Ep.20 -『もしもし響谷。カラオケ行かん?』-
『もしもし響谷。カラオケ行かん?』
「どうした、そんな唐突に?」
『いやぁ、さっきまで篠宮と話してたんだけどさ、カラオケ行きたいなぁ~って話になって』
「…二人で行けば?」
『まぁまぁ。どうせだし白峰さんも誘って4人でカラオケダブルデートしようじゃねぇの、な?』
…ダブルデート、ねぇ…。…まあでも、結華の歌声かぁ…若干聞いてみたくはある。
「…いつ行くの?」
『ナウ。だから早めに返答ぷりーずみー』
「…分かった、取り敢えず結華に行くかどうか聞いてくるわ」
『おう、そんじゃ頼むぞ~』
その森谷の声を最後に通話が切れる。スマホを充電スタンドに置いて、俺…もとい結華の部屋に行く。
扉を3回ノックして、扉を開ける。
「響谷くん、どうしたの?」
ベッドの上に座っている結華が小首を傾げて俺にそう聞く。
「いや、さっき森谷からカラオケ行こうぜって誘われたからさ。一緒に行かないかなって」
「うん、行く」
「そう言うわけだから葵、車出して」
「えぇ、やだよめんどくさい」
「そう」
「ってか、珍しいな。響谷が友達とカラオケ行くとか言うなんて。断ると思ってたのに」
「…まぁ、変わったって事なんじゃない?」
「響谷くん、他人事だね…」
「まあ」
変わったかどうかなんて自分じゃ良く分からんし。
で、そのことを森谷に言ったところ、俺たちは森谷の父親が運転する車に乗らせてもらった。
「いやぁ、しかし…息子が彼女を連れてるとこう…来るものがあるなぁ」
「…父さん、友達も乗ってるんだからやめてくれよ」
「ま、いいじゃん。感動してくれる父親がいてさ~」
「そういう篠宮は居ないの?」
「私の親はまぁ、もう半ば育児放棄してるからね~」
…なんだろう、そんな軽々しく言えるような内容じゃない気がするのは気のせいかな…。
「まあ、育児放棄してるからこそ、こうやって自由に好きなことができるんだけどね~」
「まあ確かにな」
「…っと、着いたぞ、それじゃあ楽しんで来いよ」
何時の間にか駐車場に着いていた車から降りて、俺たちはカラオケに向かう。
■
「お~、カラオケだ」
「まあ、そりゃカラオケだからな」
「あ、飲み物何が良い?」
「私…じゃあリンゴジュース」
「私コーラ~」
「あ、じゃあ俺は―――」
「お前も一緒に来るんだよ」
「えぇ~」
「お前もパシリになるんだ」
「しゃーない、この俺の寛大な心で許してやろう」
「はいはいありがとありがと」
「お前適当過ぎんだろ」
そんな事を言いながら全員分の飲み物を取りに行く。
「取ってきたぞ~」
「あ、おかえり~」
「はい、結華のリンゴジュース」
そう言いながら、結華にリンゴジュースの入ったコップを手渡す。
「うん、ありがと」
「ねぇ森谷、折角だしデュエットしようよ」
「お、いいじゃん、何歌う?」
そんなこんな、森谷と篠宮のデュエット。本人の間でも相性がいいと言っていたからか、息ピッタリのデュエットを歌いきった。
「すごいじゃん」
点数は89点。ぎりぎり90点は越えなかった。
「うわぁ~、おっしぃ…」
「後ちょっとだったのにな」
「…それじゃあ、次は私、歌うね」
「おう」
「頑張って~」
結華の歌声、はっきり言ってすっごい綺麗な歌声だ。透き通った声ってこんな感じなんだなっていうのが良く分かる。
「…ふぅ。どうだった?」
「…なんか、すごかった」
声はきれいだし、採点の点数は95点。普通に高くてびっくりした。
「ちなみにそう言う響谷の歌はどんな感じなんだよ?」
「え、俺?」
「そう、響谷」
「…どんくらいなんだろ?」
取り敢えず一番得意な歌を入れて歌ってみる。
歌い終わった後、表示された点数は81点。
「…まぁ、全国平均くらいだなぁ」
「だな」
「でも、声はすっごく良かったと思う」
「そう?」
「うん」
「…惚気てるねぇ」
「…だなぁ」
■
以外と時間が過ぎるのは早いもので、あっと言う間に2時間が過ぎて、俺たちは会計を済ませて森谷の父親の迎えを待っていた。
「楽しかったな」
「だな」
「うん。また来たいね」
「そうだねぇ、予定が合えば来週にでもまた来る~?」
「まあ、予定が合えばね」
「やった~」
「ねえ、響谷くん」
「ん?」
「私の歌声、綺麗だった?」
「あぁ、そりゃもちろん」
「…そっか、良かった」
そんな事を話していると、俺たちの目の前に車が一台止まる。森谷の父親が運転するその車に乗り込んで、俺たちは一先ず森谷の家に帰って、そこから現地解散する予定だ。
「楽しめたか?」
「おう、バッチリよ」
「そりゃよかったな」
「また来たいってくらいにはね」
「そんな遠くって訳でもねえんだし、来ようと思えばすぐ来れるだろ?」
「そうだけどさぁ」
…まあ、またこの4人で来れたらいいなぁ。
■
「お、おかえり。楽しめた?」
「んあ?ああ、まあ」
「そうか、そいつは良かった」
「結華の歌声がすっごく綺麗だった」
「へぇ、そうなんだ。良かったじゃん」
「響谷くんに褒められると…嬉しい」
「…なんかさぁ、お前らが梨帆の二の舞にならないか不安で仕方ないんだが」
「そこは大丈夫だ。安心しろ」
「そうか?」
「うん、私と響谷くんを信じて」
「…まぁ、信じてないわけじゃないんだけど、分かったよ」
――――――――
作者's つぶやき:結華さんの歌声、さぞ美声だったんでしょうね、綺麗な歌声は一度生で聞いてみたいものです。
…さて、響谷くんは響谷くんの母親の二の舞にならずに済むのでしょうかね。
っていうかなってほしくないですね。
さて…次回の展開はどうしましょうか。如何せんネタが尽きてまして。
今日のネタも入浴中にぼんやり浮かんだネタから限界まで絞り出しましたし…。
まあ、頑張ります。
――――――――
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