第6話 クレアの危機
「急いで!」私は涼介と共にクレア・スミスの部屋へ向かった。暗い廊下を駆け抜け、ドアの前に到着すると、息を整える暇もなくドアをノックした。
「クレアさん、いますか?三田村です。」私は大きな声で呼びかけた。しかし、中からの返事はなかった。
「香織、ドアを開けてみよう。」涼介がドアノブに手をかけた。しかし、ドアは鍵がかかっていて開かない。
「何かあったに違いない……涼介、少し下がって。」私はピンセットを取り出し、ドアの鍵を解錠するために集中した。
数秒後、カチリと音がしてドアが開いた。私たちは急いで部屋の中に飛び込んだ。
「クレアさん、どこにいるの?」私は部屋の中を見渡し、クレアの姿を探した。
その時、浴室のドアが半開きになっているのを見つけた。私は恐る恐るドアを押し開けた。
「クレアさん!」私は叫んだ。そこには、クレアが倒れている姿があった。彼女は意識を失っているようだったが、幸いにもまだ呼吸をしている。
「涼介、救急キットを持ってきて!」私はクレアの脈を確認しながら涼介に指示を出した。
「わかった、すぐに持ってくる!」涼介は部屋を飛び出し、救急キットを取りに行った。
クレアを安全な場所に移動させ、彼女の意識が戻るのを待った。数分後、涼介が救急キットを持って戻ってきた。
「ここにあるよ、香織。」涼介が救急キットを渡してくれた。
「ありがとう。クレアさん、聞こえますか?」私は優しく呼びかけながら、彼女の額に冷たいタオルを当てた。
クレアのまぶたが微かに動き、ゆっくりと目を開けた。「……香織さん?」
「クレアさん、良かった、気がついたのね。」私はほっと胸を撫で下ろした。「大丈夫ですか?何があったのか教えてください。」
「急に意識が……朦朧として……」クレアは息も絶え絶えに言った。
「おそらく、何かに毒を盛られたのかもしれない。」私はクレアの手を握り、安心させようとした。
その時、部屋の中を見回していた涼介が何かを見つけた。「香織、これを見て。」
彼が指差したのは、テーブルの上に置かれたグラスだった。その底には、微かに白い粉が残っていた。
「これは……毒かもしれないわね。」私はグラスを慎重に調べた。「誰かがクレアさんを狙って毒を盛ったに違いない。」
「でも、誰が?どうして?」涼介は困惑した表情を浮かべた。
「おそらく、ルビーの涙の盗難に関係しているはず。犯人はまだ船内にいるはずよ。」私は冷静に分析した。
「香織、どうする?」涼介が真剣な表情で尋ねた。
「まずはクレアさんを安全な場所に移動させましょう。それから、犯人の手がかりを探すわ。」私は決意を新たにした。
私たちはクレアを安全な場所に移動させた後、再び船内の捜査を開始した。手がかりを求めて歩き回り、次の一手を考えながら動き続けた。
「涼介、これからが本番よ。手がかりを見逃さずに、犯人を追い詰めましょう。」私は彼に強く言い聞かせた。
「了解、香織。僕たちの探偵コンビで、この謎を必ず解き明かそう。」涼介は決意を新たに、次の手がかりを追うために歩みを進めた。
次回、「暗号の解読」。香織と涼介の捜査がさらに深まり、犯人の正体に迫る。お楽しみに!
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