あとがき
拙作をお読みいただき、ありがとうございます。
ネコ?です。
本作は、あるカクヨム友達の小説や詩、近況ノートを拝読し、その内容に触発されて詠んだ俳句です。完全に空想の句です。
あまり得意ではないのですが、一句で自身が感じたことを表現するのは難しいと思ったので連作にしてみました。
男でも女でも、三十も半ばを過ぎ、家庭を持っていたりすると、昨日の続きに今日があって、今日の続きに明日があるという生活になりがちです。
そして、その生活の中の役割に埋没というか、忙殺されていきます。そしていつの間にか老いていきます。
ただ、私たちはどこかの会社の社員であったり、上司や部下であったり、父親や母親という役割を演じるために生きているわけでなくて、一個人として生きているわけで。
だからこそ創作をしたり、家庭があっても淡い恋をしたり、推し活をしたりするのかなと思います。
この俳句の主人公は女性ですが、「役割」からほんの少しだけ開放され、一個の女としての逢瀬の時間を楽しみます。
その主人公でもなく、ましては女ならぬ我が身にその時の感情を理解できるはずもありません。
ただ、彼女の作品を拝見し、私は誰と会ったか、何をしたかより、そこに至るプロセスに開放の本質があったのでないかと感じました。だからこそ逢瀬そのものより、そこまでの身支度に重きを置いて句を詠みました。
うちの妻もそうですが、子どもがいるとペディキュアやマニキュアを付ける余裕もありません。スカートよりもデニムが多くなります。昼は一人で簡単に済ませ、子どもとだけ話をし、一日が過ぎていきます。
それは、たとえ求めても得られない人も多いとても幸福な時間ですが、その円環の中あるいは数直線の上にいる当事者は、時としてたまらない閉塞感、あるいは倦怠に苛まれる時があるのではないかと思うのです。
この連作の主人公は、少しだけおしゃれをして、ほんのわずかの時間だけ円環から抜け出して、そしてまた日常という円環の中に戻ってきた。
当人の近況ノートを見ると色々と悩んでいる様子が見て取れるのですが、私は、ただそれだけのことだったのだと感じています。
素敵な詩を編む本作の主人公である大切な友人と、
一緒に彼女を見守っている、もう一人の大切な友人にこの連作を贈ります。
ぼくのたいせつなともだち ネコ? @tanaka0045
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