第16話 誰だって見られたくない物の1つはあるよね
胸を押し付けられながら何とかノアの家に到着した。
ノアがあまりにもかわいすぎるせいで、どこかの箱入り娘か何かだと思っていたが、ノアの家が大豪邸じゃなくてとても安心した。
よくよく考えてみたら、箱入り娘だったら護衛とかついてそうだし、そもそも絶対2人で歩いて帰れてないか。
「優希···どうぞ、入って。両親は夜まで帰ってこないから。」
「······お邪魔します。」
ついにノアの家にお邪魔してしまった······さらにそのままノアの部屋にお邪魔している。
4時間授業で下校したため、お昼は食べていない。
そして現在、ノアは1人リビングで2人分のお昼を作っている。
1人で作ってもらうのは申し訳ないし、料理には多少の自信があるので「何か手伝える物ない?」って聞いてみたら「1人でやるから大丈夫、あと1人だからって私の部屋漁らないで···」と返された。
いや全然大丈夫じゃないだろ···何で一緒にお昼作るのは駄目で、異性を自分の部屋で1人にしておくのはいいんだよ。
でもそう言われるとさ、駄目って言われたことやりたくなっちゃうよね、人間だもの。
ノアの部屋には何があるかな···中2なのにR-18のがちエロ本とか持ってたりしないかなー、それともこの世で最も理解できないBL本とか持ってて、腐女子だったりしたら面白いのになー。
やっぱそういう物隠すんだったら、ベットの下だよね。
やるなと言われたらやりたくなるのが人の
微妙にベットの下が見えないように隠されており、何かがあることを確信した。
隠されているベットの下を捲ってみると、そこにあったのは······大量のメイク用品と数冊の本であった。
なーんだ、面白くないの。
数冊の本は一端置いといて、大量のメイク用品か。
本は見られたくなくて隠すのはまだ分かるが、メイク用品を隠す必要が果たしてあるのか?
この大量のメイク用品が、ノアのかわいさの秘訣なのかも知れない。
男で全くメイクとかしたことない人間だから、こんなに必要なのかと思ってしまう···これは女心が分かっていないだけなのか?
まあそんなことはどうでもよくて、本命は本の方である。
何かな、R-18のエロ本かなー、それともBL本かなー、逆にがち百合本とかかなー、いややっぱ完璧すぎるから参考書とかかなー。
隠してあった本を上から手に取り、凝視してみると······
「どれどれ、本のタイトルは······『イケメン王子様とのらぶらぶ♡自堕落いちゃいちゃ生活♡』······なんこれ?」
うん、なんこれ?ノアの性癖が垣間見えた気がする。
ベットの下に隠してあった意味がようやく理解できた···これは見せられないわ。
この本を開いてしまうと、何となく世界が終わる気がするので、次に進むとするか。
「ええと、次の本のタイトルは······『世界一かわいい男の娘に女装させて立場を分からせながらメスイキさせる話』···か。」
うん、うん、うん···うんとしか言えない。
途中で男の娘という単語が見えて、ノアも分かってるねーって感じだったけどさ、立場まで分からせちゃって何ならメスイキまでさせたし。
表紙にはかわいすぎる男の娘と、女装した男の娘がアヘ顔で分からされている姿が対比して描かれている。
これ普通にR-18の本じゃないのか?···まあノアが持ってるってことは大丈夫か、たぶんおそらく絶対。
「もう見たくないけど先に進まなければならない。次は『裸の男女2人きりでツ○スターやってみた結果!?』」
うん、もう驚かなくなってきた。
てか何このユ○チューバーみたいなタイトルは。
これもだいぶまずいけど、ノアが持っているから大丈夫なのだろう。
他にも色々な本があり、例えば『ちゅっ♡らぶらぶあつあつもえもえ♡幼馴染との濃厚なキス♡』とか『【圧倒的支配】学校では慕われているイケメン王子様、家ではどうしようもないドMだったのでめちゃくちゃに汚してみた!』とかがあった。
ノアは男の娘だけではなく幼馴染まで精通していたとは······いい趣味してるな、もっと仲良くなれそう。
あとノアさ、イケメン王子様好きすぎるだろ、何だよ【圧倒的支配】って···危ない香りしかしない、でもちょっとだけ分かるのが悔しい。
まだやばそうな本は残っていたが、思ってたよりも多かったのでこの辺で終わりにしておく。
てかさ、見て見ぬふりしてたけど、ヘッドの下の奥の方にある写真······僕だよねあれ。
なぜ?普通に盗撮だよねこれ、でも前の僕が許可を出した可能性は捨てきれない···その可能性はほぼないと思うが。
転生する前の僕の写真がある、確かに死んだ魚のような目をしている···あまりにもイケメンがもったいない。
「···························は?????」
とある写真を見つけた瞬間、完全に思考が停止した。
そこにあった写真は······ノアが僕に抱きついて胸を当ててきながら一緒に登校している写真であった。
いつ取ったこれ?······全く気づかなかったけど。
僕に抱きついているノアは盗撮できる訳なく、ノアに協力している第3者盗撮犯がいるということである。
どうしよう······うーん、見たかったことにすればいいか。
ノアから見るなと言われたので、全てを忘れて見なかったことにしよう。
どっちかって言えば、見なかったことにしたい願望の方が強い。
別にこっちから話さないければ、ばれるはずがない······盗撮問題の解決にはならないが。
そうして僕は全てを忘れることを決め、ベットの下を元の状態に戻し、お昼を作っているノアを待つのであった。
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ノアの本性が少しづつ見えてきましたね。
次回、終わりの始まり······
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