第5話:法律は当事者を守れるのか ⑤
例えば、女の子が男の子の着る服を着ていた場合に相手は“なんで女なのに男の服着ているの?”と思うかもしれないが、本人にとっては“私が好きな服を着てはいけないの?”と思うだろう。
これはどちらが正しいではなく、どのように相手の意思を理解(=他者理解)し、そこから相手を人間観察しながら、行動や判断に対して自分の価値観とすりあわせながらベクトルを合わせていくのか(=行動理解)を考える事も必要になることから“習慣的思考”と“相互理解”を進めていくことも同時に求められる事になるため、子どもたちが置かれている環境を大きく変化させないようにすることや子どもたちが触れる言葉に対しても十分に注意を払う事が求められる場合もある。
現在は子どもたちもSNSを見る機会が増えていることから、そのような世界から言葉を覚えるような環境になっている場合にはきちんと言葉を聞いてから“使って良い言葉”と“使ってはいけない言葉”をきちんと区別させる事も必要になってくる。
しかし、現代において子どもたちがSNSだけでなく、あらゆる情報媒体に触れる機会が増えていることや学校の授業もデジタル化を進めたことで得られる情報が増えていき、その中から情報選別や言語選別を進める事になるため、どういう言葉を使うとどういうことになるかを考えられるのだが、これらの言葉を悪用したいじめや差別行為などが増加しないか懸念する声も上がっている。
実際にSNSを使ったいじめによって不登校や自殺を引き起こしているのだが、この部分に関してはどのような対策を行ったとしても効果を得るためにはかなり厳格な条件や方法を選択しなくてはいけないことから、子どもたちの自由を奪う可能性や子どもたちの意思表示に影響を与える可能性があるなどあらゆるリスクが大きいのだ。
そして、現在は以前に比べると大人の性的マイノリティ当事者への差別や偏見は少しずつ減少してきたが、子どもの性的マイノリティ当事者に対する差別や偏見に関しては改善が見られないことから、大人の問題がある程度落ち着いたところで子どもたちの問題を解決することが求められるだろう。
日本において子どもの性的マイノリティ当事者と接する、関わる機会というのはかなり少なく、子どもたちに関わる仕事をしていたとしても出会うことはかなり少ないことから、指導経験や対応経験が少ないことにより現場で戸惑ってしまうというケースも増えており、周囲の子どもたちも家族や友人など身近に当事者がいないと関わり方や話し方、コミュニケーションの取り方を学ぶ機会がないことで実際に同じクラスに当事者の子が在籍していたとしても距離が出来てしまう事も十分に考えられるのだ。
私は子どもたちの問題を優先的に解決することや大人の問題と並行する形で議論を深めていくことも求められると思うのだ。
なぜなら、海外においても子どもの性的マイノリティ当事者に対する理解が進まず、コミュニティ内における差別や偏見を助長する、いじめなどの社会的孤立状態に発展するといった1種の社会問題に発展したことで、当事者の子どもたちは学校に行くのではなく、家で学ぶ“ホームスクール”や同じ境遇の子どもたちと学ぶ“フリースクール”など周囲と距離を置く形で学習を進める選択をする、全寮制の学校に通学して国際的な学習をすることを選択するといった子どもたちが自らの環境を選択できるだけでなく、自らの個性を活かした学びが出来る環境が徐々に整備されていっている。
しかし、日本においては仮に性的マイノリティ当事者であったとしてもカミングアウトすることで不利益を被ることやいじめなどのきっかけにつながってしまうなどデメリットが多く、フリースクールなどの通学以外の選択肢は確保出来ていたとしても、これらの学校に行くことも難しいという場合もあるのだ。
多様性社会において共存は可能なのか NOTTI @masa_notti
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