イルメニア編 第2話 胸に巨大で赤く発光し、そこを三回攻撃されたら即死する丸い宝玉をつけられた

 神野ツムギが目を覚ましたら、深い森の中であった。木々が生い茂り、鳥の鳴き声を感じる。

(ここが異世界? 私は異世界に転生したのでしょうか?)

 随分と寒い。見上げると木々の合間から青空や太陽は見える。まだ昼間だろうに森が深く、明かりもないので暗く感じる。


(今のところ、体感的に元いた世界との違いはわかりませんね……)

 木の幹に触れてみるが元居た世界の木々との違いはわからない。ツムギはそこまで植物に明るくなかった。植物学者なら違いがわかるのだろうか?

 そこまで考えてぶるりと震える。

(しかし、本当に寒いな……服装は転生前のままか……向こうでは七月だったから半そでで転生しちゃ……ん?)


 その自分が来ている服の様子がおかしいことに気が付く。何か胸部が膨らんでいるし、服の下が赤く光っている。

(なんですか、これ? 胸に何かついている?)

 神野ツムギがそう考えた瞬間、突然バリバリと音を立てて着ていたワイシャツの胸部が燃えるように裂けた。

 そして神野ツムギの胸部が露わになり、元の世界ではついていなかったものが露わになる。

 直径十五センチほど。円形の宝玉だった。そして、ピカピカと赤く発光と点滅している。

 巨大なビー玉を半分に切って、それを胸に貼り付け、点滅させたこんな感じになるだろう。もっとわかりやすく言えば、ウルトラマンのカラータイマーが胸部に対して、割合が大きいならこんな感じだろう。

「ひえええ!? なんですかこれ!?」

 当然、ツムギはパニックになり、赤い宝玉を外そうとするが、完全にツムギの肉体に癒着しており、外れそうない。そもそも、特につかむ部分のない円形のつるつるしたものを外そうとするのは極めて困難だった。


 それでもツムギが何とかしようと悪戦苦闘していると……。

『おっと、あんまり触らないほうが良い。強くたたくと、君、死ぬぜ』

 突然、ピクシースーの声が響いた。神野ツムギはあたりを見回す。

「え、ピクシーさん? どこにいるんですか!? あ、これ『神託』のスキルか!」

 神野ツムギ、第三のチートスキル『神託』。いつでも転生の担当者と通信が可能で、担当者は契約上、質問には必ず答えねばならず、転生者の生存に最善を尽くす必要がある。

 神野ツムギは異世界転生にも異世界にも詳しくはない。ガイドは必須と思い、迷わずこのスキルを選んだ。

『よかった。知ってる弱点・欠点の中ではかなり面白いのが出たね。ヴィジュアル的に面白くない欠点も多いからそれが出たらどうしようかと思ったよ』


 ピクシーの言葉にツムギは絶句した。

「じゃ、弱点!? なんですか、それ聞いてませんよ!?」

『聞かれてないからねぇ。スキルをつければつけるほど、異世界で死にやすくなる弱点が付与されるのさ。君は八個のチートスキルを選んだ! その胸の赤いのは八個選んだわがままな君のリスク、君の弱点だよ』


 ピクシーの口調は先ほどより多分に愉悦を含んでおり、一言で言えば「楽しそう」だった。

「ピクシーさん、そういうのは九個以上えらばなきゃつかないって……」

『僕は弱点がつかないとは言ってないぜ? 九個以上に壮絶なペナルティがつくと言ったんだ。八個以下についての言及はない』

 ツムギは記憶力がいい。先ほどの会話を脳内で反芻する。

「……本当だ! ピクシーさん、八個以下でペナルティがつかないとは言ってない! そもそも、これ、なんなんですか!? この赤く光ってるのは!?」

『だから、弱点そのものだよ。そこを三回攻撃されたら君は死ぬ』

「え!?」

 ツムギははがそうとしていた自分の手を慌てて離す。もう少し放置されていたら、強めに叩いていたかもしれない。


『君が好きなゲーム攻略本はRPGばかりだろ? アクションゲームじゃ多いんだ。巨大なボスの胸が光っててそこが弱点のパターンが』

「こんなのがつくなんて、聞いてませんけど!?」

 ピクシーはいよいよをもって楽しそうに、そして意地悪に応えた。

『聞かれてないからねぇ。言ったはずだろ? 質問にはなんでも答えるって。逆に言えば質問されなかったことは答えないさ。君はあの時、最初にして最後のチャンスを失ったんだよ』

「そ、そんな……」

 ツムギは愕然として下を向く。


『君は運が悪いのではなく、頭が悪いのでもない。だけど、あまりに人を疑わなさ過ぎた。異世界転生で生き延びれるのは、あのタイミングで僕らにどれだけ質問して、弱点の事を聞き出せるかだからね。弱点が全く付与されない最大スキル数は四個以下。生き残るやつはやつはそこまで聞き出して、四つしかスキルを選ばない者さ。がっかりしなくていいよ。たいていの奴は、何も考えずにスキルを十個付けて異世界ですぐ死ぬから。君はまだその程度で済んでよかったね、あっはっは!』

「と、とりあえず、胸のこれを隠さなきゃ……」

 ツムギは大き目の葉っぱを見繕うと自分の胸を隠す。しかし、葉っぱは先ほどのシャツの様にすぐに灰になり燃え落ちた。

「あれぇ!?」

『あーはっはっは! 無理無理! それは隠せないんだ! たとえ、分厚いアーマーを着ても、金属が裂けて胸が露出してしまうのさ!」

 ピクシーは大笑いをする。ツムギはわなわなと震えた。

「あ、あなた……ピクシーさん、あなた……」

 震えるツムギにピクシーは「お?」と思う。ツムギの騙された怒りや絶望が見たくて彼女は「八個スキル付け」なんて面倒な真似をしたのだ。早くもそれが見れるかもしれないと期待がこもるが……しかし、顔をあげたツムギは笑顔を浮かべていた。

「さては良い人ですね!」


『……は? 聞き違いかな? 僕が? え? いい人?』

 あまりに予想外の返答に脳の処理が追い付かず、ピクシーはとりあえず愕然とした。

「だって、あなた、止めたじゃないですか。私が九個以上スキルを獲得しようとしたときに。あれ、私の命の危機を察して八個にしてくれたんですよね?」

『いや、違うんだが? 本当にいい人なら、四個を推奨してるが?』

「それでも、今こうして私が生きてるのはピクシーさんのおかげですよ。ありがとうございます!」

『……』

 無言になってしまったピクシーを置いといて、ツムギはとりあえず当てもなく歩き出す。胸をピカピカ光らせながら。

「でも、ピクシーさん。あなた方の目的はなんなんですか? 送り出した人をすぐ殺して何がしたいんですが?」

『ああ、それ今聞いちゃう? スキル付与するときに聞いとけば少しはましだったのに。僕たちさ、見た目通り、いわゆる悪魔だから。契約した人間の魂の回収が目的だよ』

 ピクシー・スーは確かに「いわゆる一般認知されている悪魔の美女化」のような外見をしていたが、その手の文化に疎いツムギには悪魔というの意外だった。


「悪魔……ピクシーさん、聖書に乗ってるような悪魔だったのですか」

 仏教にも悪魔という言葉はあるが、なんとなくピクシーの姿はそれらとはずれており「キリスト教的」な印象をツムギは覚えた。

『いや、便宜上、悪魔って名乗っただけで、宗教的な悪魔とは少し違うかな。僕たちは宗教に縁なんてないよ。それに近い存在だと思ってくれればいいよ。まず、基本的に僕たち的には転生者は十個スキルをつけてすぐ死んでくれたほうがいい。それを八個に抑えた僕は確かにいい人かもしれないね』


「なんで、すぐに契約した人間を殺したほうが良いのですか?」

 ツムギの疑問にピクシーは即答する。

『そりゃ、"契約した人間が死ななきゃ魂は回収できない"し、"複数件契約した人に死んでもらったほうが回収する魂の量が爆増する"からね。スキル十個付けは悪魔的にメリットしかないのさ。契約段階でデメリットを聞かないほうが悪いよ。だから、"死を遠ざけること"と"異世界への転生"に足して"チートスキル十個の付与"と十二件も契約させて即死させるこの仕組みを最初に考えた奴は天才だと僕は思うよ。実際、この仕組みが再発見されてから魂の回収率が百倍以上に増えたからね。すごいよこれ』

 再発見という言い方はちょっと気になったが、ツムギは今はそこに触れなかった。

「なるほど。なんとはなしにわかってきました。気になる点はいくつかありますが……」

 そこまで言って、ツムギはぶるりと震える。


「というか、寒い……かなり寒いですね、この辺……」

『君がいるそこはミルニカ大陸北部、小国であるイルメニア王国北部の森だ。寒さは春の北海道くらいだね』

 ツムギはその言葉に興味深そうに周囲を見る。

「おお、異世界の大陸名に国名。地理がかなり気になりますが、落ち着いてから聞くとして……北海道といえども広いので、もう少し具体的に。札幌くらいの寒さですが? 網走位の寒さですか?」

『細かいな、君。じゃあ函館。気温でいえば七度くらいだ』


 ツムギが元居た場所、本日の最高気温は二十七度、最低気温は二十五度の暖かい日であった。半そでの学生服、下に無地のTシャツ、スラックスである。山から登校してるので、スニーカーは頑丈なものかつ最近買った新品でよかったと思いつつ、ツムギは先行きがやや暗いことを思い知る。


「私は函館で胸をさらけ出して生きていかねばならないのですか……死活問題ですね……」

『君が転生した時の日本は七月だったからねぇ。君、半そでの薄着だし、普通に凍死もあり得るね。早くどこかに入ったほうが良い』

 ピクシーの言葉にツムギは難しい顔をする。

「こんな胸がピカピカ光ってる人を泊めてくれる人がいるので、どわ!?」


 そこまで言って、神野ツムギは身をすくめた。

 ヒュンと何かがツムギの胸元を掠めたのだ。背後にある木にトンと矢が突き刺さる。ツムギの胸部を矢が掠めたのだ。

「そこの少年! 手をあげて止まれ!」

 ツムギが目を向けると二人組が立っていた。

 ちぐはぐな二人だった。

 弓矢を打ってきたのであろう弓を持っている片方は金髪で長髪、美人で耳が尖っている女性だ。

 そこまでの特徴なら、神野ツムギですら知っているファンタジー世界の定番、「エルフ」の特徴を抑えているが、恰好が明らかにツムギが知っているエルフではなかった。

 その女性が着ているのは迷彩模様の近代的な軍服に緑のベレー帽だった。いかにも軍人然とした格好だが、かなりの美少女であるため違和感がすごい。


 もう一人は群青色のプレートアーマーを着込んでいた。全身が鎧に包まれ、露出している部位が一切ない。

 身長は高く、手足が長く、細身である。着込んでいるプレートアーマーもツムギが知るような丸みを帯びたものではなく、ところどころ歪んでいるが「あえて歪にゆがませたような」意匠が見て取れる。


 近代と中世の軍人が混生しているような二人組であった。

 エルフ的な特徴の軍人が声をあげる。

「貴様何者だ! 斥候か!? いや、ちょっと待て! えぇぇ!? なんだその赤く光る胸は!? あまりにもおかしすぎるだろ!? 貴様、本当に何者だ!?」

 弓を打ったときは「何か赤く光ってるな。ランタン?」くらいに思っていたが、まさか相手の胸部が光っていると思わなかったのでとても驚く。

「アリシア。声がでかい。そんな変な胸の人が……うわ、変な胸」

 全身鎧の人物が発した声は意外なことに女性のものだった。

「き、貴様、それ大丈夫なのか!? 爆発したりしないか!?」

 アリシアと呼ばれた女性は狼狽してされに大きな声をあげる。しかし、ツムギは別のことに驚いていた。


(本当に日本語にしか聞こえない……)

 神野ツムギ、第一のチートスキル『異世界言語マスター』。異世界の言葉を翻訳し、日本語に変換。自らもしゃべる言葉も、相手の言葉も完全に日本語化する異世界必須のスキルである。ちなみに、識字や書き文字にも対応。なお、オンオフも自由自在である。


「いや、私は怪しい者ではありません!」

 神野ツムギは弁明するが、アリシアと呼ばれた軍人エルフは即座に否定する。

「胸がピカピカと赤く光ってるやつが『怪しくないです!』と言っても『はいそうですか』と納得できるか! お前ほど怪しいやつは見たことないわ! この森で半そでだし! オセ殿! そいつを捕まえろ! 場合によっては殺しても構わん!」

「えぇ!? 急すぎません!?」

 ツムギは驚くが、全身鎧の女性、オセはその言葉を肯定した。

「ん、了解」

 オセが抜剣して構えた。ゆらりとゆっくり、じりじりと近づいてくる。

 ピクシー・スーは女性の鎧に感嘆し、声をあげた、


『これは凄い全身鎧っぷりだね。フルプレートアーマーってやつかな?』

 しかしツムギはその言葉を否定する。

「いえ、『フルプレートアーマー』という単語はありません。日本の造語です。全身鎧のこれの名称は普通に『プレートアーマー』です」

『……君、細かすぎるとモテないぜ? 女の子が"わぁフルプレートアーマーだぁ☆"って言ったら、"そうですね"とか返しとけよぉ』

 呆れたように言うピクシーにツムギはオセから目線を離さず答えた。

「一般的な女の子はフルプレートアーマーの名を口にしないと思いますが」

『僕が一般的じゃないっていうのかい!?』

 ピクシーの少し怒り含んだ声に、ツムギも大きく返す。

「失礼ながら、かなり一般的な女の子から逸脱してるかと!」

『確かに、僕は紫色だし、角も生えてるぜ? でもそりゃひどい言い方だろ、君」

「容姿の話はしていません! 性格の話です! 私的にはピクシーさんの見た目は普通の女の子の範疇に収まると思います」

 そう言われたピクシーは虚を突かれて少しだまり、やがて照れながら返した。

『お、おいおい、そりゃ言い過ぎだけど、うれしいねぇ。君、お姉さんを喜ばして何がしたいんだい?』


 ツムギとピクシー・スーが漫才をしている間、アリシアは少し狼狽して叫ぶ。

「さっきから何をぶつぶつ独り言を言っている! 貴様、こ、怖いぞ!」

 ツムギもアリシアが何を言っているのか即座に理解した。

「……あのもしかししなくても、ピクシーさんの声は皆さんに聞こえなかったりします?」

『聞こえないよ。そもそも、僕に対して強く思うだけで"神託"のスキルは通じる』

(言ってくださいよ!?)

『あはは! 聞かれなかったからね! というか、もう思考で会話してる。結構コツがいるんだけど、君、順応力凄いねぇ』


 ツムギとピクシーのツムギにしか聞こえないやり取りの間も、オセはただゆらゆらと揺れて、なかなか近づいてこない。

「むぅ! オセ殿も何を躊躇している! 早く斬ってしまえ!」とアリシアは指示するも、オセはやや消極的だった。

「……見た感じ、徒手空拳。それに悪い人じゃなさそう。本当に斬っていいの?」

 見た目に反して全身鎧、オセの方は、まだ穏健な性格をしているらしいが、軍服エルフ、アリシアは苛烈だった。

「斬ってよい! オセ殿! 多分あの胸の光ってるやつが弱点だ! そこを狙え!」

「ひぇ! なんでばれたんですか!?」と狼狽するツムギ。

『いや、誰がどう見ても弱点だろ』


 オセは仕方なしとため息をつくと、剣を構えなおした。曲刀の形状をした片刃の剣で、相当な大剣であり、竜の羽を千切って加工したような剣らしくないごつごつとした形状をしている。ツムギの認識では元居た世界では同じような形状の剣は見たことがなかった。

「気は進まないけど、雇い主の指示だから……斬るね」

 ゆらりとオセの体が動く。

 まだ遠い。ツムギはそう思っていたが、相当重い全身鎧を着ているはずなのに、オセは一瞬でツムギに肉薄してきた。

 緩急の付け方が巧妙だった。あえてゆっくりと動き、ツムギに「鎧が重くて素早く動けない」と誤認を生ませていたのだ。


「速い!!」

 そう思考したのは、ツムギと……そして、オセもだった。

 オセの剣撃は通常であれば、間違いなくツムギの胸に当たる軌道であったが、剣はむなしく空を切った。

 斬りかかったはずの神野ツムギが消えたのだ。いつの間にか、はるか後方に着地している。

 神野ツムギ、第二のチートスキル『韋駄天』。高速移動を可能にする。燃費もよく、長時間にわたり高速移動を可能にするが、欠点として足に依存するチートスキルであるため、足を怪我したら有効に使用できない。


(速い。いや、速すぎる。生物ではありえない速さ。何? 魔術?)

 オセは思考をしながら、また間合いを詰めていく。

 ツムギもまたオセと同じく焦っていた。

(たまたまうまくいったけど、これはちょっと練習しないと、障害物にぶつかるぞ!)

『韋駄天』が早すぎて自分でも制御が難しいのだ。韋駄天で逃げるのは策の一つであったが、ちょっと現実的ではなくなった。


 再び剣を構えるオセに話しかける。

「お、落ち着いてください! 話し合いましょう! 私は敵ではありません!」

「私も話し合いに応じるつもりだったけど、君のその胸も速さも異常。話し合いなら、砦の牢屋ででもできる。とりあえず、捕縛する」

「むむむ……仕方ない。では、自衛のために私も行きます!」

 そういうとツムギは手のひらをオセに向ける。

 次の瞬間、ツムギの手から電気のようなものが出てオセを襲った。明らかに攻撃の射程外だと思い込んでいた油断していたオセを電撃が襲う。


「なんだ!?」

 アリシアが驚きの声をあげる。彼女の知る魔術ではありえないものだ。

 神野ツムギ、第四のチートスキル『パラライズ』。手から電気のようなものを発し、触れた相手を痺れさせる。大体痺れる時間は五分ほど。出力をあげれば効果範囲はかなりの広範囲に及ぶが、出力をあげると精神的な疲労も激しい。


「?」

 しかし、オセは不思議そうに首を傾げ、すぐに斬りかかってきた。間一髪、韋駄天で避ける。

(な!? パラライズ、全然、効きませんよ!? カタログスペックでは五分くらいは痺れさせられるのでは!?)

 ピクシーは少し考えてから返答した。

『あーまずいね。いきなりパラライズの弱点が出ちゃったね。あれ、電気が走ってるように見えるけど、あくまでもエフェクトで実際の電気じゃないんだ。パラライズはエフェクトが触れた生物の体表に効果を及ぼすから、彼女みたいに一切皮膚が露出していないプレートアーマー相手にはとっても不利なスキルなんだよ。初戦で滅茶苦茶メタ張ってる相手とぶつかったねぇ』

 ツムギは目を細める。


(無力化は無理ですか……)

『チートスキル、"ラスト"は?』

 神野ツムギ、第六のチートスキル『ラスト』。触れた武器や防具を溶かす。人体に影響はない。溶かすまでの速さは触れている時間の長さや武器防具の材質に比例するが、一度発動させれば遅かれ早かれ敵の武具は絶対に溶ける。ごく一部溶けない武具もあるので注意。

(『ラスト』ですか……今更ですが、このスキル外れスキルでしたね……発動条件が『手で触れたもの』なので、あの人、えっと、オセさんという方の剣に触れねば使えません。あの高速でぶんぶん振り回す剣に触れるのは無理ですよ)

『鎧は? 鎧なら何とか触れないかな』

 ピクシーの意見にツムギは赤面する。

(だ、だめです! オセさんは女性! も、もし、鎧の下が裸だったら私、エッチじゃないですか!)

『君ねぇ……』

 ツムギは赤面して狼狽するが、それはオセにとって明確な隙であった。


(今!)

 オセはまたツムギに肉薄し、剣で斬りかかってくる。

 今度はツムギは『韋駄天』で回避をしない。だが、それは意図的な物であった。

(斬った!)

 オセはそう思い込んでいたが、オセの剣はツムギの胸にあたる寸前、中空で止まる。アリシアから見たら、オセが自分から寸止めをしたようにしか見えなかった。

「オセ殿! なぜ剣を止める!」

「……止めてない。見えない何かに阻まれた」

 神野ツムギ、第七のチートスキル『無敵の盾』。ありとあらゆる攻撃を防ぐ、直径三十センチ程度の見えない正方形の壁を出現させ、視界内であれば自由に操作が可能である。見えない壁は完全な不可視であり、血などで着色されても解除と発現を繰り返せば再度透明になるが、使用者にのみその位置を認識可能。


 アリシアがうめく。

「むむ、面妖な! 速く動く、電気を発する、見えない壁を操る、胸が赤く光る! いくらなんでも、怪しさに限度があるだろう!」

「いや、本当、怪しいものではないのです! 聞いてください!」

「貴様は『怪しいものです国』の『私は怪しいものです村』から来た『怪しい者』くらい怪しいわ!」

 やはりアリシアには話は通じないようだ。別の方策を考えていると、ピクシーが話しかけてきた。


『ツムギ君、"無敵の盾"、君の弱点を防ぐのに完璧なチョイスだったねぇ。狙ったのかい?』

(たまたまです! しかし、やはり操作が難しいですね!)

 当然、ツムギ本人は胸に弱点がつくなんて知らなかったので、他人を守る局面のために覚えたスキルだが、とてつもなくピンポイントで役に立ってしまった。そもそも、神野ツムギは七個のスキルを余すところなく活用する転生者だったのでこれだけ特別に重要だったわけではないが。神野ツムギの転生後の生涯において、使用頻度が少ないのは八個目のスキルだけである。


 オセはアリシアの方を向く。その表情はフルフェイスの兜で見えないが声色は少し困惑していた。

「……ねぇ、アリシア。この人、逆に怪しすぎない? こんな胸がピカピカした独り言ぶつぶつ言う半そでの人をイルメニアが斥候に出すかな?」

「むむむ……しかし、斥候ではないかもしれないが、これだけ怪しい者を見逃す手もないだろう。とりあえず、叩ききってから考えないか?」

「気は進まないなぁ……」

 オセの常識的な発言にアリシアも悩みだしているようだ。ツムギとしては戦闘の意思はない。再三になるが、そのことを告げようとして、口を開き、ツムギは驚きのあまり二の句が告げなかった。


(え?)

 アリシアの背後に、いきなり巨大な生き物が出現していたからだ。

 だが、アリシアもオセも、神野ツムギを注視しているので気づいていない。神野ツムギ、その視界を共有しているピクシー・スーしかその生き物には気づいていない。その生物は音もなく、森の中からとぬるりと突如現れたからだ。

 神野ツムギが知っている生物では形状はマレーグマに近い。しかし、認識してるマレーグマのサイズより、一回り大きく、身長は三メートルに届きかねなく見える。また、目が赤く光り、手も爪も凶悪な形状をしていた。


 次の瞬間、同時に三つのことが起きた。

 まず、一つ目はツムギが「危ない!!」とアリシアに向かって叫んだ。

 二つ目は、オセは絶句したツムギから明らかな隙を見出し、また肉薄して斬りかかろうとしていた。

 三つ目は、アリシアの背後に出現したクマがアリシアの頭部に腕を振り下ろしたのだ。


「なっ!?」

 少し遅れ「危ない!!」と警告されたアリシアが振り返って、愕然とした。熟練の狩人と自負しているアリシアが、巨大生物の接近と攻撃をここまで許して気づいていなかったのだ。アリシアを襲った熊が「無音で近づく」という暗殺者のような生態を誇っていたのもあるが、ツムギに夢中になりすぎていた。

 熊の攻撃は今まさにアリシアの頭部を砕こうとし……そこで透明な何かに阻まれ停止していた。

 ツムギが無敵の盾を自分ではなく、アリシアに向けたのだ。


「ぐっ!!!」

 無敵の盾は一枚しか張れない。韋駄天を使えば、無敵の盾でアリシアを守る集中ができない。当然守る盾のない神野ツムギに、オセの剣があたる。

 胸の宝玉への一度目の被弾。胸の赤い宝玉は見た目通り頑丈らしく、剣は被弾しただけで止まり、宝玉にヒビすら入らないが、神野ツムギは異世界転生開始一時間以内で残り二回の命となってしまった。


 アリシアは飛びのき、巨大クマに対して弓を構える。

「いつの間に!? 森の暗殺者、デス・ジャッカルか……!」

『名前だっせぇ!』

 アリシアがクマの名をつぶやき、ピクシー・スーが突っ込むが、ツムギにしか聞こえない。

 名前がダサいと言われたデス・ジャッカルはアリシアに距離を置いたが逃げ出す気はないらしく、ぐるると低くうなる。


 アリシアは目線をデス・ジャッカルから外さず、ツムギに向かって叫んだ。

「貴様、今、私をかばったのか!? 自分が斬られるのに、見えない壁で私を守ったな!?」

 本来ならば、『見えない壁でアリシアを守る』ということを即座に理解するのは無理な話であるが、アリシアの理解力はすさまじく高いようで状況をすぐに理解した。後々にツムギも知るが、戦場におけるアリシアの冴えは凄まじく、普段からは想像もつかないほど、判断能力が向上する。それは普段がとんでもないポンコツであることを意味したが……。


「……非礼を詫びさせてくれ! このアリシア、見た目で判断をしてしまった! 君は私の命の恩人だ!」

 アリシアはツムギに背を向けたまま、謝罪を行った。視線はデス・ジャッカルから切っていない。

 オセもツムギに背を向け、デス・ジャッカルに対して剣を構える。

 アリシアとデス・ジャッカルの間に緊張感が高まっていくが……。

「と、とと。やはり制御は難しい……」

 突如、その間に『韋駄天』で神野ツムギが割って入った。先ほどから驚きっぱなしのアリシアがまた驚く。


「な!? 貴様! 森の暗殺者、デス・ジャッカルをどうやって始末……え?」

 神野ツムギが手を向けた瞬間、森の暗殺者、デス・ジャッカルはドーンと倒れ伏した。チートスキル『パラライズ』。毛に包まれているとはいえ、ほぼ体表が露出している大きな生物には効きやすい。

 アリシアが感心した声をあげる。

「今のも貴様が? 殺したのか?」

「いえ、気絶しているだけです。五分程度で起きます」

「デス・ジャッカルは森の暗殺者とは言われているものの、この見た目に反して慎重で臆病な生き物だ。本来はウサギや鹿を狩り、エルフやヒューマンは襲わない。それがなぜ……」


 アリシアは怪訝そうに倒れたデス・ジャッカルを見下ろしていたが、やがて腰から頑丈そうなナイフを抜いた。

「まぁ、良い。解体するぞ。三人で運ぶのは無理だから、砦から応援を呼ぶことになるだろうが」

「え」

 ツムギがポカンとしてアリシアを見る。ツムギがイメージするエルフは草食というわけではなかったがここまでたくましいものではなかった。

「毛皮は売るもよし使うもよし、肉は食える。骨は矢じりに加工できるし、内臓や目玉も街で漢方として売れる。デス・ジャッカルに捨てるところなし!」

 そう言いながら、すぐにとどめを刺そうとするアリシアをツムギが止める。

「ま、待ってください! そのクマ、足を怪我してます。いま、私が治療します」

 アリシアが目を向けると、確かに、デス・ジャッカルの足元が血でぬれている。

「は? 治す? 治したあと、解体するのか? 無駄な工程では?」

「いえ、逃します」

 アリシアは目を丸くした。

「逃がすのか!? なんともったいない……これ一頭で何人のエルフの腹が満たせるか……」

「きれいごとかもしれませんが、私は無駄な殺生をしたくありません。私が仕留めた動物ですから命の与奪について、私に一任させてください。お願いします」


 アリシアは頭を下げるツムギに言われ「うぅむ」と悩みだす。

「むぅ。君が仕留めた獲物だ。君が好きにしなさい。だが、どうやって治すのだ? 治療の心得があるのか?」

「見ててください」

 ツムギがデス・ジャッカルに手を向ける。するとデス・ジャッカルの足元から何かが抜け、傷口がみるみるふさがっていく。


 第五のチートスキル『他者回復』。他人の傷を回復して、毒の治癒もできる。いわゆる致命傷でも生きてさえいれば治療可能。相手の傷が深いほど、使用者の精神的損耗も激しい。ただし死亡の治癒は不能で、また病気は治せず、もちろん使用者自身も治せない。


「何でもできる本当に不思議な男だな……いったい何者なのだ、君は……」

 アリシアはツムギの不思議な力に感心しつつ、デス・ジャッカルの足から抜けた何かを拾う。

「ボウガンの矢だな……。エルフが使用していないものだ。やはりイルメニア王国の斥候がこの辺まで来ていたか」

「多分、イルメニアの斥候がこの辺まで来てたけど、デス・ジャッカルに思ったより近づかれて、驚いて射抜いちゃったんだと思……」

 ゆっくりと近づいてきたオセが話に加わるが、緊張感を走らせるとすぐに剣を抜いて構えた。


 パラライズが抜けたデス・ジャッカルがのそりと起き上がったのだ。しかし、デス・ジャッカルは治療された自分の傷口とツムギたちを一瞥するとそそくさと森の奥に消えていった。消える瞬間、ツムギの方を見て一礼したような気がしたが、さすがに気のせいだろう。

 アリシアが緊張が解けたことに対する安堵の息をつく。

「まず、非礼を詫びよう。本当にすまなかった」

 軍服を着たエルフ・アリシアはきっちりと頭を下げて謝罪する。

「いえ、いえ、いいんです。どなたにも怪我がなくてよかったですよ」

 実際、胸に宝玉として宿っているツムギの命の三割強が消滅しているのだが、とりたててそのことを主張するツムギではなかった。


『……』

 ピクシー・スーは「ツムギの命が一回削られていることを黙秘した事実」に何も言わなかったが、思うところがない沈黙ではなかった。

「ついては、正式な謝意を示したい。我々の砦へ招待してもてなしたいが構わないだろうか」

「え、ええ。それは私にとっても願ってもない機会なのですが……え、砦? そういえば先ほども砦と言ってましたね。砦暮らしなのですか?」

 アリシアはうなずく。

「本来、北部エルフは散村状態。森に散開していくつかの小さな集落で暮らしているのだが、現在、我々北部エルフはイルメニア王国ととてつもなくピリピリしている状態でな……今は非常事態だ。皆には砦で暮らしてもらっている。君を敵の斥候と疑ったのも、我々が哨戒に出ているのもそのせいだ。すまなかったな」

「……アリシアは北部エルフの族長だから、本来哨戒に出ちゃダメだからね」

 最後にツッコミを入れたのはオセである。


「むぅ、しかし、私は昔から現場主義だ。部下がやってることを理解していないのも長の名折れだろう!」

 どうやら軍服エルフのアリシアはこの辺一帯を取り仕切っているらしい。いきなりリーダーと交友が持てたのはツムギとしてはありがたい。そしてツムギには疑問があった。

「あの、国と北部エルフさんはなぜ、もめているのですか? いったい何が……」

「領土問題だ。長い話になるから詳しくは落ち着いたら話そう。とりあえず、自己紹介をしないか? 私はアリシア。こっちは傭兵のオセ殿」

 オセはツムギに握手を求め、ツムギはそれに応じる。女性とは思えない強い力で握り返された。

「私、オセ。それでフルネームだから、よろしくね。君の名前は?」

「あ、私は神野ツムギです」


 神野ツムギが名乗るとアリシアとオセは顔を見合わせる。

「カンノツムギ。変わった名だな。ムギ殿とお呼びするか?」

「私は傭兵として、あっちこっち回ってるから、こんな名前も聞いたことはある。東の方に多い名前。顔つきもそっち系。私たちは名前しかないけど、姓と名に分かれてるんだと思う。多分、カンノが姓で、ツムギが名かな?」

 オセはほぼ正しい認識を示したが、アリシアは興味がなかったようだ。すぐに話題を変えた。

「それはいいとして、君はこんな森で何をしていたんだ? その赤く光る胸はなんだ?」

 ツムギは困った。どこから話せばいいのか、見当もつかないのだ。


「えっと、話せば長くなるのですが……」

 ツムギが壮大な話を始めようとしたとき、その思考にピクシーが割って入る。

『ツムギ君。ちょっといいかな』

(はい?)

『とりあえず、アリシア達には自分の正体は伏せたほうが良い。理由は落ち着いたら話す。今は記憶喪失で記憶がないことにしなよ』

 ピクシーがそう助言し、「もっと早くいってほしかった」と思ったものの、ツムギはその助言に従うことにした


「私、記憶喪失で、自分の名前と断片的な記憶しかなく、気づいたら胸が光ってて森をさまよっていたのです……」

「話せば短いじゃないか!」

 長話が苦手なアリシアは身構えていたため、思わずツッコミをいれてしまう。

「ああ、それからノツムギ殿」

「あ、いえ、オセさんの言う通り、神野ツムギはカンノが性でツムギが名です。切るならツムギですね」

「む、ではツムギ殿。とりあえず、マントを持っているから羽織るといい。ツムギ殿の格好は寒々しいし、それに胸の赤いのは我々のような誤解を生む。隠したほうが良いだろう」

 アリシアの親切心にツムギは手を向けて拒絶する。

「あ、いや、この胸は隠すと隠した部分の衣服が焼け落ちるので……」

「なんで!?」とびっくりするアリシア。

 ツムギだって「なんで!?」と言いたかった。しかし、マントは受け取ることにする。


「ただ、マントはとても助かりますので、前ははだけて、羽織らせていただきますね」

 ツムギは胸の赤い部分を露出させたまま、マントを羽織った。相変わらず胸の部分は寒かったが、これだけで随分と寒さが和らぐ。

「むぅ!」

 ツムギのファッションを見て、アリシアがうめく。


「へ、変でしたか?」

「いや、ツムギ殿……それ、滅茶苦茶かっこいいな!! 何か少女時代に置いていった胸の奥底がくすぐられる!!」

 改めてツムギは自分の姿を見ると確かにかっこいいかもしれない。

「あ、確かにマントをつけて、胸が光ってるのは魔王っぽいですね」

「……マオウ?」

 アリシアが首を傾げ、ツムギは少し慌てて取り繕う。

「あ、なんでもないです。魔王はいない感じなんですね、この世界」

「しかし、かっこいいなぁ。私も胸を赤く光らせようかな」

「できるものならやればいい」

 最後のはオセのツッコミである。

「砦までここから三十分くらいだ。舗装もされていないので歩きづらいかもしれんが我慢してくれ」


 歩き出したオセとアリシアについていく。舗装はされていないと言っていたが、エルフたちが普段歩いている道なのか、思ったより歩きやすい。頑丈なスニーカーをはいたまま転生したのも功をなしているだろう。

 ツムギは歩きながらピクシー・スーに尋ねた。

(ピクシーさん。ちょっと質問があるんですが)

『なんだい?』

(この世界のエルフについてです)

 ピクシーは少し考えてからツムギが「異世界転生」を知らなかったことを思い出す。


『ああ、君、もしかしてエルフを知らない?』

(いえ、エルフは知ってますね。中学生のころ、同級生がエルフ大好きだったので。でもエルフは私の世界の創作単語で、本来異世界には存在しない名前では?)

 ツムギはエルフを知っていた。というよりも、RPGの攻略本はよく買うので近年流行した異世界転生には疎いが、わりとクラシックなファンタジー世界には詳しい。


『ネタバレすると、実際の彼女たちの種族名はエルフではないよ。現地で発音するなら、アネーセルって言葉が近いかな。ただ、君が元居た世界の一般的なエルフの認識と類似点が多かったから、異世界言語マスターのスキルで翻訳される際に、エルフと翻訳してるだけだよ。他の種族もそうさ。わかりやすさを重視して、君たちが認知している近い種族名に翻訳している。現地で重さがキログラムで表現されたり、長さがメートルで表現されたり、君たちの世界のことわざが出たらそれはスキルでうまいこと翻訳していると思ってほしい』

(便利ですね。しかし、現地語でアネーセルなら、私がエルフって言っても通じないのでは?)

『そこは通じているさ。まぁ、万能翻訳だからね。君の発音したエルフは勝手にアネーセルと訳されてるさ。だから、君がメートルを使ったり、例えばサンドウィッチって言葉を使っても、勝手に訳されるから安心してガンガン使ってくれ。ただ、完全にこっちの世界に存在しないものは翻訳できないから要注意だぜ?』

 ツムギは歩きながら器用にピクシーと会話し、そして首をかしげる。


(こっちの世界に存在しないもの?)

『例えばスマホとかだね。これはあてはめて翻訳するようなものがなかった。あとこっちにない童話や小説、映画のタイトルももちろん、仮に単語として翻訳されても通じない』

(ああ。なるほど。しかし、自動翻訳は、とても便利……あ、そうだ! 翻訳と言えば、もう一つ気になっていたんですよ!)

『なんだい?』

 ツムギは先ほどの光景を思い出し、口にする。


(先ほど、あの熊、デス・ジャッカルと言いましたよね。ピクシーさん。『名前ださい』と言いましたが、多分、デスジャッカルも私にわかりやすいように翻訳された言葉だと思うんですよ)

『ええ、そうかなぁ。調べてみるよ。……うん、あたりだ。今、データベースを見たら、僕じゃない悪魔が登録した名前だね』

 ツムギはそれを注意するように言う。

(あの動物の形状はどう見てもマレーグマです。ジャッカルはイヌ科、マレーグマはクマ科。どう考えても翻訳ミスです。すぐ直してください)

『……細かいね。うん。わかった。アサシン・ベアで申請しとくよ』

(アサシン・ベア。即席にしてはいい名前じゃないでしょうか?)

 神野ツムギは年若いのに、随分と知識量が深かったが、生来の凝り性のようで、細かいところを気にするたちのようだ。


神野ツムギ、ここまで公開されているチートスキル(なお、チートスキルの項番はツムギの選択順である)

第一のチートスキル、『異世界言語マスター』。

第二のチートスキル、『韋駄天』。

第三のチートスキル、『神託』。

第四のチートスキル、『パラライズ』。

第五のチートスキル、『他者回復』。

第六のチートスキル、『ラスト』。

第七のチートスキル、『無敵の盾』。

第八のチートスキル、『??????』

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