第6話 指令
「ん?…おいケイ。来てるぞ。」
テラさんは手に持っている封筒をひらひらさせながらケイさんを呼んだ。
「あぁ、来たか…。そろそろだと思ってたんだよね。」
「あの、何が来てるんですか?」
僕がそう聞くと、三人は少し顔を顰めて、目を見合わせた。
「…龍哉くん。このこと聞いても誰にも言わないでね。」
「はい…。」
なんだか深刻そうな話なのかな。
「グラデーションっていう組織があるのは分かる?」
「はい。確か、とても強い三人ぐみ、だって…。もしかして、三人がそうなんですか?」
「ご名答。なかなかいい勘してるね。」
「いや話の流れと雰囲気的にそうかなって…。ていうかなんでグラデーションなんですか?」
「多分、髪の色だろう。テラが白、煌雅が灰色、で僕が黒。だからだと思うけど。」
ケイさんが二人の髪を見ながら言う。
結構安直なネーミングなんだな…。誰がつけたんだろう。
「付けたのは俺らじゃねーよ。通り名みたいなもんだろ。どっかの誰かが勝手に付けたんだろう。」
そうなんだ…。てっきり煌雅さんなんかが付けたもんだと思ってた。
「それで、僕たちは指令を受けて動いてるんだけど、今その指令が来た。」
「内容は、なんです?」
ケイさんは封筒の封を切ると、中から手紙を取り出した。
「『今夜二時、指定の人物を抹殺せよ。』指定の人物は…、
「二区を仕切っているやつか。あいつは確かに、調子に乗ってるなぁ。」
「よし、じゃあ準備しようか。」
煌雅さんがそう言うと、三人はスタッフルームの中へと入って行った。
十分後、三人が部屋から出てきた。
「あぁ準備できた、んですか…。」
部屋から出てきた三人は、黒の長いパンツに、フードが付いている黒いダッフルコートを着ていた。だが、三人とも凄く似合いすぎており、とても直視できない。
(この三人、こういうところがヤバいんだよな…。)
「どうしたの?大丈夫?まだ頭痛い?」
三人の姿に悶絶していると、ケイさんが心配してくれた。
「大丈夫です。…あの、僕も行っていいですか。」
「え?」
ありえないことを言ったように反応した。
「え~っと…、いいのかな。」
「大丈夫だろ。」
テラさんが悩んでいるケイさんを押しのけ、そう言った。
「テラ。理由は?」
「コイツ、普通に強いだろ。やられるはずがないから。」
「ん~、でも…。」
まだ悩んでいるケイさんにテラさんは肩を組み、口を耳元に持っていき
「いざとなったら、俺が責任を取る。」
小声だから何を言っているのか聞き取れなかった。
「…テラ。今の言葉、信じるからね。」
「あぁ。任せろ。」
なんだかわからないが、解決したようだ。
…テラさんが肩組んで耳元で喋ったとき、すっごいどきどきしたな。
「じゃあ龍哉くん。一緒に来ても大丈夫だよ。」
「分かりました。何か着替えたほうがいいですか?」
僕がそう聞くと、ケイさんは、スタッフルームからもう一着のダッフルコートを取ってきて、僕に渡した。
「これを着るといい。」
「ありがとうございます。」
僕はそれを羽織り、ボタンを全て留めた。
「じゃあみんな、準備はいいかい?」
沈黙が回答と言わんばかりに静かになる。
「行くよ。」
カランカラン
店のドアが開き、黒ずくめの四人組が夜の闇に紛れるように静かに歩いていた。
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