第12話 ピシエドの町の門兵達

ヒロが門から町に入った。


「隊長、よかったのですか?アッサリとヒロ

 を通して?」


グリンがモーラスに問い掛ける。モーラスは

すぐに答える。


「それは大丈夫なのはお前も分かってるはず

 だろ?何の為に、門の上にバラシがいると

 思っている?あいつは白、真っ白」


「ええ。それは間違いなく…もう、入門者も

 いないから、ヒマで降りてきちゃいました

 よいしょっと…」


バラシは言いながら、詰め所の椅子に座る。


「無慈悲の森に沿う様にある、町に繋がる道

 もそこそこ魔獣出ますからね。他所の町や

 村みたいに、人はじゃんじゃん来ないです

 けど、偶にああいう何ともいえないヤツが

 来るから面白いですよ」


バラシの言葉に、グリンが反応する。


「犯罪履歴はないけど色々訳ありか?」


「ああ。まず、門上にある破邪の瞳は絶対に

 悪党は誤魔化せない。それはお前も知って

 いるだろ?で、あの魔道具は人の魔力や

 特殊なスキルなんかを俺が魔力を流すと

 文字が表示されるわけだが、まぁぁ隠蔽が

 凄い!攻撃魔法や身体スキルはボンヤリと

 しか見れなくてさ、…あの黒ずくめの衣類

 いやローブかな?が、隠蔽しているのかな

 …あんな事が出来るって、あれは名のある

 冒険者だろ?」


モーラスが口を開く。


「そう思うか?彼、ヒロは冒険者カードを

 持っていなかった。ギルドの存在すら知ら

 なかった様子だ。それでいて町に入る金を

 ウォーターファング2匹で賄った。しかもだ

 空間魔法付きの鞄持ち。鞄の紐も工夫して

 いて、身体にフィットする様に襷掛け出来

 て、如何なる時でも邪魔にならない仕様に

 なっていて、得物も剣とナイフの間の長さ

 で、あらゆる局面に対処する様だったな」


「うへぇ。隊長良く見てますね!俺はヤツの

 ウォーターファングに気を取られ過ぎてて

 そこまで見えてませんでしたわ!」


「お前らしいな…グリン。しかしなぁギルドも

 知らないとなると超の付く田舎から出身?

 しかし持ち物は洗練されている。うーん…

 …監視しなくて大丈夫ですかね隊長?」


「彼は進んで問題を起こす馬鹿ではないよ。

 見た目は何処かに、忍び込めそうだがね。

 何もなしに消えたりもしないさ。上手く力

 を隠してるようだが、その内に目立つ様に

 なるだろうな。領主様への報告はそれから

 でも良いさ。ホテルの人員もいる。そうだ

 …夕方の交代時間の後で2人でウォーター

 ファングをギルドの解体場に持って行って

 くれよ?別にヒロが持って来たモノと言わ

 なくてもいいさ。あくまで、他人が町に入

 る為に売ったもので話は通してくれよな?

 あぁギルドマスターには本当の報告を頼む

 …後はよしなにやってくれるだろう…」


「はっ!」


2人は返事をしてウォーターファングを持って

冒険者ギルドに向かった。


 

 

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