捨てドラを育てる

 学校から帰ると、玄関の前に段ボール箱が置かれていた。中から、ぎゃぎゃ、と声がする。「小さなドラゴン」だった。“捨てドラ”だ。雨が降りそうだったので、僕は段ボールごとリビングに持って入った。


 お母さんは「なにそれ?」と猫でも拾ってきた感じで、興味深々で段ボールを開けた。ぎゃぎゃ、と鳴く捨てドラを見ると、ぎゅうっと抱きしめた。「かわいいわね、どこで拾ったの?」と。僕が玄関の前に捨てられていたことを説明すると、飼えなくなったからって無責任だと怒りながらもニコニコしていた。


 「飼っていい?」と聞くと、お母さんは、「当然!」と言ってくれた。この前死んじゃったコロのエサをあげると勢いよく食べた。


 人間界から久々に帰って来たお父さんがこれはレアドラゴンだと、驚いていた。悪魔とドラゴンは相性が良くないけど、小さい時から育てれば大丈夫らしい。


 千歳ぐらいまでしか生きないから、僕たちよりも先に死んじゃうのは悲しいね。

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