1か月間をダイジェストでお送りしております。
前書き
2章後半において設定の変更をしまくったため、修行編に大幅な変更が必要になってしまいダイジェストでお送りします。この先の話はかなりストックがたまっているため、この話をとりあえず投稿して先に進む方が毎日投稿できると判断しました。小説家になろうではダイジェストではない方でお送りできると思いますので、そちらでの投稿が終わり次第この話は削除、再投稿するのでそれまでお待ちください。
俺がこの森に入り、けがを治してからまず取り組んだのは、レベル上げだった。
まずこのレベルという制度だが、俺が最初に魔物を倒したとき、倒した魔物から魔力が流れ込んできたのを感じた。ゲームでは確か、魔力とは別の経験値なるものをためることによってレベルが上がっていくのだが、この世界では魔力を吸収することでレベルが上がっていくらしい。
魔力はすべての物質の源であるためそのことに気づいた時は納得したのだが、そもそもなぜ魔物を倒すと倒したものに魔力が移るのかが全く分からかった。仕組みはわからないが、そこは幼女神(黒)の作ったこの世界のルールなのだろうと結論づけるしかなく、そこは後々幼女神(黒)に聞いてみることにしよう。
そして魔力を吸収すればレベルが早く上がるというのを知った俺はまず、魔力の多いものを食べることによって、さらに効率的にレベルを上げることができるのではないかと考えた。
だがそれを実行してみようとしたものの、魔力が多く含まれた食べ物などあるはずないわけで。結局、この世のすべてのものは魔力でできているため、大量の食べ物を食べればレベルが上がるのではないか、と諦めてそこら辺の食べられそうなものを焼いて大食いをすることになった。
だが、口が食べ物を拒絶し始め、周辺の食べられそうなものを全て食べても一向にレベルが上がる気配ない。そして、毒キノコっぽい毒キノコじゃないだろうなってキノコに手を出し始めた瞬間、天啓が下りた。
魔力が多く含まれてるなら、別に食べモノじゃなくてもいいんじゃね?と。
食べることが前提なのにも関わらず、そのルールを逸脱した何か危ないキノコを食べてないとできないような斬新な発想。もしここに俺以外の人がいたら絶対に否定されるであろう考え方だった。
だがここには否定する人は誰もいないため、その頭のおかしい思考は続いていく。
問題です。
第一問:この世で最も魔力を多く含んだものは?
答え:血
正解。
第二問:俺の種族は?
答え:吸血鬼の亜人
正解。
第三問:なら血は飲めるのでは?
答え:飲める…………………はず。
全問正解!やったね!
何という奇跡。こんな頭のおかしい考えがまさか正解だったなんて。
そして、クイズに全問正解した後俺は寝てしまったらしく、次の日に痛む頭で寝る前のことを思い出して顔が真っ青になった。
ちなみに、俺以外の人がいたら否定されるであろう考えだと言ったが、あの時は隣に俺の考えを肯定してクイズまで出してくれる親切な人が見えていた。怖いね。
何だかんだあったが、結局すぐに行動を起こそうと考えた俺は倒した魔物の血を飲んでみた。それもかなりの量を。その時はただお腹がいっぱいになるだけですぐに効果は出なかったが、しばらくしてお腹にたまったそれが消化されると、魔力が吸収されるどころかレベルが上がっているのに気づいた。
そして、魔物を狩るよりも血を飲んだ方がより多くの魔力を吸収でき、より多くレベルが上がることも分かった。幼女神(黒)のシステムにかなり穴があることに驚きつつも、俺はより早くレベルを上げることができるようになって嬉しくなっていた。そして、血を飲んだからなのか前日のキノコの影響がまだ残っていたのか分からないが、なぜか気分が高揚していて気持ちがよかった。
あ、そうそう。ちなみに血はとてもおいしかったです。
俺はそれからというもの、レベル差に苦労して魔物を狩り、お腹がタプンタプンになるまで血を飲むという効率がいいんだか悪いんだか分からない方法を使ってレベル上げをしていた。そして三日がたったある日、もっと効率的なレベル上げの方法があるのでは?とさらに上を目指し始めた。
一度豪華な生活を送ると、もう二度とそれ以下の生活に戻れないだけでなく、それ以上を求めてしまう。悲しい人間の性が、ただそこにあった。
魔力も効率よく吸収することはできたため、俺が次に目を付けたのは戦闘面だ。レベル差が開いていると、魔力量も体力も力の差が激しいため、いつもギリギリの戦闘だった。
特に、常にタプンタプンのお腹は戦闘をぎりぎりにしていた大きな理由となっていた。
おかげで何度吐きそうになったことか。
そうと決まれば、俺は血を消化するのを待っている間、ステータス欄、特に称号の欄に何か戦闘が楽になるものがないか探していた。最初から探しておけよ、とキノコを食べていた時なら誰かに言われそうだが、俺はなるべくステータスを見たくなかった理由があった。
特に称号の欄とか、称号の欄とか………。
俺はずっとレベルを確認するときに、いつも称号の欄からは目をそらしていた。理由は勿論、口に出すのも嫌な、というか読めなくて物理的に口に出せない例の二つの称号が目に入ってくるからだ。
最初に見たときは、体が元に戻ったのかと勘違いをしてしまうほど驚いた。たとえるなら、幽霊から逃げ切ったと思ったのに振り返ったらすぐ後ろに立っていた………そんな感じ。
いつかちらっと見たときに消えていないかとかずっと期待していたのだが、どうも消えそうもない。
どうやら体にくっついていたらしき言語理解(ワードマスター)の称号とは逆に、この二つの称号は魂にくっついていたため、入れ替わっても俺についてきてしまったらしい。
まあ、ついてきちゃったんならしょうがないよね。
俺はこれを機に諦めることにした。
その時に詳しく調べたのが、“真祖”という称号だ。賢者という称号もあるが、これはもともと持っていたものではなく、スキルの欄に魔法のすべての属性をコンプリートさせるために魔法を使いまくって登録させていた時に手に入れたものだ。この称号には手に入れたとき、コンプリートした瞬間スキル欄から魔法が消え、賢者という称号になってしまったという悲しい思い出がある。賢者の効果は全ての属性の魔法が使えるようになり、それも使う魔法にかなりの応用が利くようになるなどかなり優れたものだったが、スキルが何もなくなってしまったことの悲しみの方が大きかった。
俺はその賢者の効果により、ステータスにある“真祖”という称号に解析魔法を使うという荒業を使って調べた。強力な効果があるに違いないと目をつけていたが、案の定それは複数の効果があっただけでなく、強力な力を持っていた。
まず“真祖”の主な効果として、“真祖”の称号は、吸血鬼の種族固有の称号で一人しか持てず、その持ち主が死んだ場合他の吸血鬼に移ること。その称号を手に入れた瞬間、年を取らなくなること。相手の血を飲み魔力を流すことによって眷属にできるということ。そして、距離に関係なくすべての眷属である吸血鬼を操ることができるということらしい。
らしい、というのは正直この体というか、この称号とは短い付き合いのため、実感がわいていないからだ。
真祖というには最初の吸血鬼のことだと思っていたが、メアリー改め俺がその称号を持っているということは、受け継がれていくもののようだ。吸血鬼固有の称号にもかかわらず、吸血鬼の亜人というまがい物みたいな俺に受け継がれていること、そして、他のすべての吸血鬼を操れるにもかかわらず、自分以外の吸血鬼の存在が感じ取れないことから、俺以外のすべての吸血鬼はこの世界にいなくなってしまったのではないだろうか。
称号の効果を解析魔法を用いて調べていた時、“真祖”の称号という、俺が血を飲むことでレベル上げることのできた効果に気づいた。この称号はかなり強力なため複数の効果があったが、今回俺のレベル上げに役立った効果は二つ。
自身の魔力を血に、自身の血を魔力に変換する能力。
そして、自身の血を操る能力である。
俺はこの効果を知ったとき、自身の血を操作することに専念した。練習し始めの頃は体内の血の流れを早くしたり遅くしたりすることしかできず、魔力を直接(・・)体の外に放出することができないため、魔力を血に変換しようとしてもどうもうまくいかなかった。
これでもいろいろ試行錯誤はした方だ。ある時は太極拳もどきやヨガもどきでさらなる技術の向上を狙ったり、ある時は血の流れを止めすぎて酸欠みたいなことになってしまったり、結局何だかんだ血行が良くなって健康になったりした。
だが、それを極めていくうちに腰らへんに違和感があり、そこに意識を集中したところ、黒い大きな翼が生えてきてからすべてが変わった。それは体と翼のサイズ的に飛ぶことは無理そうだったが、魔法との併用で空を飛ぶことができるというなぜ今まで知らなかったのかというほどの優れモノだったのだ。
一日くらいそれで楽し____ゲフンゲフン、いろいろ実験して試したのだが、これは“真祖”の能力ではなくすべての吸血鬼についているもので、その翼は腰から生えているのではなく腰あたりに翼を生成する機能みたいなもの(詳しいことはよくわからん。メアリーに聞いてくれ)があるらしく、自身の魔力を使って作り出すものらしい。
そのことに気が付くと同時に、いろいろなところに飛びすぎて完全に迷ってしまったことにも気づいた。
それならば、自身の魔力を血に生成できる能力で割り込めば、翼ではなく血が作れるのではないか。そう考えて、翼を生やすために魔力を使った瞬間、翼を作る分の魔力を血に変えてみた。そして出来上がったのが先ほど血の翼だ。
ちなみに、あれ以降普通の翼が作れなくなり、何度引っ込めても翼を作ろうとしても血の翼しか作ることしかできなくなってしまった。以前のような形にすることはできるのだが、赤黒い血の色をしていて以前のような羽のファサファサ感は今や見る影もない。一応それでも飛ぶことはできるのだが、やはり以前とは何かが違う。結構重量があるのに加え、空を飛ぶことなら翼が無くてもできるため、メリットとしては、空中でかじ取りができるくらいのものしかなく、戦い以外に使えそうもない。あの翼で空を飛んでる感が気持ちよかったのに、それが無くなってしまってあの時は結構落ち込んだ。
だが、落ち込んでもいられないと再び実験に戻った俺は、その血の翼の操作に専念した。最初は形を変えるだけの触手みたいなもので、何かに触れると形が崩れてしまい、その触れたものが血まみれになってしまうというただのスプラッタな液体だった。だが。
凝縮することによって硬さを得たそれは、ものを掴めるようになり_____
さらに凝縮することで鋭さを得たそれは、ものが切れるようになり_____
恐縮しすぎて体積が無くなったときは追加で魔力を血に変えることで補うことで体積を増やせるようになり_____
体積の増えたそれはさらに凝縮することでさらに固く、鋭くすることができるようになり_____
以前より精密に操ることができるようになったそれは赤一色だがボロボロだった服の代わりや誰も貫くことのできない鎧にもなり_____
______そして最終的に俺の最強の矛となり、盾となった。
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