憂鬱な死神の、かみさま

 「俺なんて、もうこの世からいなくなればいい」って思うことばっかりだが、自分で死ねない。俺自身が死を運ぶ存在、死神だからだ。死神は基本、各国一体。


 俺が管轄する国は、自殺者が多い。ダメだって言っても、目を離すと死んでる。戦争の多い国よりマシなんて、隣の国の死神に慰められたが、そういう話じゃない。死神の本来の仕事は、リストにある人に安らかな死を与えること。あとは、予定外の死を減らすこと。


 リストにないってことは、まだやり残したことがあるんだ。で、俺はコイツを二時間近く説得している。学校でイジメられていることが原因らしい。今月はリスト外の死者が多い、コイツに死なれちゃ困る。俺はリストをじっと見た。その中に、コイツをイジメているヤツラの名前があった。


 リストを見せるのはご法度だが、今日は特別だ。コイツには、生きてもらわなきゃならん。だってコイツは世界から戦争をなくすヤツなんだから。俺にとっては、神様だ。

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