第1話 女神様からチートスキルを与えられたらしい
突然だが···この世界は平等なのだろうか?
おそらく日本人の9.9割は平等ではないと答えるだろうか。
僕もこの世界は平等ではないと思っている。
今の僕は何も変哲もない高校3年生で受験を控えている。
受験生だから勉強が得意な訳でもなく、かといって運動が得意でもない。
それなら顔はいい······訳もない。
まだ勉強や運動や顔は自分自身の努力でどうにかなるが、生まれた瞬間から遺伝によってある程度決まっているものもあるので···この世界は平等なはずがない。
僕は歌い手や声優などの声を武器にする職業に就きたかった。(過去形)
しかし、歌い手や声優などの職業を知った頃には既に声変わりを終えていた。
ボイストレーニングを行えば、今からでも多少は改善できるだろうが、ボイトレを独学、声優になれるレベル···そもそもこの受験の時期にそんな時間はない。
つまり、今さら後悔したってもう遅いって感じなのである。(?????)
まあ結局何が言いたかったのか、それは人生は生まれた時点で運命が決まっているのである。
僕は受験勉強の合間にそのような事を考え、ベッドに横たわりながらうなだれていた。
「はあぁ···勉強疲れたしとりあえず散歩でもするか······」
まるでやらないといけない勉強から逃げるように急いで支度を済ませ、外の世界に吸い込まれていった。
お決まりの散歩道を歩いていくと、いつもはなかったような気がした階段があった。
「あれ?こんな階段あったっけ?」
その階段はぱっと見300段以上もあり、下からでは上をよく見ることができない。
たまには散歩ルートを変えるのもよいと思い、300段以上の階段を登った。
上についた頃には少しだけ息が上がっていたが、何とか頂上にたどり着き···そこにはあったのは何と神社であった。
「はぁはぁ···何でこんな高い場所に神社が。」
せっかく300段以上も登ってきたので、ついでにお参りしてから階段を下って帰ることにした。
まずは手を清めて···いや見た感じ誰もいないのだからね、禁忌を犯したっていいのでは?
1度はやってみたかった、参拝をする前におみくじを引くという禁忌を。
都合よくポケットの中に入っていた200円を払い、おみくじを引いてみると大凶吉であった。
"運勢 大凶吉 ありえないことが起こるかも?"
まず大凶吉って何だよ···新しい運勢を作るなよ···1行しかないし、口調もおかしいし、全てがおかしい、誰が信じるんだこのおみくじ。
「さっさとお参りして帰るか······」
鳥居をくぐり、賽銭箱にお賽銭を入れた瞬間から段々と意識が薄れていく。
走馬灯のようなものまで見えてくる。
僕の人生はこんな所で終わってしまうのか······
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い
人が死ぬ時はこんなにも苦しいか······
痛みが僕の脳を壊し、何も考えられなくしてくる。
全身までにも痛みが伝わってくる。
死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない
死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない
死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない
···い···や······もう······むり······だれか···たすけ······
僕は完全に意識を失った。
★★★★★
目を覚ますと···どこだここは?
確か願った瞬間に意識が薄れていって亡くなったはずなのに、はずなのに、意識があって身体も自由に動かせる。
頬をつねってみたらちゃんと痛かったので夢の中でもない。
「あー、やっと起きたー。」
そこにはいたのは···誰だこいつは?
「女神様に向かって失礼なこと考えないのー。」
「女神、様?」
少々混乱していたが、この自称女神様を名乗る女性は僕がいた地球の女神様らしい。
このどことなくうざい女神様によればこういうことらしい。
僕が本来発見できない神社を偶然見つけてしまう。
そこのおみくじで幸運にも(?)大凶吉を引き当てたため、おみくじの内容どうりのありえないことを起こさないといけなくなった。
ありえないことと言えば転生だと思った脳単細胞女神様は、僕を突然お亡くなりにさせた。
そして僕をこの空間に連れてきて転生させようとしている。←今ここ
······この駄目女神、人の命を何だと思っているんだ···よし○すか。
「怖いこと考えないのー。私のおっぱいでも飲んで落ち着くー?」
「飲むって何ですか飲むって!赤ちゃんじゃないんですから!」
「ごめんねー、君の反応が面白そうだったからつい、ねー?」
女神様が上目遣いでこちらを見つめてくる。
こいつ美女が上目遣いしたら何でも許されるって思ってるだろ···よしやっぱりこいつ○すか。
「ごめーん、突然君をお亡くなりにしたのは申し訳ないって思ってるからー、ちゃんと謝ってるからー、許してちょ!」
こいつ明らかにテンションバグってるだろ······やっぱり神様におかしい奴らしかいないのか?
「あー、また失礼なこと考えてるー。そろそろ本題に入るんだけどねー、君には2つの選択肢が残されてるんだよねー。」
「1つ目の選択肢としては地球とは全く異なる世界、要は異世界に転生する選択肢だよー。もちろん不自由なく生活してもらうようにー、チートスキルをたーくさん与えてあげるから心配しないでねー。」
「2つ目の選択肢としてはもう1度地球に戻る選択肢だよー。注意点としてはチートスキルは1つしか与えられないけどねー。」
「···え?日本に戻れるんですか?こういうのってだいたい魔王とかを倒さないと日本に戻れないから、嫌々受け入れるお決まりのパターンじゃないんですか?」
「女神様だからねー、何でもできちゃうよ!それとも魔王を倒しに行きたかったー?」
「いや···遠慮しておきます···日本に帰りたいです。」
どうやら女神様(笑)は僕に苦しみを味合わせた責任を取ってくれるらしい···更にチートスキルのおまけ付きで。
女神様の力ってすげーーー。(棒)
「君を日本に返したいんだけどー、1つだけまずいことがあってねー、なんだかんだあってねー、他人と入れ換える方法でしか返せないんだよねー。簡単に言えばー、身体自体は他人の物だけどー、心は君みたいな感じでー!まあ日本に返すという表現よりー、やっぱ他人に転生のほうが近いのかなー?」
「大丈夫ですよ転生してもらって···特徴もない平凡な身体に思い入れもなにもないので。」
僕はそこらじゅうに転がってるただの高校生である···いやあったの方が正しいのか。
そんな思い入れのあるはずのない僕から転生···興奮せずにはいられない。
男子なら誰だって転生してみたいと1度は思うはずである···さらに異世界ではなく日本、そう日本なのである。
飯がまずく、魔物がうじゃうじゃとしている異世界と違って日本なのである。
はやく転生してみたいなぁ······
「おっとー、転生させる前にチートスキル与えてあげないとね!1つしか与えてられないけどさー、何か欲しいスキルあるー?」
「突然ですが女神様、この世界は平等だと思いますか?」
「平等に決まってるじゃーん!だって私の力で平等にできちゃうからねー。」
いや···僕が言いたいのはそういうことではなくて······
「そんなに平等が好きなのー?よし分かった!君には平等な力を与えるねー。」
「平等な力···ってなんですか?」
「平等な力はねー、めちゃめちゃ簡単に言えばねー、全ての事象を自由に調節できる力かなー。例えば勉強においてはー、生まれたばかりの赤ちゃんの頭脳から世界一の頭脳まで自由に調節できたりー、運動においてはー、世界一の身体能力を手に入れられたりー、見た目も世界一のイケメンになれたりー、とにかくすごい力なんだよー。」
どちらかといえば平等な力の前に『不』が入りそうなチートスキルだが、この力を手に入れられたら僕の夢が叶えられるかもしれない。
「君に与えるスキルも決まったことだしー、時間もあまりないしー、もう転生しちゃおっか!」
「はい、よろしくお願いします。」
「あとおまけでねー、いつでも女の子になれるようにもしておいたからー、TSってやつなのかなー?今日TSしてみたい気分だなぁ······って時に使ってみてねー。それじゃー、またねーーー。」
「ちょっとまってそれ一体どうゆことですか?スキルは1つしか······」
「ばいばーい。」
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全ての事象を調節できるなら、拘束されてる最中に力を強くして壊せたんじゃね?とか思うかもしれません。
イメージはステータス画面が出てきて、それを手で画面をタップして調節するイメージなので、前話の場面では寝ているうちに拘束されて手を動かせませんでした。
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