自分に呪いをかける、愚か者

 魔法使いの彼が呪いを解いてくれた。八百年続いたドラゴンのドラ生が終わった。過去、勇者は何度もやって来たけれど「元人間だった」と何度言っても信じてくれなかった。戦って、倒して、倒した勇者の子どもがやって来ての繰り返し。私はすっかり悪者になっていた。


 そこにやって来たのが魔法使いの彼。呪いが解かれ人間の姿に戻った私は、彼と結婚した。燃えるような恋だったけど、いつしか心が離れていった。そのすき間に入り込んだのが勇者の子孫の彼。禁断の恋に燃え上がり、不倫の果てに子供ができた。


 元ドラゴンの人間と勇者の子孫。龍の因子が強かったせいか、ドラゴンが生まれた。「あなたの子よ」と言っても信じない夫。勇者の彼は音信不通に。ストレスで私は口論から火を噴き、夫を殺めてしまった。ドラゴンの特性が残っていたのだ。


 ドラゴンとして生まれた我が子は、忌子いみごとして悪魔が住むダンジョンに捨てられた。私は自分に呪いをかけた、愚か者だ。

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