第5話 謎の手がかり
山田真琴の殺害現場を調べ終えた私たちは、次の手がかりを求めて行動を開始した。船内は緊張感に包まれ、乗客たちは不安と恐怖を抱えていた。私と涼介は、状況を冷静に見極めるために話し合いを始めた。
「涼介、今のところ得られた手がかりを整理しましょう。まず、ルビーの涙が盗まれた瞬間、照明が消えたこと。そして、山田真琴の死体から見つかったメモ。それに、同じメモがエリック・ホールの部屋でも見つかったこと。」私は頭の中で情報を整理しながら言った。
「そうだね。このメモには『取引は今夜12時、ラウンジにて』と書かれていた。取引が何を意味しているのかが重要だ。」涼介が同意するように頷いた。
私たちはメモに書かれた取引の意味を探るため、ラウンジを再び調査することにした。ラウンジは豪華な装飾で飾られており、その中で何かが隠されているのではないかと感じた。
「香織、ここを見て。」涼介がラウンジの一角で何かを見つけたようだった。彼が指差す先には、小さな隠し扉があった。
「これは……」私は慎重に隠し扉を開けた。中には小さな金庫が隠されていた。
「涼介、この金庫を開けるためには暗証番号が必要ね。」私は金庫を調べながら言った。
「そうだね。でも、その番号がどこにあるのか……」涼介は周囲を見回し、手がかりを探していた。
その時、ふと頭に浮かんだのは、山田真琴の死体から見つかったメモだった。「取引は今夜12時、ラウンジにて」この時間と場所が何かのヒントになっているのではないかと直感した。
「涼介、ちょっと待って。このメモの内容を元に暗証番号を推測できるかもしれないわ。」私はメモを再度見直し、頭をひねった。「取引が12時に行われるということは、数字の組み合わせが鍵になるかもしれない。」
「なるほど。12時という数字をヒントにすると……」涼介はメモを見ながら考え込んだ。
「そうね。例えば、12という数字を使って……1234とか。」私は試しに金庫の暗証番号を入力してみた。
金庫がカチリと音を立てて開いた。その中には一枚の紙が入っていた。紙には、暗号のような文字が書かれていた。
「これは……何かの暗号かしら?」私は紙を取り出し、涼介に見せた。
「うん、確かに暗号みたいだね。でも、この暗号が何を示しているのか……」涼介は紙をじっくりと見つめた。
その時、船内に再び緊急のアナウンスが流れた。「全乗客の皆様、至急ダイニングルームにお集まりください。重要な発表があります。」
「何かが起きているわ。涼介、急いでダイニングルームに行きましょう。」私は紙をポケットにしまい、涼介と共にダイニングルームへ向かった。
ダイニングルームに到着すると、そこには招待客たちが集まり、騒然としていた。船長の瀬川雅人が壇上に立ち、深刻な表情で話し始めた。
「皆さん、静かに聞いてください。我々は現在、重大な事件に直面しています。『ルビーの涙』の盗難と山田真琴さんの殺害事件について、全力で捜査を進めていますが、さらなる手がかりを得るためには皆さんの協力が必要です。」
「船長、我々にできることはありますか?」一人の招待客が声を上げた。
「はい、皆さんにお願いがあります。もし何か不審な点や手がかりがあれば、すぐに私たちに知らせてください。」船長は真剣な表情で答えた。
その時、私はふと気づいた。ダイニングルームの一角に、何か異様な気配を感じたのだ。私は涼介に耳打ちした。「涼介、あそこに何かあるかもしれないわ。」
涼介と共にその方向へ向かうと、そこには小さな棚があった。その棚の裏には、何かが隠されているようだった。私は慎重に棚を動かし、隠し場所を調べた。
「これは……」そこには、もう一枚のメモがあった。メモには、「次のターゲットは彼女」と書かれていた。
「次のターゲット……?」涼介が驚いた声を上げた。
「涼介、急いでクレア・スミスさんのところに行きましょう。彼女が危険かもしれない。」私は即座に判断し、涼介と共にクレアの部屋へ向かった。
次回、「クレアの危機」。香織と涼介の捜査が新たな展開を迎え、次のターゲットを救うために奔走する。お楽しみに!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます