選ばない、豚
牧場で産まれてからずっと丁寧に育てられてきた。名前はなくて、僕は五十一、番号で呼ばれていた。朝、五十から五十九まで僕たち兄弟は荷台に乗せられ、隣町まで行く予定だった。目的は知らない。
途中、車がスリップして僕たちは荷台から崖下の道路に放り出された。みんな無事だった。五十五が「自由だ!」なんて言うもんだから、みんな舞い上がって道路を駆け回った。倒れた車の脇から、大きな車が!五十五と六、七がはねられ死んだ。
残った七匹で街か牧場かどっちに行くか多数決を取った。みんな牧場を選んだ。僕はみんなの逆を選んだ。多数決は常に逆。僕は多数決に逆らい、街へ向かった。
途中でオジサンに捕まり豚の絵が描かれた店でマスコットの仕事が決まった。ピンク色の何かがケースの中で並べられている。あぁ、ケースの中には、見覚えのある足が!あれは五十三だ!
僕もいつかこうなるかも。ここを出るか決めなければ。だけどもう、多数決は取れない。
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