異世界チートをしようとしたら、胸に巨大で赤く発光し、そこを三回攻撃されたら即死する丸い宝玉をつけられた件について

たか野む

第一幕 イルメニア編

イルメニア編 第1話 チートスキルカタログ

 曹洞宗のとある寺。

 神野敬太は今年二十二歳になる未だ修行中の僧であった。

 その日の起床時間は三時。人によってはまだ夜と言ってよい時間である。坊主の起床時間にしても、やや早い。

 しかし、今日の振鈴当番(簡単に言えば目覚まし役)は神野敬太である。このくらいの時間に起きて四時の起床時間に備えねばならない。

 いそいそと寺の裏へ向かう。振鈴当番にせよ、そうじゃないにせよ寺裏に設置されている水道で顔を洗うのが、神野敬太のルーティーンであった。外へ行く行為で目が覚め、冷たい水で顔を洗うとより目が覚める。


 冷たい水で顔を洗い、坊主頭にも軽く水をかけ「ふー」と一息ついた神野敬太だが、次の瞬間、その身をすくめた。

 突如、背後に「ドゴン!」と空から何かが落ちてきたのだ。

(落雷か何かか?)

 いや、空は晴れている。

 一帯何事かと落下地点を見て、神野敬太は目を見張る。煙を立てた、何か大きな赤い物体がそこにあったのだ。


 これが空から降ってきたのだろうか?

 神野敬太はその物体に近づこうとし、すぐに足を止めた。

「うぅ……」

 うごめいた赤いそれが苦悶の声をあげたのだ。

 それは神野敬太の息子、神野ツムギが異世界に行く三十年前のことであった。


     ◇◆◇



 神野ツムギはきょろきょろと周囲を見回す。

 何から何まで、つい先ほどまで自分がいた環境とは激変していた。

 現実ではありえない妙な空間だった。

 とにかく、紫色! 空間のすべてが紫色なのだ。宇宙が黒ではなく、紫色ならこんな世界かもしれない。

 そして、床も壁も存在せず、いったい自分はどこに立っているのか、ただ紫色の時空に呆然と立っていた。


 いや、正確には「全てが紫色」ではない。

 神野ツムギの目の前には、シックな木製の椅子とテーブルが存在し、テーブルの対面には女性が座っていた。

「とりあえず、座りなよ」

 女性はツムギに着席を勧め。ツムギも素直にそれに従った。


 女性は「ドラマなどで見る有能な女性サラリーマン」のような決まりきったパンツスーツ姿であった。

 だが、三点だけ明らかに「有能女性サラリーマン像」から大きく逸脱している点がある。まず、女性の髪の毛が銀色であった。自然には考えにくい色なので、「染めているのか?」と思ってしまうかもしれないが、もう一つの大きな特徴がそもそも「染めているのか?」という発想から阻害する。

 二つ目、女性の肌もまた紫色であった。他は全て、人間的な特徴に沿っているのに、肌の色だけが特殊メイクでも施したようにムラの一切ない、青紫色をしていた。空間が赤紫なら、女性の皮膚の色は青紫気味。保護色にはなっていなかった。

 そして、三つ目、女性には二本の角が生えていた。創作で見受けられる「悪魔を美女化した姿そのもの」だが、神野ツムギはそこの造詣には深くなかったので「角が生えてる女性」程度の認識であった。


「……あの、ここはどこですか?」

 着席した神野ツムギが訊ねる。それを聞いた女性がせせら笑う。顔つきも理知的で美人だが、それをぶち壊すようなやや皮肉屋めいた表情がツムギには気になった。

「ああ、最初にそれかい? まず自己紹介からいかないかな?」

「あ! 失礼しました! 私は神野ツムギです! 十七歳の高校生です!」

 神野ツムギはまだ顔に幼さの残る童顔の少年であったが、年齢の割には妙に成熟した丁寧さで女性に一礼する。それとツムギは童顔の割に身長は百七十センチ半ばあたりで、あどけない顔とはやや相反している。


「ん、丁寧でいいね。僕の名前はピクシー・スー。よろしくね」

 ピクシーはそう言って手を差し出す。相手が手を出してきた以上、照れながらもその手を握り返し、握手する。

 照れてはいるものの、平然と手を握ってきたツムギにピクシー・スーは不思議そうな表情をした。

「しかし、君、僕の姿を見て、驚かないんだね。紫色の角が生えたお姉さんだぜ?」

「多様性の時代ですからね」

 確かにポリティカルコレクトな時代ではあるが、ピクシーの風貌はそれすら逸脱しているように思える。

「紫色の肌で角が生えた奴は多様性に含まれないだろ」

「そうでしょうか? 別にいいんじゃないですかね?」

 首をかしげて平然と告げる神野ツムギにピクシーは呆れて言う。

「……君あれだね。変わってるって言われるだろ?」

「よく言われますね……どうも私は変わってるらしいのですよね……」

 そもそも、神野ツムギは十七歳のはずだが、物腰が随分と落ち着いて丁寧だ。彼女の知る十七歳はもっと落ち着きのない物であった。ピクシーはやや訝しんだが話を続ける。


「まぁ、いい。まず、おめでとう神野ツムギ君。君は異世界転生の対象に選ばれた」

「いせかい、てんせい……」

 神野ツムギは腑に落ちない顔で首を傾げた。

「ん? 嬉しくないのかい?」

「いえ、その異世界転生っていうのはなんでしょうか?」

 そのリアクションは想定していなかったので、ピクシーは目を見開いた。

「え、マジか。全然知らないの?」

「不勉強ながら……」

「うーん、君の世界では流行ってるはずだけどね。最近、担当する若い子は大体『異世界転生』で通用するから助かってたんだけどねぇ。ま、説明してやるよ。時間はたくさんあるしね」


 ピクシー・スーは短いながらもとても端的に異世界転生の説明をする。現実世界で死んだ人間がファンタジーな異世界へ転生する事まで説明し、ツムギに「ここまでで何か質問はあるかい?」と質問を促す。

「ふむふむ、つまり、私はすでに死んでいて、ピクシーさんが私の世界とは違う異なるファンタジー小説のような世界へ第二の生をくれると……え!? 私死んだのですか!? なんで!? どうやって!?」

 どう考えても、今のツムギは生前と変わらない感覚だ。自分が入滅をしていると思えない。

「おや、自分の死因を覚えてないのかい? 君は山頂にある自宅から、山を下り学校へ行く途中、横断歩道のない国道を渡る危険な箇所があるだろ? 君は、ふらふらと道路を走っていた少年がダンプカーに轢かれそうになっていたから助けようとしたんだ」


 言われてみればそんなことがあった気がする。記憶が混濁してたので、ツムギはようやく鮮明に思い出す。

「……なんだか。だんだん思い出してきました。あの男の子は無事だったのですか!?」

「無事だよ。代わりに君はダンプカーに轢かれてまりみたいに地面をバウンドしたけどね。よかったね。車にはねられるのは異世界転生の大人気要因だぜ」

 ツムギはそれを聞いて息を吐く。

「私の死因なんかより、その子が無事ならよかったです」

 ツムギは心底安堵していた。ピクシーにはその態度はやや気に入らないものであった。


「代わりに君も死が確定したけどね」

「轢かれた痛みは一瞬もありませんでしたが、もしあの時、私が生きて、あの子が死ねば私は一生悔いて苦しんだでしょうね。苦痛もなく死ねて、誰かを助けられたのなら、本当に良かったですよ」

 目を閉じて、ほっと息を吐く神野ツムギに対して、ピクシー・スーは心の中でため息をついた。

(苦手なタイプだ……)

『偽善的に見えるいい子ちゃんタイプ』がピクシー・スーは嫌いであった。ムラムラと個人的な感情が湧き上がる。「神野ツムギを貶めてみたい」とピクシー・スーは考え始めていた。


「君、山の上とか随分辺鄙なところに家があるね」

 コホンと咳払いをして、ピクシー・スーは話題を変える。

「ああ、うち、山の上にあるお寺なんですよ。正確にはうちのお寺ではないのですが、あまり人も来ないので、父と私はそこで住まわせてもらって管理もしているのですよね」

「へー、君、ブッディストなんだ。でも、スキンヘッドじゃないね。むしろ男の子にしてはちょっと髪長いじゃん、君」

 ツムギの髪はサラサラの綺麗な黒髪で、長さはセミロングぐらいだった。女性的とも取れるが童顔に反して体つきは細身ながらきちんと男性的であるため、肩幅でツムギを女性と間違えることはないだろう。


「うちは浄土真宗でしてね。浄土真宗に剃髪の戒律はないのですよ。肉も食べていいですし。ただ剃る人もかなりいますし、父も坊主ですよ。私は、その坊主にはできないのですが……」

「そりゃ、君、若いし、まだ剃りたくないだろうけど。ブッディストは皆、ストイックだと思ったけど緩い宗派もあるんだ」

 ピクシーの認識では宗教を問わず、その宗教の牧師などは皆厳格なイメージだった。

「緩いからこそ、大流行した宗派ですからね。南無阿弥陀仏と唱えれば、だれでも極楽浄土へ行ける気楽さが浄土真宗がウケた理由ですし」

「あ、ナムアミダブツ聞いたことあるな。あれ、浄土真宗なのか。ナムナムってね。ていうか、よく見たら君、ダンプカー追突とその後、マリみたいに道路にバウンドした段階では死んでないじゃん。死因はそのままガードレールを超えて崖下の地面に衝突か……頑丈だね」

 ピクシーな下手なお経には文句はつないうえに「頑丈」を誉め言葉と受け取り、ツムギは照れる。

「えへへ、ありがとうございます。頑丈に産んでくれた母に感謝ですね」

「まぁ、結局死んでるんだけどね」

 そこまで聞いて、ツムギの疑問はようやく最初に立ち返った。


「ということは、私今死んでいる状態なのですか?」

「いや、厳密には死んでないよ。生物学的にも死んでない。わかりやすさ重視で『異世界転生』って言葉を使ったけど、むしろ『異世界転移』って言ったほうがよかったかな。今、君には死が確定した瞬間だ。その瞬間、いったん、君に決まった死を保留にして、僕が君という人間をこの空間に移動させた。元の世界に戻すこともできるけど、戻った瞬間君は地面に衝突してぐちゃぐちゃになるね。戻る?」

 ツムギは少しだけ悩んで答える。

「うーん、いや、それはいいです。その異世界転生? ってやつはよくわかりませんが、私が死んだら父が悲しみますから……」

「異世界へ行ったら帰ってこれないぜ? お父さんにはもう会えないと思うからどのみち悲しむんじゃない?」

 正確には帰ってこれないわけではない。極々低確率だが、帰ってこれる可能性はあるが、それは「宝くじの一等に当たれば帰れる」より全然低確率なのでピクシーはわざわざ説明をしない。

「でもピクシーさん『異世界転生』ではなく厳密には『異世界転移』と先ほどおっしゃいましたよね。つまり、異世界転生を行えば元の世界に死体は残らないのでしょう? 行方不明であれば、まだ父の心に希望は残ってくれると思います……」

 ピクシーは肯定しつつも少し驚く。

(異世界転生も何も知らず、僕の転移という発言だけで、ここまで精度の高い理解を示したか……)


 ピクシー・スーは神野ツムギ像を完成させていく。頭の回転が早く、精神性が成熟している。そして、純朴なお人好しで人を信用しやすい。ピクシーにとって、汚しがいも騙しがいもある人間というわけだ。

 さて、本題に入ろう。ピクシー・スーは心の内だけで、深呼吸をする。味方のフリをして、理解を示す態度をとって……悪意ある狡猾な罠に、神野ツムギをハメなければいけない。次からのやり取りが彼女の仕事において、一番気合を入れるべきポイントである。

「ところでさ、ご多分に漏れずチートスキルの付与があるよ。転生する人たちには、僕たちからのサービスで、いわゆるチートスキルを付与してるんだ。どうだ、うれし……あれ、嬉しそうじゃないね」

 説明の途中で、神野ツムギが眉をひそめたため、ピクシー・スーも自分の悪意がもう露見したのかと内心で冷や汗を流す。しかし、神野ツムギの口から出たのは、純粋な疑問であった。


「いえ『いわゆるチートスキル』と言われましても、私、チートスキルが何を指すのか皆目わからないのですが……」

「ああ、そういえばそうか。君、異世界転生に詳しくないんだっけ」

 安堵しながらもおくびにも出さず、ピクシー・スーはまたチートスキルについて説明をする。神野ツムギは初めて聞くであろう「チートスキル」という概念にも素早い理解を示した。

「ふむふむ、要約するとチートスキルは異世界に暮らす現地の方々を超越した、それこそ『チート』に相応しい、最強の技術やあり得ざる力を行使できる能力、と」

 そこまでかみ砕いて、神野ツムギは抗議の目を向けた。

「……ずるくないですか? 異世界の皆様はまじめに生きてるのに、楽して得たスキルであっさり名声や実力を得るのは」

「チートだからねぇ。そりゃ、ずるいよ。でも、世の中、楽してずるいのが受けるのさ。じゃあスキルはいらない?」


 一瞬、否定をされるかとピクシーはひやひやしたものの、ツムギはチートスキルを受けることを肯定する。

「いえ、せっかくいただけるのなら、いただきます。私は元の世界では未熟ゆえに死んでしまいましたが、それは私がもっと助けられたかもしれない方々を誰も救えなかった事を意味します。せっかく、与えられた第二の生、より多くの方々を救うために私にも力が必要だ」

 神野ツムギは決意のこもった眼でピクシー・スーを見る。

「うん、素晴らしい覚悟だと思うよ」

 表向きは微笑を浮かべ賞賛しながらも、内心で辟易しながらピクシー・スーは考える。


(ああ、やはりこの子は……僕がとても嫌いなタイプだな……)

 ピクシー・スーは微笑を作るのに必死だった。微笑を作っていないと、すぐに嫌悪感丸出しの顔をしてしまうから。

「誰かのために」などというのは綺麗ごとで「結局は全て自分のため」というのがピクシー・スーの考え方である。ツムギのような綺麗ごとを言うタイプは彼女には虫唾が走った。「神野ツムギは偽善者」というここにはある種致命的な誤解があり、ピクシーは後々に自分の誤認を悔いることになる。

 咳払いして、ピクシー・スーが指をぱちりと弾く。何もなかったテーブルの上に分厚い本が出現した。

「え、すごい。今の手品ですか? いや、ピクシーさんの力なんですか?」

「この本……カタログの中身はもっとすごいぜ? このカタログには大体四百弱のチートスキルが網羅されている。君はその中から、最大十個まで選べる。時間をかけてゆっくり選ぶといい」


 カタログの説明を聞いた瞬間、神野ツムギはとてつもなく目を輝かせ、今までになく楽しそうな表情をした。

「お? おお!! これ、見ていいんですか!? 本当ですか!? やった!」

「え、何その急な食いつき……何が君の琴線に触れたのかわからない……」

「もう読んでもいいのですか!?」

 先ほどまでの神野ツムギの態度は十七歳不相応の落ち着き払ったものであったが。この態度は年齢相応である。

 少し引きながらピクシーは肯定する。

「い、いいよ。時間制限はない。一度付けたスキルは取り返しが効かないことが多いから君の好きなだけ確認したまえ」


 ピクシー・スーは急に眼を輝かせたツムギに面食らう。そして心底から楽しそうに神野ツムギはカタログの能力をゆっくり確認していく。

(ゆっくり見ちゃって……ま、四百個近いチートスキルがあるから、大半の奴は集中力が続かず『おすすめはどれですか?』とか聞いてくるんだけどね)

 大体実態として、四百中二百はゴミスキル、残りの百五十は「有用だが状況が限定されたりするスキル」であり、真に有用なスキルは五十程度である。ピクシーに聞いた方が早い。


 それでも、見る人は二、三時間見るものだ。この時間はピクシーにとって異世界転生契約時、最も暇な時間である。ピクシー・スーは暇つぶし用の文庫本小説を読み始めた。しかし、読んでいる最中に、何か気づいたようにツムギに声をかける。

「そうだ。今なら質問にはなんでも答えるからさ。スキルに関する質問はなんでもするがいいよ」

「……はい……はい」


 文庫本を読みながら何気なく言うピクシー・スーと生返事をする神野ツムギ。何気ない一言であったが、この言葉が最も重要な言葉であった。ピクシー・スーはこの言葉に罠を張っていたのだ。まるで「スキルに関する質問にしか答えない」という誤解をさせる言い方をしたのだ。実際には「転生者はありとあらゆる質問が可能で、担当者は必ずそれにこたえる義務がある」ため、ピクシー・スーは神野ツムギに何を聞かれても正直に答えねばいけないし、そのことを事前に説明しなければならない。ピクシーは今の一言で「あらゆる質問に正直に答える義務の事前説明」を終えたのだ。欺瞞と言っていい話法であるが、ピクシーはこの手段で多くの転生者を罠にはめている。


 神野ツムギは質問をしなかったので、この時点では知らなかったが、ピクシー・スー達はいわゆる『悪魔』である。彼女たちが行っている異世界転生事業、それは決して慈善事業ではなく、もっと狡猾な魂の搾取手段であった。この段階できちんと質問をしない者は転生後にすぐに理解する。「騙された」と。だが、すぐにその思考すらも手放すだろう。質問をきちんとしなかった者は大体、転生後にすぐに死ぬこととなるのだから。

(楽しみだな……偽善者、神野ツムギが僕に騙されたと思い、偽善の一皮がむけたらどんな顔をするのか……)

 ピクシー・スーはカタログを夢中で読んでいるツムギに見えないようにほくそ笑んだ。

(その夢中で楽しそうな顔から、笑みが消えるのを楽しみにしているよ)

 しかし、ピクシーの笑みがまず消えることになるとはさすがに想像していなかった。


     ◇◆◇


 十四時間後。

 まだ神野ツムギは目を輝かせて、夢中でカタログを見ていた。

「……なっがいな、君! これまでで最長だよ!」

 あまり待ち時間が長すぎて、五冊目の本を読み終えたピクシー・スーがいい加減、抗議の声をあげる。

『時間制限はない。一度付けたスキルは取り返しが効かないことが多いから君の好きなだけ見たまえ』といった手前、我慢強く待っていたピクシー・スーもさすがに怒り出す時間である。ちなみにこの空間では空腹の速度も、眠気が来る速度も通常よりはるかに遅い。理論上は飲まず食わずでも五日間ほどカタログを読み続けることができるし、放っておけば神野ツムギは五つ日間読み続けかねない。


 怒鳴られた神野ツムギは「あ、そういえば、ピクシーさん、いたっけ」という表情を浮かべて、謝罪をする。

「ああ、申し訳ありません! 私、こういうカタログとかデータベース一覧を見るの大好きなんですよ。もうすぐ決めたほうがいいですか?」

「いや、別にこの時間がサービス残業とかじゃないから、いいけどさ。カタログを見るのが好きな奴なんて初めて聞いたよ。君、スーパーのチラシとか見るの大好きなの?」

 ツムギは何かを思い出すように目を輝かす。

「ああ、いいですよね、スーパーのチラシ! あとゲームの攻略本とか大好きですね! 私、ゲームはしないんですがRPGの攻略本だけ買って一日中眺めているのが大好きでした!」

「……君あれだね。変わってるって言われるだろ? というかHUNTER×HUNTERのグリードアイランド編とか大好きだろ」

 そう言われて神野ツムギは少し困った表情を浮かべる。

「すいません、漫画は全然読まないのですよね。ハンターなんとかは名前は知ってます」

「えぇ!? 嘘だろ!? 超勿体無い! カタログ好きなら、絶対好きだぜ、君!」

 ピクシーはこの時ばかりは本心から「もったいない!」と思ってしまう。何をどう考えても、目の前の神野ツムギとHUNTER×HUNTERの愛称は最高なのにもったいなさ過ぎた。ツムギにもピクシーが本心から言っているのが通じ、非常に興味深そうな顔をする。


「そこまで言われると読んでみたい……読む方法はありますか?」

「転生後にHUNTER×HUNTERを読む方法か。あるにはある。けど、確率は低いぜ?」

 ピクシー・スーは低い確率について説明する。

『スマホ持ち込み』という転生後の異世界に自分のスマートフォンを持ち込めるチートスキルがある。異世界には当然電波は通っていないが、ピクシーたちの技術で通信は可能である。充電も可能だ。ただし、持ち込んだスマホは異世界からの情報流出対策に、データの受信しかできないので、動画の視聴やインターネットの閲覧はできるが、通話はもちろんできないし、SNSや動画投稿サイトに投稿をしたり、会話アプリを使用した会話も、ゲームへの課金もできない(本来は情報の送信不可ならサーバーにデータ送信するソーシャルゲームや動画視聴等もほぼできないが、サーバーに情報送信程度はピクシーたちのお目こぼしで可能となっている。ただし書きこめるユーザーネームやコメントに制限有)。もちろん課金できないゆえに電子書籍の購入もできないので、本来であればHUNTER×HUNTERも買えないが「最初から電子書籍としてHUNTER×HUNTERを購入済みのスマホ」であれば当然、読むことができる。


「つまり、私がHUNTER×HUNTERを読むには異世界にて、他の転生者に出会い、さらにその転生者が『スマホ持ち込み』のスキルをとっていて、さらにHUNTER×HUNTERを転生前に電子書籍で購入済みの必要があると……無理そうですねぇ……」

「ま、気に病むなよ。低い確率だけどないわけじゃないから希望をもって冒険をしなよ。HUNTER×HUNTERを電子書籍で持ってる人は多そうだしね」

 実は私物としてピクシーはHUNTER×HUNTERを最新刊まで持っていたので、今この場に持ち込む事もできたが、神野ツムギにHUNTER×HUNTERを全巻渡したら、読破までに何日……いや、下手したら何か月かかるかわからない。


 神野ツムギは「チートスキルカタログ」に話を変える。

「しかし、あれですね。このスキル、『これだ!』っていう、万能スキルがなくて、すべてかゆいところに手が届かない感じですね。チートスキルという割には、そこまで世界最強にはなれないような……」

 神野ツムギの疑問は当然であり、むしろ異世界転生に造形に深いものほどカタログの内容にはがっかりする。まさに神のようになれる最強スキルの記載はなく、どれもこれも中途半端なのだ。


「ま、十個も選べればそんなもんさ。君だけの組み合わせで最強を作れ、ってね。ただ絶対必須かなと思うのは『異世界言語マスター』だね。向こうの言葉がわからなきゃ、何もできないだろ」

 たしかにそれは必須だろうと神野ツムギもうなづく。そのスキルの選択はツムギの中で確定していた。


『異世界言語マスター』:異世界の言葉を翻訳し、プレイヤーの元世界の現地語(神野ツムギの場合は"日本語")に変換。自らもしゃべる言葉も、相手の言葉も完全に"日本語化"する異世界必須のスキルである。ちなみに、識字や書き文字にも対応。なお、オンオフも自由自在である。


「他はどんなスキルが人気なんですか?」

 ピクシーはその質問を待ってはいたが、本来ならカタログ確認から大体数十分で飛んでくる質問である。

「『身体能力強化』、『韋駄天』、『マジックマスター』、『超回復力』、『不老』、『剣術マスター』あたりは割とつぶしが効きやすくて人気があるよ。異世界の赤ちゃんに転生する『ゼロから転生』美男美女に転生する『美貌転生』もそこそこ人気だ。あとハーレム目的のやつなら『魅了』が人気だね。ハーレムじゃなくても『魅了』は超強いスキルだし。さっきも言った情報の受信しかできないスマホを持ち込める『スマホ持ち込み』は三年前に追加された一押しスキルだよ。現代知識無双をしようにも、現代人は思ったよりも現代知識がないものさ。スマホを持ち込めば君は知識において無敵だよ」

 ツムギは十四時間にわたるカタログ読破により、該当ページを見なくても全スキルの概要は覚えていた。ピクシーがピックアップしたスキル概要をいくつか思い出す。


『身体能力強化』:単純な身体能力を高める。このスキルに加算して、元の身体能力も足されるが、このスキルにのみは加齢による身体能力低下がない。向こうの世界標準で、世界トップレベルの身体能力となるが「世界最強」や「異常」というほどではない。また反射神経やスタミナも込みで身体能力全般が上がるが、力のみを強化する「怪力」の力や、素早さのみを強化する「韋駄天」の速度には大きく届かない。


『韋駄天』:とてつもなく素早く動け、持久力も高い。ただしスキルが足に依存するため、足を怪我したらスキルが発揮できない場合もある。


『マジックマスター』:高度な魔術の知識、それを行使する能力を得る。魔術については別マニュアル参照。


『超回復力』:極めて高い回復、再生力を得る。四肢がもげようが短時間で完治する。ただし、死亡した場合、再生できない。また「死ななければ無敵」という能力ではなく、再生力を発揮するほど精神疲労があり、あまり超回復力を行使しすぎると精神疲労で何もできないか、最悪廃人化の恐れがある。


『不老』:年をとることが決してない。スキルのオンオフも可能だが、若返ることはできないので注意。転生時そのままの肉体を維持できるので、若いまま不老になれば免疫力も若いままなので病気にもなりにくい。ただし「不死」ではないので、普通に外的要因で死ぬこともある。


『剣術マスター』:一切練習をしてなくても、達人級の剣の使い手となる。さらに自分の鍛錬した分はそのまま上乗せされるので、剣士としての日々の努力も無駄にはならない。


『ゼロから転生』:その異世界で生まれる赤ちゃんに意識やチートスキルを転移させる。(転生先は選べないが『裕福な家庭』等、ある程度の方向性は事前に示しておける)


『美貌転生』:転生先での自身の顔を決められる。転生前にエディットすることになるが、転生後に自分の顔に不満があった場合、三回だけ変えることができる。


『魅了』:"決めた異性に対して好意を持たせることができる"と言えば聞こえは柔らかいが洗脳に近い。魅了をかけられた異性はかけた側にとてつもない好意を抱いてしまい、多くの命令にも抗えなくなる。ただし、自我を奪うわけではないので、嫉妬心などの暴走には注意。また合計三人にしかかけられず、四人目にかけたら一人目の魅了は外れる。また同性には無効。同性に有効にする場合「異性には無効」になる。(※全性に有効なら文句なしの最強スキルだから)


『スマホ持ち込み』:異世界にスマホを持ち込める。電波は通っている。ただし、データの受信しか出来ず、送信はできない(SNSは閲覧できるが投稿はできないし、もちろん動画等も投稿不能)。充電は『スマホ持ち込み』のスキルを持っていれば所持しているだけで自然とおこなわれる。また年末にのみ、機種変更も可能であり、スマホが故障した際は年末にのみ修理できる。もちろん、電話や課金はできないが通信料金はすべてこちらの負担。


「なるほど。このあたりの人気があるのはわかりますね。あと、スマホ持ち込み、滅茶苦茶アフターサービスが充実してますね」

 ツムギの質問にピクシーはうなずく。

「それは自室の物を一方通行でなんでも取り出せる『異次元自宅ホール』との差別化だね。『異次元自宅ホール』でスマホも取り出せるし、ホールを開け続ければ電源ケーブルを刺して充電もできるけど、そもそも『スマホ持ち込み』と違って電波が通ってないからほとんど役に立たないけど。『スマホ持ち込み』は約三年前に追加された新スキルで、実装当時からアフターサービス過多じゃないかという声は根強かった」

 だが『スマホ持ち込み』は罠スキルである。多くの場合、生存に直結せずかつ転生者の多くが選んでしまう悪魔たちの大発明スキルであり、アフターサービス過多もまたトラップだ。


「それはともかく、ピクシーさんが上げたスキル、つぶしが効きやすいスキルが多いですね。チートスキルの多くは状況が限定されているように見受けられますが、状況が限定されていないというか、より多くの状況に対応できるというか」

 先ほどツムギが言ったような「これだ」という一つ取れば最強クラスの万能スキルこそないが、ピクシーが上げた物は比較的幅広い対処が可能なものが多い。ピクシーもうなずく。

「そうだね『美貌転生』とか『ゼロから転生』は置いといて、今言ったスキルは比較的つぶしが効きやすいスキルだね。あとのスキル獲得は向こうで何をしたいかにもよるね。ただのんびりと生きたいだけなら『不老』は人気だし、例えば冒険者ではなく一般市民と生きたいなら、戦闘系・冒険系のスキルはほとんど不要になる。商売人として行きたいなら『商売マスター』や『情報収集』や『交渉術』または『物質転移ポータル』があれば商売無双できるし、政治家として生きたいなら『政治マスター』や『人気者』、大工として生きたいなら『建築マスター』や『ビルドサポート』、『凹凸』とかもいいと思うよ。ただただハーレムを作りたいなら、『魅了』や『美貌転生』もありだ」

「なるほど……このスキルカタログが、RPG攻略本と考えてしまったので、私、戦うスキルばかり目が行ってました」


 ツムギはまた首をひねり、カタログに目を落としたのでこれ以上待たされるのはたまったものではないとピクシーは慌てて言葉をかける。

「いや、基本的に向こうの世界は危険な世界だ。身を守るスキルは一つは必須だね。それで、ツムギ君。君は向こうで多くの人を救いたいんだろ?」

「はい。転生先の状況等にもよりけりですが、基本はそう考えていますね」

 ツムギの興味がカタログから自分との会話に向いたことに安堵しながらピクシーは話を続けた。

「じゃあ、戦闘系のスキルは必須だ。ツムギ君『マジックマスター』なんてどうだい? 魔術が扱えればそれこそ万能ではないかな?」

 しかし、ツムギは難しい顔をした。

「いえ、『マジックマスター』は別マニュアルも確認しましたが……これ一見万能そうな多分、罠スキルですよね? これ一つであらゆることが可能になるように見えますが、魔術って思いのほか不便な印象でしたね」


「おや、そう思ったかな」

 実際「罠スキルというほどではないが、少なくとも第一印象ほどの強スキルではない」ため、ピクシーはツムギがその点を見抜いたことに少し驚く。

「確かに魔術で比較的多くのことができますね、ただ起こせる現象が強大なほど、かなり高度な計算と精神的な消耗がありますよね」

「でも、魔術でモンスターを倒すのは男のロマンだろ? せっかくファンタジー世界に転生するんだし、ファイアーボール的なものを敵に投げつけなよ」

 ツムギは「魔術についての別マニュアル」に目を落とし「うーん」と首をひねる。

「ファイアーボールも無理じゃないですかね? 突発的な戦闘でまともに機能する魔術なんて、とんでもなく高度ですから、格闘の試合中に東大入試問題を全部解くくらいの難易度だと思いますよ。せいぜい懐中電灯程度の光をともすとか、ライター程度の火を起こすとか、コップ一杯の水を凍らせるとかだけですよね。あと、どうもこの世界の魔術って『その座標』にしか有効な効果を発揮できない気がするのですが。ファイアーボール的なものをその場に発生させても、敵に投げられない気がします」


 あまりにツムギが的確に『異世界における魔術』へ理解を示したので、ピクシーは少し驚き咳払いしつつ、話題の矛先を反らした。

「……まぁ、言ってしまうとね、君。向こうの世界では、コップ一杯の氷を作ったり、闇夜を照らせるだけでもとても貴重なんだぜ」

 ピクシーの言葉にツムギは納得する。

「……ああ、なるほど。私、現代社会水準で考えていましたね……。これは私が軽率でした。では、十個目はマジックマスターにしましょうかね」

 神野ツムギが簡単に自分の意見を翻す。何気ないつぶやきを聞き、ピクシーは焦った。


「え、君、もう十個決めてるのかい?」

「はい。これで全部決まりました」

 神野ツムギがさっそく十個のスキルを告げようとしたのでピクシーは慌てて止める。

「いや、取得スキルは八個にしておいた方が良い」

「え、十個取ってはだめなんですか?」

 ピクシーは咳払いした。

「君には黙っていたが……実は九個以上スキルを取ると壮絶なペナルティが発生し、ツムギ君は転生後、すぐに死ぬことになるぜ。八個にしときな。これは普通は教えないんだけど、僕は君が気に入ったから教えてやるよ」

「そ、そうなんですか。危ないところでした。ありがとうございます!」

 ツムギは素直な感謝の意をしめし、ピクシー・スーは神野ツムギの純朴さに内心安堵した。真実を多分に含んでいる嘘である。ピクシー・スーは神野ツムギをハメるために、綱渡りをしたのだ。

「では、スキルはこれとこれ、あとこれの八個で」

 神野ツムギは悩んでいた時間の長さと反比例するようにスムーズにスキルを決める。

「……変わったスキルを取るねぇ。あんまりこれらを取る人はいないと思うし、この組み合わせでとる人は間違いなく君が始めてだ」

「そうなんですか? しかし『誰も殺さず誰かを守る』というコンセプトなら、このスキルかなと」

 変わったスキルだが、そのほとんどがピクシーが内心で「人気はないけど強スキル」とおもっていたものである。カタログを見るのが好きなツムギは、カタログを見る目もあるようだ。しかし、ピクシーはツムギが選んだスキルの一つを見て、怪訝そうな顔をする。


「ん? 八つ目のスキルはどうなんだい? これは全然関係ないスキルに見えるけど」

 神野ツムギが選んだ八つ目のスキルは全スキルの中で、初めて選ばれたかもしれないいわばゴミスキルだった。『誰も殺さず誰かを守る』という方針ともかみ合っていると思えない。神野ツムギはピクシー・スーの言葉に赤面してうつむく。

「……。その……このスキルだけは私の趣味です……」

 恥ずかしそうにするツムギ。八つ目のスキルとツムギの顔をピクシー・スーは見比べた。しばしの沈黙後、ピクシーは大笑いする。

「あはははは! 君マジかよ! 聖人でございみたいなきれいごと言って、随分インモラルな真似をするじゃないか! いいね、僕は好きだぜ、そういうの!」

「からかわないでください! 恥ずかしい!」

 ピクシースーの手元にタブレット型の端末が出現し、神野ツムギが選んだ八つのスキルを登録していく。


「ん、その八個、君のスキルとして登録したぜ? じゃ、転生させるけどいいかな?」

「え、もうなんですか!? 待ち時間的なものは!?」

「ないよ。や、待った。危ない危ない」

 ツムギは動揺するがピクシーはまったをかけた。何かを思い出してツムギに指を向けるとツムギの体が少し輝いた。

「な、なんですか今の?」

「ああ、おまけだよ。君の体についてる現在の菌が向こうの世界で現地人に感染しないように処置して、君も向こうの世界で免疫のない未知の病気にかからないようにした。これはチートスキルに含まないサービスだから安心して」


 ツムギは感心したように消えていく輝きを目で追う。

「へぇ。確かに新たな世界に行くのに、未知のウィルスは一番怖いですからね」

「ていうか、忘れたら僕がやばかったよ。前にミン・グ―っていう異世界転生担当悪魔がこの処置を忘れてね。質の悪いことにその転生者が質の悪いウィルスを持ってたから、もう向こうはバイオハザード。ミン・グーは首。僕爆笑」

 思い出したようにケラケラ笑うピクシーだが、ツムギは現地人の悲劇を思うと全然笑えなかった。ピクシーはひとしきり笑うとぽつりと言う。

「まぁ正直言うと、これ忘れる悪魔は多いんだけど、大体は問題はないんだよね。その理由は……」


 やたら含みのある言い方にツムギも気になる。

「その理由は? え!?」

 ツムギは自分の体の異変に気付いた。自分の手足がだんだんと消えているのだ。

「あー。時間みたいだ。じゃあ、頑張ってね、ツムギ君」

 ピクシーが指をはじくと、神野ツムギの姿が急激かつ完全に消えた。最後まで手に持っていたチートスキルカタログが紫色の空間に落ちる。

「いやいや、最初は気に入らないと思ったけど、結構、好きなタイプだったかもねぇ。性格はともかく、顔は好みだったし」

 ピクシー・スーはカタログを拾いながら、独り言を言う。

「……ま、今更好きになっても、無意味かな」

 ピクシーは先ほど言いかけた言葉を思い出す。病気対策を忘れても、そんなに問題がないのだ。

 その理由は、殆どがすぐ死ぬからだ。ウィルスを持った死体が残るのは危険と思うかもしれないが、転生者は異世界で死んでも死体が残らない。ピクシーたちに捧げられ還元される。


 先ほどピクシー・スーは「チートスキルは九個以上スキルを取ると壮絶なペナルティが発生し、転生後、すぐに死ぬことになる」と言った。

 この言葉は真実である。

 だが、ピクシー・スーは決して「八個以下はペナルティが発生しない」とは言っていなかったのである。転生後すぐ死ぬレベルのペナルティが起きないだけだ。

 チートスキル八個選んだ人物はすぐ死ぬことにはならないが、確実に短期間で死に至るペナルティがつく。チートスキルを十個取得した人物は大体一時間以内に死に、九個の場合は一日のうちに死ぬ。八個の場合はそれより生存率はグンと伸びるが大体一か月で殆どの転生者が死に至っている。


「即死じゃつまらない。せいぜい絶望の一か月を過ごし、偽善の仮面が割れるのを楽しみにしているよ……」

 陰惨な笑みを浮かべるピクシーだが、後々に「神野ツムギに八個スキルをつけたこと」をとても後悔することになる。

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