第12話 真の黒幕

ルビーの涙を手に入れた私たちは、その輝きに見とれつつも、事件の背後に潜む真の黒幕を追求する必要があった。


「でも、誰がリチャードを暗殺したのか?」私は問いかけた。


「その答えも近くにあるかもしれない。」涼介が周囲を警戒しながら言った。


その時、隠し部屋の奥から小さな声が聞こえた。「助けて……」


「誰かいる!」私は声のする方向に駆け寄った。


隠し部屋の奥には、さらに小さな隠し扉があった。涼介と私はそれを開けると、中には縛られた状態の人物がいた。


「これは……アレックス・マルティネス!」私は驚いて叫んだ。


「彼がなぜここに?」涼介も驚きを隠せなかった。


「助けてくれ……リチャードに捕まって、ここに閉じ込められたんだ。」アレックスは苦しそうに言った。


「大丈夫、すぐに助けるわ。」私は急いで彼の縄を解いた。


「ありがとう……でも、気をつけろ。まだ黒幕がいるんだ。」アレックスは警告した。


「誰が黒幕なの?」私は緊迫感を持って尋ねた。


「それは……クレア・スミスだけじゃない。彼女と共犯者がいるんだ。」アレックスは力を振り絞って答えた。


「共犯者……?」涼介が眉をひそめた。


その時、隠し部屋の入り口から足音が聞こえた。私たちは身構えた。


「誰かが来る……!」私は低く囁いた。


ドアが開き、一人の人物が現れた。彼は冷たい笑みを浮かべていた。


「ようやく見つけたか。」彼は嘲笑を浮かべながら言った。


「ジョナサン・リー……」涼介が彼の名前を口にした。


「そう、私が黒幕のもう一人だ。」ジョナサンは堂々と答えた。


「なぜあなたが……?」私は問い詰めた。


「ルビーの涙にかけた保険金を手に入れるためさ。クレアと私はその計画を立て、リチャードを雇った。しかし、リチャードが裏切りそうになったため、彼を消したんだ。」ジョナサンは冷酷に説明した。


「そして、私たちが全てを暴こうとしている今、あなたはどうするつもり?」涼介が挑戦的に尋ねた。


「簡単さ。ここでお前たちを消す。」ジョナサンは銃を取り出した。


「涼介、気をつけて!」私は叫びながら身を伏せた。


その瞬間、アレックスが勇敢にもジョナサンに飛びかかり、銃を奪おうとした。二人は激しくもみ合った。


「アレックス、気をつけて!」涼介が叫んだ。


ジョナサンが銃を発砲し、アレックスは倒れたが、涼介が素早くジョナサンを取り押さえた。


「これで終わりだ、ジョナサン。」涼介は銃を押さえつけながら言った。


「ちくしょう……」ジョナサンは悔しそうに呟いた。


「あなたの計画は失敗した。全てが明るみに出る。」私は毅然と言い放った。


その後、ジョナサンは船内のセキュリティに引き渡され、事件はついに解決に向かった。アレックスは軽傷で済み、全員が安堵の表情を浮かべていた。


「これで本当に終わりね。」アリサが感慨深く言った。


「そうね。でも、私たちの旅はこれからも続くわ。」私は微笑みながら答えた。


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【完結】豪華客船の中で繰り広げられる、謎と恐怖のミステリー!果たして、名探偵コンビは秘宝の真相を暴けるのか? 湊 マチ @minatomachi

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