誰が彼女か分からない!?
夜凪
願い
「めーぐーみ!告白おっけーしてもらった!たくさん話とか聞いてくれてありがとうね!」
目の前の席に座る
以前から、好きな人が出来たと相談を受けていた身からしても嬉しい報告である。
だが、
「良かったね。何かあったらきちんと話し合うんだよ。でも、アイツに話しづらい内容とかだったら今後も相談乗るからさ。」
偉そうな事を言っているが、全て本やネットの情報だ。
それでも嬉しそうに話す佐倉の前でそんな事は言えない為、あくまでも自分が考えて話してる風を装う。
「ありがとう!でもほんと、なんで恵には彼氏ができないんだろうね。こんなにも、優しくて、可愛くて、頼りになるのに。」
じっとこちらを覗き込みながらうーんと唸る佐倉は女の自分から見てもとても可愛い。もちろん、恋愛的な意味ではなく。
「そんなこと言ってくれるのは麻衣だけだよ。ありがとう。いつかは彼氏欲しいかも。」
彼氏が欲しいと思うも、好きになったり、付き合いたいと思えた人は今まで居なかった。
しかし、周りが彼氏彼女と一緒にいるのを見ると少し羨ましい気持ちになっていた。
「まぁでも、好きな人も、気になってる人も今はいないし、今の所は1人が気楽かな。」
少し強がり、そんなことを言う。本当は欲しいのだが。
「恵がそう言うならいいんだけど・・・。もし、好きな人が出来たら、相談とか乗るからね!」
そう言うと彼氏と帰るからまた明日、と足早に帰ってしまった。
口元がいつもより緩んでいるのは彼氏のおかげだろう。
「さて、私も帰ろうかな。」
うーんと大きく背伸びをし、帰り支度をする。
いつもは佐倉と帰っていたが、この感じだと今後は一人で帰ることになるのだろう。
少し寂しい気もするが、仕方のないことだ。
いつもの帰り道、佐倉と話したり寄り道したりしながら帰っていたからか、普段と違う道に見えた。
「あれ、こんなところに神社あったっけ。」
神社があったことにも今更気が付いた。
だからといって寄ったりする事はいつもだったらしなかっただろう。
だがこの時、なぜか神社へ吸い寄せられるような気がした。
「折角だし、寄っていこうかな。」
神様なんて信じてはいないが、少し位願い事を叶えてくれそうな気がした。
「んーと、財布に・・・げ、1000円札しかない。小銭がないし、辞めようかな・・・。」
財布の中に硬貨がなく、佐倉と寄り道したときに使おうと思っていた1000円札しか入っていなかった。
「まぁでも、寄り道することもないだろうし・・・1000円だと願い事も叶いそうだし、決めた。」
1000円を賽銭箱に入れ、手を合わせる。
『恋人がほしいので、恋人ができますように。あわよくば、モテますように』
暫く手を合わせ、願い事をし、この日は家路についた。
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