第十三話 優しい光、優しい触れ合い②
ガイトさんの拠点に着いた後。私はガイトさんに
そして、テーブルを挟んで向かい側にガイトさんが陣取る。フゥはヒラヒラと自由に飛び回る。これも、私にはお馴染みの光景だ。
さて、今日は何を話そうか。ガイトさんに話したいこと、聞きたいことはたくさんある。だからこそ、何から話そうか迷ってしまうのだ。
……とりあえず、当たり
「あの、ガイトさん」
『ハ、はイ!』
「どこか具合が悪いんですか?」
『あ、ヤ、悪くナいでスよ! ワァシは元気でス!』
私の問いにガイトさんは慌てた様子で答えた。……やっぱり、なんだかおかしい気がする。でもそれを指摘するのも
「では……何か私に話したいこととかは……?」
『あァ~……そノ~……』
私の問い掛けにガイトさんはどこか歯切れ悪くそう答えて、また手を忙しなく動かし始めた。そしてしばらくしてから、意を決したように顔を上げた。
『ミチル!』
「は、はい」
『ミチル……さエよければデすけド……』
「……はい」
『手、まタ触っテも……良イデすカ?』
「え?」
ガイトさんの言葉に、私は一瞬固まってしまった。……手? 私の、手を……?
「……良いですけど……」
『ホントでスか!』
私がそう答えると、ガイトさんは嬉しそうに声を弾ませた。……ガイトさん、そんなに私の手が好きだったのだろうか。
「はい」と
『あ、アりガとうゴザいまス!』
そうお礼を言って、ガイトさんはテーブルを
『サ、触ッてモ?』
「はい、どうぞ」
『……シ、失礼シまス……』
私はそう言って右手を差し出す。ガイトさんは一瞬
『ア~……やっぱリ、柔ラかイでスね……』
ガイトさんはそう呟きながら、私の手をフニフニと触っていく。なんだか
『指も細ッこクて柔ラかイ……』
「ふふ、そうですか?」
『はイ……。ア、ココはチょッと硬イ? 不思議でス……』
そう言いながら、ガイトさんは私の指先に軽く触れた。硬い、というのは爪のことだろうか。確かに、皮膚よりは硬いけれど……。そんなに意識したことはなかったから、なんだか不思議な感じだ。
……なんて思っていると、ガイトさんは私の手のひらを指でなぞるように触れてきた。そしてそのまま、四本の指で私の手のひらを
「ふ、ふふ……ガイトさん、ちょっとくすぐったいです」
『あ、スンませン!』
堪え切れずにそう伝えると、ガイトさんは慌てた様子でパッと手を離した。
「いえ。……そんなに私の手、触り心地良いですか?」
『はイ! 柔ラかクテ、あタたかクテ……。良いデす!』
ガイトさんは、そう言ってとても嬉しそうに笑った。……なんだか、少し照れてしまう。
「そ、そうですか。……でもなんかちょっと恥ずかしいので、ほどほどにお願いしますね」
『ン? ソぅナんでスか? ナら、すンマセんデす……』
「あ、いえ……謝ってもらわなくて大丈夫ですよ」
頭を下げて、心なしか内部の炎をシュンと小さくしてしまったガイトさんに、私は慌ててそう言った。そんな顔をさせたかったわけじゃないのだけれど……。
「えっと、その……どうして私の手を触りたいなって思ったんですか?」
気を取り直して、私はそう尋ねてみる。するとガイトさんは、パッと顔を上げた。
『あァ……そノ、前にミチルの手ヲ触っタデすヨね? ソん時、すゴク柔かィなって思っテ……。マた、ヨく触っテみタいナって……』
「あぁ……。それで、ですか」
前に、というのは初めて会った時のことだろうか。しっかり握手をしたのはあの時が初めてだったし……。そういえば、あれ以来握手はしていなかったかもしれない。
『はイ。ワァシ、人間の手ヲ触るノは、アの時が初メてでしタかラ。ずっト、覚えテまス』
……そうか。ガイトさんは、今まで人間の手を見る機会があっても、実際に触れてみる機会は無かったのか。だからあの時、あんなにも嬉しそうだったのかな。
『ワァシ、モッと人間を知りタいンでス! だカら、ミチルノ手ヲ触ッてみタかッたデす! デも、ミチルが嫌ナら、もうしマセんデすガ……』
そう言ってガイトさんは、またシュンと
「ふふ、大丈夫ですよ」
『ほんトでスか!?』
私の言葉に、ガイトさんはパッと顔を上げた。その様子に微笑んで、私は頷く。
「はい。さっきはちょっとくすぐったかっただけで、嫌というわけではなかったので。こんな風に一言いただけたら、全然大丈夫ですよ」
『そウでスか……。ア、しカし……』
ガイトさんはそこまで言って、四本の腕の一本を私に向けた。そして握ったり開いたりして、言う。
『ワァシのコノ手デ触ってモ、良イんでシょうか……? ミチル、痛クなイでスか?』
ガイトさんの手。
「はい。痛くないです。ガイトさんの手、私は好きですよ」
私はそう言って微笑んだ。これは私の本心からの言葉だ。見た目なんて、私はちっとも気にしていない。
こうして私のことを気遣ってくれて、私を傷つけないように触れてくれる。ガイトさんの手は、とても優しい手だ。
『ホントでスか……!?』
「はい」
私がそう答えると、ガイトさんは嬉しそうに声を弾ませた。
『あリがトウごザいまス……! ミチル!』
「ふふ、どういたしまして」
お礼を言ってくれるガイトさんに、私はまた笑みを
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