第7話 暗号の解読

クレアの命が助かったことに安堵しつつ、私たちは新たな手がかりを求めて再び動き出した。手元には、まだ解読されていない暗号が書かれた紙があった。この暗号が事件解決の鍵を握っているはずだ。


「涼介、この暗号を解読する必要があるわ。何か心当たりはある?」私は紙を彼に渡しながら尋ねた。


「うーん、暗号か……。ちょっと見てみるよ。」涼介は紙をじっくりと見つめ、頭をひねった。「もしかすると、この暗号は何かのパズルになっているのかもしれない。」


「パズル……ね。」私は暗号をもう一度見直した。文字や数字の組み合わせが意味を成しているように見える。


その時、ふと思い出したのは、先ほど見つけた金庫の暗証番号だった。「涼介、もしかして、金庫の暗証番号と関係があるかもしれないわ。先ほど使った1234という数字を元に考えてみましょう。」


「なるほど、そうかもしれないね。」涼介は頷きながら、紙に書かれた暗号を見直した。「例えば、この暗号の文字を数字に変換するとどうなるか……」


私たちは紙に書かれた暗号を数字に変換し始めた。「Aは1、Bは2、Cは3……。そうやって変換していくと……」


「香織、見て。ここに『14:00』という数字が出てきた。」涼介が指摘した。


「14:00……それが何かのヒントかもしれないわ。」私は紙をさらに詳しく見直し、他の部分も同様に変換してみた。


暗号の解読が進むにつれ、徐々に全体の意味が明らかになってきた。「ここに『ラウンジで待つ』と書かれているわ。」


「14:00にラウンジで待つ……。何か重要な取引が行われる時間かもしれない。」涼介は考え込んだ。


「そうね。この情報を元に、ラウンジを調査してみましょう。」私は決意を固め、涼介と共にラウンジへ向かった。


ラウンジに到着すると、そこにはまだ数名の乗客が残っていた。私たちは目立たないように注意を払いながら、指定された時間まで待つことにした。


時計が14:00を指すと、一人の男がラウンジに入ってきた。彼は周囲を警戒するように見渡し、何かを探している様子だった。


「涼介、あの男を見て。」私は低い声で言った。


「うん、怪しいね。」涼介も警戒心を強めた。


その男がラウンジの一角に座り、スマートフォンを取り出した。彼は誰かとメッセージを交換しているようだった。私たちは慎重に彼の動きを観察しながら、行動を決めた。


「香織、どうする?」涼介が小声で尋ねた。


「少し様子を見ましょう。彼が誰かと会うかもしれない。」私は冷静に指示を出した。


しばらくして、もう一人の人物がラウンジに入ってきた。彼はエリック・ホールだった。ホールは男に近づき、何かを手渡したようだった。


「これが取引……?」私は呟いた。


「そのようだね。何を渡したのか確認しよう。」涼介が言った。


私たちは二人の男が立ち去るのを待ち、その後、彼らが座っていたテーブルを調べた。そこには、小さなメモが残されていた。メモには、次の取引場所と時間が書かれていた。


「次の取引は……今夜、デッキにて。」私はメモを読み上げた。


「香織、これで次の手がかりが掴めたね。」涼介が興奮気味に言った。


「そうね。この取引の現場を押さえることができれば、事件の全貌が見えてくるはず。」私は決意を新たにし、次の取引現場に向けて準備を始めた。


次回、「デッキでの対決」。香織と涼介の捜査がクライマックスに達し、犯人との直接対決が迫る。お楽しみに!

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