。

 男女2人きり、王様ゲーム、何も起きないはずがなく········· 


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