最初の出会い

部屋に太陽の光が差し込み、目覚まし時計の音が鳴り響く。

時計まで腕を伸ばすが届かず、仕方なく起き上がる。


「うーん・・・もうそんな時間かぁ・・・」

眠い目をこすりながら背伸びをする。

ゆっくりと立ち上がり、冷蔵庫へ向かい、扉を開ける。しかし、入っているのは調味料系だけであり、食べるのは何も入っていなかった。

「何にもないな・・・コンビニに寄ってくかな」


いつもより30分早く出ることに決め、着替えなどを済ます。

鍵をかけ、家を出る。今日の授業はなんだっけ、そんなことを考えながらコンビニへ向かう。

「なんか、見られてるような・・・?」

すれ違う通行人が何故かこっちを見ている気がする。何か自分に変なところがあるのかと思い、見直すが、特に変なところはなさそうだ。


「気のせいかな・・・」


少し不思議に思いながらも、目的地のコンビニへ着いたため、中に入ると冷たい空気がどこか心地良い。


「とりあえず、おにぎりとパンと、野菜ジュースでいいかな」

朝食と昼食を選び、レジへ並ぶと、レジの店員がこちらを見ている事に気が付いた。


「あの、私何か変なところありますか?」

あまりにもこちらをじっと見るので聞いてみることにした。


「え、あ、いや、その・・・可愛くて、私のタイプなのでつい・・・。」

顔を赤らめながら照れ臭そうに答える店員が何を言っているか最初は理解できなかった。今までも何度もこのコンビニに買い物をし、同じ店員に会計をしてもらったことがあるが、そんな素振り一度もなかった、と思う。


「いや、いやいや、えぇ・・・?」


あまりのことに変な言葉しか出てこない。

本当に困った。生まれてこの方、好意というものを向けられたことがない為、動揺してしまう。


「なんて、冗談です、ごめんなさい」


動揺してると、こちらの反応を楽しむかのように微笑みながら見つめてくる店員に不覚にもドキッとした。いや、これは好きとかじゃない、はず。


「冗談に聞こえなかったんですけど。でも、友達ならいいですよ。」


いつもならこんなことを言わないのに、いつもと違うことが起きたからか、普段言わないようなことを口走ってしまう。

名前も知らない人に友達ならいいですよなんて何言ってるんだと思いながらも、店員の方へ目を向ける。

「いいんですか・・・?なら、友達として、よろしくお願いします!」

明らかに年上だろう女性と、友達になった。


「あ、やばい、もう行かないと。」

時計を見るともう学校へ向かわなければならない時間になっていた。

会計を済まし、急いでコンビニを出る。

名前を聞くのを忘れてしまったが、またコンビニへ行けばいいだろうと、思い学校へ向かった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る