霞む視界

はぁ、はぁ・・・。

息が上がる。


終盤に近付き。

肺の中が沸騰しそうなくらい熱い。


ひぃ、ひぃ・・・。

ゴールの競技場が近づくにつれ。


僕の息は整うどころか。

焼ききれそうなくらい激しさを増していた。


ウォー!


県立競技場のゲートを潜った瞬間。

歓声が上がった。


高校の運動会なんだけど。

その年は競技場で開催された。


メインのマラソン競技。

一年から三年生まで。


合同の開催だった。


僕は三年生で。

高校最後の競技を。


あの子に。

愛おしい彼女に。


捧げるために。

走ったのです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る