コンビニへ

午後の授業中もさっき自分が考えた可能性の事を考える。

女子からの視線は感じるが、男子からは感じない。

なんでこんな事になったんだろう。私が好きなのは、男の人、であって女の人ではない。はず。


考え事をしているうちに午後の授業の終わり、部活の時間になった。私は入りたい部活もなかったので帰宅部である。

そういえば、コンビニの店員さんに名前聞いていなかった事を思い出し、気は進まないが、友達になると言ったのは自分なので、買い物のついでに名前を聞こうとコンビニへ向かうことにした。


コンビニへ着き、中へ入り飲みもをを選ぶ。

レジの方に目を向け、朝の店員さんを探すが見当たらない。


「まぁそうだよね。会えたら聞こう。」


飲み物だけ購入しコンビニを出ると、入り口で朝のコンビニ店員さんとすれ違った。


「あ、朝の」


こちらに気づいていなそうだったので声をかける。


「わ、ちょっと私忘れ物取りに来ただけなので、少し待っててもらえますか・・・!」


慌ててコンビニ内へ入っていったので、大人しく待つことにする。

3分もしない内に戻ってきたので、コンビニ前で話すのも邪魔になると思い、近くの公園へ一緒に行くことになった。向かう途中、気まずさからか、お互い会話はなかった。まぁ、何話していいか分からないしね。


公園へ着き、空いているベンチへ座る。


「朝に名前を聞くのを忘れたので、聞こうと思って来たんですけど、ちょうど会えてよかったです。」


「あ、そうだよね。確かに朝はバタバタして自己紹介できてなかったもんね・・・」


さっきも忘れ物とか言っていたし少し抜けているのかもしれない。


「私の名前は神谷礼かみやれいって言います。ちなみに年齢は23歳です。名前も名乗らずに今日の朝あなたの事がタイプとか言って困らせてごめんなさい・・・。」


「神谷さん、ですね。よろしくお願いします。

本当に朝は驚きましたけど」


「う、本当にごめんなさい。」


「でも、嬉しいです。今までそうやって好意向けられたことなかったので」


そう言うと神谷さんは少し顔を上げ、ほんと?と聞いてきた。なんだろう、年上の人なんだろうが、とても可愛く見える。


「ほんと、ですよ。でも、今までそんな素振りなかったですよね?なんで今日は急にタイプとか言ってきたんですか?」



本当に前からなのか、今日急になのか、これで神社で願った事で今の状況があるのか分かると思い、気になっていたことを聞いてみることにした。


「なんでっていうのは難しいかなぁ。なんか今日、あぁ、好きって思っちゃったんだよね。そしたら言わずにいられなくて。」


どうやら、神社での願い事によって好きになった、という事だろう。

少し申し訳ない気分だ。


「でも、これはうその気持ちじゃないよ。本当に、君の事が気になっているの」


神社で願わなければ話すこともなかっただろう。

そう考えると、今の状況は悪くないのかもしれない。


「だから友達から、って言葉嬉しかったんだ。拒絶されてもおかしくなかったから。ありがとう、恵ちゃん」


「よく行くコンビニなので、気まずい関係になりたくなかっただけです。」


照れ臭いのもあり、素っ気なく返事をしてしまった。

分かってるよ、優しいねと言いながら神谷さんは何か書いた紙を渡してきた。


「私の連絡先です。もし、恵ちゃんさえ良かったら、連絡くれると嬉しいな。」


と言い、この日は公園で別れ、帰路に着いた。


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